微生物が世界を変える!プロバイオティクスへの取り組み-MyBiotics David Daboush氏

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生物学の研究をバックグラウンドに持つイスラエル在住の実業家、David Daboush氏。Didiの愛称で親しまれる彼は、人間の健康状態は体内の微生物のバランスで決まると考えています。プロバイオティクス製品(人間に良い影響を与える)の生産技術の研究開発に取り組むMyBiotics社を2014年に設立しました。

遺伝子工学や再生医療研究の華やかな成果がマスコミを賑わす現代ですが、Didi氏は体内の微生物のバランスこそが、人間の健康を左右するという意味で遺伝子よりもはるかに重要な役割を果たしていると考えています。「人体の内部には、人間の細胞の数よりも多くのバクテリア細胞が存在しています。バクテリアは遺伝子よりも100倍は重要なのです。私たちの体内の多種多様な微生物叢(そう)が、私たちの健康状態まで変えることがあります。細菌感染という場合もありますが、それ以外でも微生物のバランスが健康的ではなかったり、正常でなかったりすれば、私たちは病気になります。現在では、体内のバクテリアの組み合わせのバランスが崩れると、炎症や肥満、うつ病などのさまざまな病気につながると考えられているのです」とDidi氏は語ってくれました。

今回は、こうした発想のもとで設立されたMyBiotics社の創業までの経緯、事業内容について語って頂きました。

プロフィール

David (Didi) Daboush
イスラエル在住。ヘブライ大学でバイオテクノロジーと植物遺伝学の修士号を、その後テクニオン-イスラエル工科大学でMBAを取得。MyBiotics社を設立するまでは、Eコマース企業での事業開発の責任者、バイオテクノロジー企業や製薬会社でのデータ分析、バイオチップ製品の開発とマーケティング戦略等、バイオ技術と先端技術の両分野にまたがる領域横断的な業界で多岐にわたるキャリアを積んできた。

効率よいバクテリアの育成と、安全な細菌療法技術の確立を目指して

—まず初めにあなたのサービスについて教えて下さい。

MyBiotics社ではプロバイオティクスに関わる重要な問題の一部にターゲットを絞っています。私たちが強く信じているのは、多種多様なバクテリアを育てる能力が最も重要だということ、さらにもし長期的な臨床上の効果を引き出そうとするなら、これら多様なバクテリアを目的の場所に定着させ、コロニーを作らせなければならないということです。当社ではこうしたバクテリアの運搬と定着を非常に効率よく行うことのできる革新的なテクノロジーを開発しました。MyCrobeと呼ばれるこのテクノロジーのおかげで、たとえばサプリメントの素材の状態になったバクテリアを、製造工場や胃腸の内部といった厳しい環境下でも安定して取り扱えるようになりました。動物を使った実験では、臓器内のようなバクテリアの生育に向かない環境下でも、数週間にわたってコロニーを作ることに成功しました。

もう1つのテクノロジーがSuperDonorというもので、クロストリジウム・ディフィシル感染症による腸内細菌療法(*健康な人の腸内細菌を患者の消化管の内部に移植することで治療を行う)に代わる治療方法として開発されました。この感染症は急速に広がっており、米国内だけでも年に3万人近い死者を出しています。このテクノロジーを基に、腸内細菌療法に代わるクロストリジウム・ディフィシル感染症の清潔で安全な治療法を開発しているところです。今後5-6年で薬剤として市場に出すことを計画しています。

さらに健康補助食品も開発中です。

微生物の大きな力を信じ、一週間で始めた事業


—現在のビジネスを始めたきっかけは何ですか?

このビジネスは3人のチームで始めましたが、みんな何年もの間、バクテリアや新種の微生物には世界を変える大きな力があると考えていました。

数年前、家族を担当していた医師とパーキンソン病について議論していた時に、私は胃腸の疾患の発症に微生物叢(そう)が関わっているということに気が付きました。家に帰ってパーキンソン病の非運動症候について資料を読み漁り、パーキンソン病と微生物叢の変化は強く結びついていると知りました。また腸内細菌療法がある程度症状の改善に役立つということも知りました。この頃のデータは粗く、まとまった論文ではないケース報告しかありませんでしたが、私にも強い結びつきがあるように思えていたすべての出来事に説明がつくものでした。

私は仲間のところに戻り、企業を立ち上げるべきだと伝えて、一週間後に事業を始めました。現在、短期的にはパーキンソン病の治療法に取り組む予定はありませんが、最新の動向を注視して、いずれはこの分野にも関わっていきたいと思っています。

—あなたのモチベーションや信念についてお聞かせください。

私のモチベーションはもちろん、生命を救い、人々の体調を改善することです。他の目標は全てこの2つに関わっています。微生物叢(そう)はまだ新しい研究分野で、今後医療を大きく前進させる可能性があると確信しています。

人を救うためにはさらに多くの創造とイノベーションのステップを経なければなりませんが、また安全性、効率性、製品製造、マーケティング、流通販売や保存可能期間などを考慮するのも同じくらいに重要です。開発の初期段階ではこうしたすべての要素を考慮に入れています。非常に強力な士気の高いチームのおかげで、私たちは目覚ましい成果を挙げていますし、また驚いたことに、業界が何年も取り組んできた問題を限られた予算内でどうにか解決することもできました。

