電気化学で排水を再利用-WTR Tec

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2011年に設立されたWTR Tec社は、排水処理およびリサイクルを専門としたスタートアップ企業である。工場・家庭から出る排水の浄化を手掛けており、幅広い分野において環境保全・水消費量のカットに貢献している。

設立以降、「フィルターを一切使わず、水中の不純物を分離させる」事をコンセプトとしており、同社の持つ技術はユニークかつ先進的だ。

「電気」で不純物を凝集・浮上

WTR Tec社が開発した分離技術は「電気化学」に基づいており、汚水に存在する懸濁物質を電気で凝集し、不純物を水面に浮上させるものである。同社はこの2つのプロセスを「Electro-Coagulation(電気凝集法、以下EC)」、「Electro-Floatation(電気浮揚法、以下EF)」と呼んで、一つのマシンで同時進行させる事に成功した。

通常、懸濁物質の表面はマイナスに帯電しており、何もしていない状態だと磁石のように物質同士が反発し合い、分散してしまう。そこで、プラスイオンを直接供給すると電気的に中和化され、引き寄せ合う現象が起きる。その結果、懸濁物質が大きなフロック(固まり)となって現れ、不純物として水と分離されるのである。最後に、電気で形成された微細な泡で、集合体となった不純物を水面まで浮き上がらせ、物理的手段ですくい上げれば浄化完了だ。

EC/EFは、懸濁物質にピンポイントで狙わなければならない為、気の遠くなるような実験と高度な設定が必要となり、実用化するのが非常に難しいとされていた。しかし、WTR Tec社の学際的研究によりこの問題は解消され、濾過フィルター・凝集剤なしでも分離させる事が可能となったのである。
WTR Tec_1
浄化前(左)と浄化後(右)の洗濯排水。NTUは濁度の単位を表す。
(出典:WTR Tec公式ページ

家庭で最大1/3の節水

EC/EFマシンを導入するメリットして、同社は次のように挙げている。

  • エネルギー消費を抑制
  • 濾過フィルター・薬品等は一切不要
  • 環境保護に貢献
  • 浄化率は95%以上
  • 再利用により、水使用量および水道代をカット

最後に挙げた水使用量に関して、同社は公式サイトで「全体の家庭用水のうち、トイレとシャワーだけでそれぞれ1/3の量が使用されている。したがってシャワーの水を浄化し、トイレの水として再利用すれば最大1/3の節水が可能」と述べている。

世界人口の増加や経済発展に伴い、水の需要が爆発的に増大すると予測されている21世紀。その中で、WTR Tec社は今後どのような形で節水に貢献していくのか、期待が膨らむばかりだ。

会社概要

会社名 WTR Tec
CEO Menashe Rajuan
設立年 2011年
拠点 イスラエル
社員数 1-10人規模
事業内容 EC/EFを用いた排水処理機器の開発・販売
主な商品 The Water Purification systems (WPYxx)
会社URL http://www.wtr-t.com/

メンバー紹介

Menashe Rajuan

Menashe Rajuan
創立者・CEO
イスラエルの国防省でキャリアを積んだ後、LeukoDx社・HoloOr社等のハイテク企業でオペレーションマネジャー・最高執行責任者として勤務。WTR Tec社の他に、R2M社・iPIPE社を立ち上げ、現在3社のCEOを務めている。

Sorel Rothschild

Sorel Rothschild
研究開発マネージャー
ヘブライ大学卒業。理学修士。30年以上バイオテクノロジー・排水リサイクル分野に携わっており、様々な企業で生産部長・生産開発マネージャー・シニアアドバイザー等を経験。WTR Tec社ではフリーランスという立場で、研究開発に従事している。

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SAKIGAKE編集部

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