二酸化炭素を燃料に変える、画期的なリサイクル技術を開発-NewCO2Fuels

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人口急増・経済発展に伴い、化石燃料(原油・石炭・天然ガスなど)が大量に消費されている現代社会。世界のエネルギー需要のうち、約85%が化石燃料で賄われており、地球規模で燃料資源の減少が危ぶまれている。とりわけ原油の場合、今の状態のままで消費し続けていると、今後45年で枯渇する可能性があると言われているのだ。

さらに、化石燃料の大量燃焼により、二酸化炭素の排出量も急激に増大。これにより、地球温暖化が進行し、異常気象、洪水、海面上昇、食糧不足、環境難民などの問題が今後さらに深刻化するのは言うまでもない。

よって、人間活動に必要なエネルギーを確保しつつ、二酸化炭素の放出を抑制するには、有限資源である化石燃料への依存度を減らし、代替エネルギーへの転換が絶対不可欠となる。

「二酸化炭素」を「燃料」に転換する技術に特化したNCF社

イスラエルのNewCO2Fuels社(以下、NCF社)は、このような化石燃料一辺倒といえる現状を打開すべく、二酸化炭素を燃料に転換する技術を開発している。

この技術開発は元々、世界で有名な総合研究センターであるワイツマン科学研究所(イスラエル)のJacob Karni教授によって着手されたものであり、研究期間は8年に及ぶ。その後、NCF社に商業化の権利を供与。現在も開発面において、Karni教授の研究チームとNCF社は繋がりが深い。

二酸化炭素と水から、合成ガスを製造

では、二酸化炭素からどのように燃料を作るのか。それは「二酸化炭素と水から酸素原子を取り除く」という今までになかった方法である。
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二酸化炭素と水から合成ガス(Syngas)が出来るまでの流れ
(出典:NewCO2Fuels公式ページ

詳しく説明すると、工場から排出される二酸化炭素(CO2)を水(H2O)とともに、「NCFプラント」と呼ばれる装置の内部に取り込む。そして、焼却炉および加熱炉の余熱、またはソーラーシステムなどから集めた高温の熱を動力源とし、CO2とH2Oからそれぞれ酸素原子(O)を化学的に分離。それにより、二酸化炭素が一酸化炭素(CO)、水が水素(H2)へと変化し、この2つを結合させると「合成ガス」が生成させる。その結果、この合成ガスを原料として、GTL(Gas to Liquid)プロセスにより、ガソリン、軽油、灯油など液体燃料を作り出す事が可能となった。

燃料だけにとどまらない。主に肥料製造で使われるアンモニアや、塗料・プラスチック・洗浄液などの原料であるメタノールなどの化学成分も、合成ガスから作る事ができ、汎用性は非常に高い。
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NCFプラントのプロトタイプ。リアクターとも呼ばれる
(出典:NewCO2Fuels公式YOUTUBE

もし実用化にたどり着いたら、化石燃料を一切使わないエネルギーが誕生するだけでなく、二酸化炭素を空気中に排出しないので、環境改善の貢献へと繋がる。また、価格が大幅に変動する原油とは違い、二酸化炭素は基本的に「無料」なので、コストパフォーマンスの良い燃料製造も期待できる。

画期的な技術で世界から高評価

この技術革新が高く評価され、ニューヨークで開かれた「2014 World Technology Network Awards」のエネルギー部門で、NCF社は国際賞を受賞。また、オーストラリア政府により「今後50年で選ばれるべき18の燃料」の1つに、NCF社の合成ガスが選出されており、いかに世界規模で注目を浴びているかがよくわかる。

もしかしたら、実用化されるまではまだ時間がかかるかもしれない。しかし、世界中でこの技術が確立され普及すれば、「化石燃料の偏重から脱却できる日がやって来る」と言っても過言ではなくなるだろう。NCF社の今後の活躍に期待がかかる。

会社概要

会社名 NewCO2Fuels
CEO David Banitt
設立年 2011年
拠点 イスラエル
社員数 11-50人規模
事業内容 二酸化炭素と水から酸素合成ガスを生成する技術の開発・商業化
主な商品 LG201 Poultry Ammonia Monitor
会社URL http://www.newco2fuels.co.il/
受賞歴 2014 World Technology Network Awardsエネルギー部門 国際賞

メンバー紹介

Jacob Karni

Jacob Karni
ワイツマン科学研究所 教授
ミネソタ大学にて機械工学博士課程を修了。高温熱を利用したCO2分離技術の発案者。現在シニアアドバイザーとして、NCF社と商業化に向けた共同開発を行う。

David Banitt

David Banitt
CEO
テルアビブ大学機械工学科卒。ハイテク産業で約30年間、電気光学・エネルギー関連の製品開発、マーケティング、シニアマネージメントに携わる。

David Scheiner

David Scheiner
製品開発担当 VP
ワイツマン科学研究所にて物理学博士課程を修了。ハイテク企業で約15年間、製品開発およびマネジメントに従事。

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SAKIGAKE編集部

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