プロバイオティクスの浸透した日本で、事業のパートナーを見つけたい


研究室での様子 チームリーダーのJoao Gatica氏

—長期的なビジョン、目標についてお聞かせください。

私のビジョンは、バイオ医薬品と微生物叢関連の市場で力のあるプレイヤーになることです。私の目標はイノベーションと科学的研究でMyBiotics社のビジョンを達成することです。さらに他のプロバイオティクス企業との差別化も重要ですから、私たちはすべての製品で臨床試験を行って成果を示すことにしています。その後のステージとしては、現在の微生物叢に関するテクノロジーを食品、農業、化粧品といった分野に広げていきたいですね。

—日本の読者に向けて一言お願いします。

日本の企業と何年も仕事をする中で、そのハードワーク、規律、そして非常に高い品質を素晴らしいと思うようになりました。イスラエルから見ると、つねに日本の製品やテクノロジーは最高水準だと思いますし、私たちもこの水準に追いつくよう努力を重ねています。最後に日本を訪れて以降、最良の製品を世界に届けるため、共に事業を進めるパートナーを探しています。一つ驚いたのは、日本ではプロバイオティクスが深く浸透していること、そして伝統的な食事の一部として親しまれている健康食品に強く結びついていることです。

おわりに

私がベンチャーやスタートアップ企業の紹介記事をしていて常々感じるのは、価値を理解しやすく、将来性があり、それでいて野心的な事業のフィールドを見つけ出すことの大切さです。バイオ医薬品分野の中でも、体内の微生物環境という比較的新しいテーマに着目して事業を展開するDidi氏は、専門的な知識を活かして事業フィールドを選択し、しかもその有用性や魅力をわかりやすく熱意をもって伝えられる方でした。

原文

Introduction
We think our genetics is something we were born with and that it can not be changed, in the past decade following the NIH human Microbiome project many works have shown that bacteria play a role in our life, development and health. There are more bacteria cells than human cells in the human body and even more important more than 100 times more genes. Our microbiota or the composition of bacteria can change our medical condition; it can happen when there is an infection but in other cases when the balance is not healthy or normal. We can estimate today that wrong balance in the bacteria combination can contribute to inflammation, obesity, depression and more. Mybiotics was founded 2.5 years ago with a mission to harness the power of beneficial bacteria and create products and treatments to improve medical condition and cure patients.
――Could you tell me your profile briefly?
I live in Israel and my academic background is mostly biology, I combine my academic knowledge with entrepreneurship experience and business orientation. I have graduated the Hebrew university with MSc in biotechnology and plant genetics and hold an MBA from the Israeli institute of technology. In the past years I was involved in multi disciplinary companies in the biotech and high-tech fields. Prior to MyBiotics I worked in an e-Commence company as VP of business development, had my own data analysis company for biotech and Pharma companies and led the product development and marketing strategy of a bio chip based product for Glycoanalysis and protein characterization for Pharma companies.
――What is your service?
Mybiotics targeted few of the critical issues related to Probiotics. We strongly believe that the ability to grow wide variety of bacteria is critical and in addition these species should colonize the target site if we would like to get any long term clinical effect. We have developed two innovative technologies that allow us to get super efficient delivery and colonization of various bacteria, the technology called MyCrobe show that MyBiotics raw material can be stable in extreme conditions related to the GI and the production processes. In addition our results in animal show weeks of bacteria colonization even with hard to grow species.
Our second technology is called SuperDonor and was developed to replace feces in clostridium difficile infection, a fast growing illness that causes ~30000 deaths a year in the US alone.
Based on these technologies we are developing clean and safe treatment for clostridium difficile that is expected to replace fecal transplant and get to market within 5-6 years as a pill.
Additional products will be in a level of food supplement but
――What brought you to start your business?
We are a team of three that for many years understood that there is a huge potential in bacteria and new species to create a change in the world. Few years back during a discussion Parkinson with a doctor of a family member I realized that there must be a connection to the gut microbiota as it all starts with gastric problems and disorders. I went back home and red
――What is your motivation? What is your belief?
My motivation is clearly saving life and making people feel better, any other goal is related to that. I am convinced that the Microbiome is a new field that have the potential to do that and in the coming years. In order to cure a person we will have to go through many steps and innovation and creativity but not less important we will have to think about safety, efficiency, production, marketing, distribution and even shelf life. All of these factors are taken in account in the early stages of development. With a strong and highly motivated team we have clearly achieved very significant goals and surprisingly with very limited budget managed to solve problems that the industry is trying to solve for many years.
――What’s your long-term vision? What’s your goal?
My vision is to become a strong player in the Pharma biotic and Microbiome market. My goals are to achieve the company vision with innovation and scientific work, in addition it is critical for us to be different than any other probiotic company so we will support all our products with human tests. Looking for the next stage we would like to translate the technology to other areas such as food, agriculture and cosmetics.
――Please tell something for Japanese readers.
I have been working with Japanese companies for many years and learned to admire the hard work, order and very high product quality. In Israel we always considered products and technologies from Japan as the best and we still do. Following my last visit to Japan we are looking for partners and collaborations to work together and get the best products to the world. One fact that really surprised me was the fact that Probiotics is very much understood in Japan and strongly linked to the health food consumed as part of the traditional diet.

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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