レタスの間引きを一手に引き受けるロボット-Blue River Technology

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アメリカでレタスを買うと、10個に1個はLettuceBotが稼働する圃場で獲れたレタスになるという。LettuceBotというのは、Blue River Technology社が開発したレタスの間引きを行うロボットだ。
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15列のレタスの苗を一度に間引きするLettuceBot
(出典:Blue River Technology公式ページ

農作物全体に同じケアをする慣行農法

近代農業では、単位面積当りの収穫量が飛躍的に伸びた。これは農業機械や品種改良などに加え、農薬、化学肥料に依るところも大きい。しかし、その弊害も数多く出ている。例えば、圃場に散布された農薬が雨によって河川へ流出すると、生態系への影響や水道水源の汚染等の問題につながる。また、除草剤への耐性を持つ雑草も世界各地で増えているという。これら問題の背景には、農薬や肥料の使い過ぎがあると考えられる。
農薬散布にしても施肥にしても作物全体に一律同じような管理をしてきた農法の結果であろう。このような方法は、サンフランシスコ市で感染症にかかった人たちが数人出た時に、それに対する治療が市内全住民に対して抗生物質を投与するしか方法がないと言うようなものだと同社のBen Chostner氏は指摘する。効果はあるが、前述したようなマイナス面の他、無駄なコストも伴う。

ロボットを使って高効率で環境にも優しい農業へ

こうした現状の中、ロボット工学とコンピュータビジョンを用いて持続可能な農業を目指す同社は、レタスの間引きをするロボットを開発した。ちなみに、コンピュータビジョンとは、一言で言えばコンピュータを使用した視覚の研究ともいうべき分野だ。LettuceBotは、レタスと雑草を見分けられる。それも一分間につき5,000本の苗という驚異的なスピードでだ。生育不良の苗や密になりすぎている苗も「見る」ことが出来る。判断がついた箇所に対し、同時進行で除草剤をピンポイントで散布していく。LettuceBotは時速約6.4kmという人が早歩きした程度のスピードで走行し、一日に16ヘクタール以上の圃場をカバーすることが可能だそうだ。また、除草剤を局所的に使うことで、大幅に使用量を削減できるという。
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設定された間隔に応じて正確に間引く
(出典:Blue River Technology公式YOUTUBE

スターンフォード大の学生、レタスの間引きにたどり着く

同社共同創業者であるHeraud氏とRedden氏の二人はスタンフォード大学で、Steve Blank准教授の起業家教育のコース「リーンローンチパッド」のクラスで出会った。(なお、教鞭をとるBlank氏は、日本でも講演したことがあるので知っている人もいるかもしれないが、自身が複数の企業を立ち上げた経験のある起業家でもある。また、教え子二人が立ち上げた同社に投資もしている。)
二人は共にコンピュータビジョンや自動化技術の知識があり、それを活かせる商業的機会を探っていた。様々な現場のニーズを聞いていくうちに、レタスの間引きという作業に出会うことになる。農業の分野にロボットが参入するには、障壁がいくつもあったが、そのうちの一つはコストの問題だった。薬剤の大量散布は弊害があるのに続けられてきたのは、安定した生産量を保つとともに経済的なメリットも大きいことが考えられる。減農薬の為だけに高価なロボットを導入しようという生産者はなかなかいないだろう。だが、レタスの間引き作業は、人の手によって行われていた分野だ。人件費がかかるうえ、時間もかかっていた。その後、現場での意見を何度も聞き、改良を重ねてLettuceBotは生まれた。

将来的には、レタス以外の作物にも活躍の場を広げていくようだ。同社の除草剤をスポットで散布する技術は、除草剤に限らず施肥などの際にも応用可能と見られている。また、圃場が広大でも、ロボットなら作物一本一本の状態を判断しケアできる点も大きな強みだろう。

会社概要

会社名 Blue River Technology
CEO Jorge Heraud
設立年 2011年
拠点 アメリカ
社員数 11-50人規模
事業内容 スマート農機の開発、オペレーションサービス
主な商品 LettuceBot、See & Spray
会社URL http://www.bluerivert.com
沿革 2011年 創業
2012年 シリーズAラウンドで310万ドルを調達。 Khosla Ventures、Steve Blank、Ulu Venturesが投資をしている。スタンフォード大学出身の投資家とスタートアップ企業を結ぶStanford Angels and Entrepreneursも仲介。
2014年 Data Collective Venture Capital主導による1000万ドルの資金調達を追加実施。
2015年 シリーズBラウンドで1700万ドルを調達。Pontifax Global Food and Agriculture Technology Fundが主導した。

メンバー紹介

Jorge Heraud

Jorge Heraud
CEO 共同創業者
ペルー・カトリカ大学で電気工学の理学士号を取得。エンジニアとしてのバックグラウンドを持つ。GPS、レーザーなどの即位技術で知られるTrimble Navigationなどでキャリアを積んだ後、スタンフォード大学経営大学院にて職務経歴が8年以上の人を対象にしたSloan Master’s Program(現Stanford MSx Program)で起業家精神、リーダーシップについて学ぶ。

Lee Redden

Lee Redden
CTO 共同創業者
ネブラスカ大学リンカーン校にて機械工学の理学士号を取得。スタンフォード大学修士課程で、機械学習、コンピュータビジョン、ロボット工学などを学び、現在は同大学博士課程休学中。

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SAKIGAKE編集部

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