脳への電流で筋肉を鍛えるーHalo Neuroscience

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今、アメリカ特殊部隊やリオ五輪選手が実際に採用した、全米注目のトレーニング機器が存在する。脳に直接電気信号を送り運動能力を効果的に高めることを可能にした、Halo Neuroscience社のデバイス「Halo Sport」である。

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(出典:Halo Neuroscience公式ページ

Halo Neuroscience社は、サンフランシスコに拠点を置き、CEOのDaniel Chao氏が率いる。Halo SportはHalo Neuroscienceによって開発された、アスリート向けのトレーニング機器である。

ヘッドフォン型の機器が、脳の運動中枢である運動皮質を電気信号で刺激することによって、脳から筋への信号をより強く、より効率的に送ることを可能にしている。ワークアウトと組み合わせることで、アスリートの技術や筋力、爆発力、持久力を効果的に高めることができる。

脳への刺激でニューロンを活性化

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(出典:Halo Neuroscience公式ページ

脳から筋肉に送られる信号は、特にその人が疲労しているとき、その強度が弱まってしまうことが多い。筋肉への信号が弱いということは、十分な筋収縮を行うことができないということだ。

Halo Sportは、スタイリッシュなヘッドフォン型の本体に、シャンプーブラシにも似たような、柔らかい突起部が付属した構造をしている。この突起状の「プライマー」 が、脳の運動皮質に電気刺激を送り、運動皮質の信号を強くする。それにより、ニューロンの興奮性が上がることで、より多くの筋繊維を活性化させることができる。結果として、同じ回数のトレーニングでも、筋力をより効果的に高めることが可能になるのだ。実際に装着して電気を流した際の感覚は、軽く「ちくちくする」と感じる人が多いそうだ。

てんかん治療の技術を応用

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(出典:Halo Neuroscience公式ページ

Halo設立以前、同社のチームはてんかん患者のための世界初となる閉回路式の神経刺激装置の開発を、10年以上にわたり行っていた。FDA(アメリカ食品医薬局)の承認を受け、数千人のてんかん患者の人生を変えることができた。その後、新たな挑戦を始め、2013年にHalo Neuroscienceを設立し、現在に至る。

数々の選手や団体、さらにはアメリカ特殊部隊も採用

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DIUxで話す国防長官アシュトン・カーター(左)
(出典:Halo Neuroscience公式ブログ

Halo Sportは、オリンピック選手、NBA、NFL、MLBなど、名だたる団体や個人に使用され、その効果を裏付ける科学的なデータを得ている。

<提携先の例>

  • テキサスのマイケルジョンソン・パフォーマンス・センター(Michael Johnson Performance center)
    大学選手がHalo Sportを用いて2週間トレーニングを行った結果、使用していないグループと比べ脚力の増強が2%上回る。
  • スキーのオリンピックアメリカ代表チーム
    Halo Sportを用いてスキージャンプのトレーニングを4週間行った結果、ジャンプのなめらかさが11%、推進力が13%、対照群よりも向上。

さらに、2016年8月5日付のHalo Neuroscienceのフェイスブックの投稿では、アメリカの特殊部隊の訓練へのHalo Sportの導入決定が、アメリカ国防長官アシュトン・カーター氏により発表されたことが明らかになった。

アメリカ軍は以前より、Halo Sportと類似のニューロテクノロジーを使ってパイロットやスナイパーの訓練を行い、有意な効果を実証していた。今回の決定により、アメリカ軍にさらに本格的に神経科学が導入されることになりそうだ。

Halo Sportを使用している2016年リオ・オリンピック出場選手

Halo Sportは既に、2016年のリオ・オリンピック出場選手の練習にも採用されている。最新の脳科学を取り入れた選手たちの活躍に、期待が高まりそうだ。

Michael Tinsley(アメリカ) ― 男子400mハードルに出場。2012年ロンドン・オリンピック銀メダリスト。
Mike Rodgers(アメリカ) ― 男子100m走、男子400mリレーに出場
Mikel Thomas(トリニダード・トバゴ) ― 男子110mハードルに出場
Hafsatu Kamara(シエラレオネ) ― 女子100m走に出場
Samantha Achterberg(アメリカ) ― 近代五種競技に出場

あとがき

Halo Sportの価格は749ドル。品薄となっており、 次回の販売時期は未定である(2016年8月現在)。
Halo Sportの脳神経科学が、スポーツや、はたまた防衛の世界にどのような影響を与えていくのか。今後の行方が注目される。

会社概要

会社名 Halo Neuroscience
CEO Daniel Chao
設立年 2013年
拠点 サンフランシスコ、アメリカ
社員数 11-50人規模
事業内容 神経科学を用いたアスリート向け機器の製造・販売
会社URL http://www.haloneuro.com/

メンバー紹介

Daniel Chao

Daniel Chao
CEO、共同創業者
スタンフォード大学医学博士、神経科学理学修士。NeuroPace事業開発責任者、McKinsetコンサルタント、Lumos Catheter SystemsのCEO兼共同創業者を歴任。

Brett Wingeier PhD

Brett Wingeier PhD
CTO、共同創業者
元NeuroPace主席エンジニア、臨床科学者。米国登録特許代理人。医用生体工学博士。チューレーン大学、スタンフォード大学、スウィンバーン工科大学で研究。

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SAKIGAKE編集部

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