多種多様な物質を検出!未知の可能性を持つプラットフォーム-Lumense

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Lumense社は、テクノロジー・ビジネスのインキュベーターであるAdvanced Technology Development Center (ATDC)内にあり、アメリカの理工系大学の名門ジョージア工科大学に隣接している。同社の開発した製品は、そのジョージア工科大での20年以上の研究の成果が元になった。大学からライセンスを受けた技術を発展させ、気体や液体中の化学物質や微生物などをリアルタイムに検出することのできるプラットフォームSensorITを開発したのだ。従来の使い捨ての試薬や、サンプルを研究所に持ち込んで分析といった手間や時間、コストなどがかかる方法に頼らなくても、現場で検出ができるようになった。

応用範囲は未知数

このプラットフォームは幅広く応用の効くものだ。ジョージア工科大での研究では、すでに50種類以上の物質の検出に成功している。これまでに検出された物質は、化学物質としては、アンモニア、塩素などの他、爆薬として使われるTNTや覚せい剤として知られるメタンフェタミンなど、また生物では食中毒菌として知られるサルモネラ菌、大腸菌、カンピロバクターなどや、DNAというように多岐に渡っているが、これらはまだほんの序章に過ぎないという。更に多くの物質の検出に適用が可能だそうだ。
同社では、このプラットフォームを元に製品開発を進めているが、当初の目標として3つの分野にターゲットを絞っている。

  1. 農業生産における環境コントロール
  2. 飲食料品業界の品質管理
  3. 水質のモニタリング

鶏舎のアンモニア濃度をコントロール

農業の様々な分野で、生産環境の状況を正確に把握し管理することは、生産性を高める上で重要だ。例えば、養鶏場において、アンモニアは排泄した糞尿が分解されて生じるが、鶏舎内のアンモニア濃度が上昇すると、鶏の死亡率の増加や疾病の流行につながってくる。そのため、濃度の管理が必要になる。しかし、従来の方法は、定期的な計測や鶏舎内の湿度を調整するなどで、いずれも十分とは言えなかったという。特に人の目が行き届かない夜間は管理が難しくなるそうだ。
そこでLumense社では、アンモニアを常時現場で計測するセンサーを開発した。同社のセンサーを鶏舎に設置すると、正確なアンモニア濃度を計測、自動的に最適な換気がなされる。鶏の健康に良いのはもちろん、生産性も上がるという。専門家の試算では、アンモニアを適切に管理すると、全世界で一千億ドルという市場規模を持つブロイラー産業において、5ー7%の生産性向上が見込めるのだそうだ。

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SensorIT
(出典:Lumense, Inc.公式ページ

このアンモニアセンサーを同社の製品として最初に開発した理由は、会社の所在地に関係している。同社のあるジョージア州は養鶏業の盛んな場所なのだ。将来的には世界的なビジネスの可能性も見込める技術ではあるが、同社では、まず地元での成功を目指している。

コカ・コーラの生産にも一役買っている

飲食料品業界においても、これまでに、ザ コカ・コーラ カンパニーの炭酸飲料に使われる二酸化炭素中の汚染物質の検出に関わっている。コカ・コーラといえば、世界的な大手企業だが、Lumense社と同じくジョージア州アトランタに本社がある。既に高度な技術と設備を持つ大企業に対して、Lumense社は、より費用対効果の高いアプローチを提供できるという。

シリーズBラウンドで、そのザ コカ・コーラ カンパニーとジョージア州内の大学発の事業に投資するGRA Venture Fundから265万ドルの資金を調達した。このラウンドでは、他にもジョージア州ノークロスに本社のあるベンチャー・キャピタルIntelligent Systems Corporationと以前から出資を受けているエンジェル投資家のLeland Strangeが出資している。

可能性に惹かれてCEOに

同社CEOのSlawson氏にとって、二つ目のスタートアップとなるLumenseだが、同氏を動かしたのは、この技術の可能性の大きさだという。経済的な見込みというだけでなく、多くの人の役に立つ可能性も大きいことに惹かれたそうだ。今までに携わってきたどのプロジェクトよりも、エキサイティングだとBusiness RadioXのインタビューの中で語っている。

会社概要

会社名 Lumense, Inc.
CEO Michael Slawson
設立年 2011年
拠点 アメリカ
社員数 11-50人規模
事業内容 液体、気体中の微分子をリアルタイムで検出するプラットフォームSensorITの開発及びそれを発展させた製品の開発 ・販売
主な商品 LG201 Poultry Ammonia Monitor
会社URL http://lumense.com
沿革 2011年 創業
2013年 シリーズBラウンドでGRA Venture Fundとザ コカ・コーラ カンパニーから265万ドルの資金を調達。
2015年4月 20カ国以上から若い企業が参加したImagine H2O Business Innovations Competition(IH2O)において次点に選ばれ、IH2Oアクセラレータープログラムに参加する。
2015年7月 2年間の試験運用を経てLG201 Poultry Ammonia Monitor発売

メンバー紹介

Michael Slawson

Michael Slawson
共同創立者 CEO
Lumenseの前には、ジョージア工科大学の別の研究を製品化した企業Qualtré, Inc.を立ち上げ、CEOを務めた。
それ以前には、情報テクノロジーとライフサイエンス分野においてアーリーステージの企業に投資するAlliance Technology Venturesの無限責任出資家だった経歴を持つ。
ヴァンダービル ト大において電気工学と数学の学士号を取得後、ノースカロライナ州立大学では電気工学、ノースカロライナ大学で経営学の修士号を取得。

Kenneth Johnson

Kenneth Johnson
共同創立者 COO(最高執行責任者)
ジョージア工科大学の研究機関GTRI(Georgia Institute of Technology)の一員で、上級科学研究員という経歴を持つ。専門分野は、自然および人工の環境が人間の健康、安全に与える影響とそのアセスメント。

George Murdoch

George Murdoch
vice-president of sales 営業部長
バークシャー・ハサウェイの完全子会社で農業関連設備機材等を扱うCTBのEVP(執行副社長)だった経歴を持つ。CTBでは北米以外にもビジネスを拡大することに貢献した。
ジョージア大学で農業工学の学士号、ジョージア工科大学で経営学の修士号を取得。

Daniel Campbell PhD

Daniel Campbell PhD
共同創立者 CSO (最高科学責任者)
1982年 ジョージア工科大学にて、有機化学で博士号を取得。以後、ジョージア工科大学のソリューション研究組織であるGeorgia Tech Research Institute(GTRI)の一員。
有機合成法のスペシャリスト。

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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