3Dプリンターで作る筋電義手!人気キャラクターデザインで子供達に笑顔と希望を届ける-Open Bionics

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生まれつき腕が欠損していたり、事故や病気で腕を失ったりした人たちにとって義手は欠かせないものだ。

近年では、残された腕の筋肉が発する微弱の電気信号を検知することにより、自分の意思で指を動かすことができる「筋電義手」のニーズが高まっており、欧米を中心に導入が本格化してきている。ボール・かばん・フライパンはもちろんのこと、ワイングラスや豆腐など、従来の義手では不可能だったデリケートな物体も掴めるようになった。

その反面、多額の製作コストがかかり、日本で購入する場合、最低でも150万円負担しなければならない。コスト面での課題が世界で約200万人いるといわれる腕の切断患者に筋電義手を浸透させる上で、大きな壁となっている。

3Dプリンターで安価・短納期を実現したOpen Bionics社


Open Bionics社のPR動画(出典:Open Bionics公式YouTube

今回紹介するのは、イギリス西部の湾岸都市ブリストルに拠点を置くOpen Bionics社で、次世代の筋電義手の開発を手掛けているスタートアップ企業である。

同社は、義手を製作するにあたり「3Dプリンター」を活用。今まで値段が高く、手を出せなかった一般の人にも、最先端で高性能な義手を提供し、普及のための環境づくりに尽力している注目企業だ。

ユーザーによってサイズ・要望がそれぞれ異なるため、全てカスタムメイドで作られる。まず、ユーザーの腕を3Dスキャナーで読み込み、形状・特徴に関するデータを細かく収集。そして、腕のデータに基づいて3Dプリンターで義手を製作し、欠損している部位にフィットさせるのが一連の流れだ。

この技術を導入したことにより、筋電義手の製作コストが劇的に抑えられ、1体約3,000米ドル(約36万円)で購入することが可能。同社によると、この価格は「他社製品の約3分の1」だという。

また、制作時間の短縮も期待されており、3Dプリンターで製作した場合、わずか42時間ほどでカスタマイズされた高性能義手が完成する。

なお、設計は全てオープンソースで、同社のみならず世界中にテクノロジーを共有。さまざまな技術者に公開することで品質改良を進め、低価格・短納期の筋電義手の普及を後押しするのが狙いだ。

アメリカの大人気キャラクターをデザインに


子供心をくすぐるデザインを開発中(出典:Open Bionics公式ページ

Open Bionics社は子ども向け義手の製作にも力を入れており、世界的知名度の高いキャラクターのデザインをしている。

上の画像を見て頂けたらわかる通り、アイアンマンやアナと雪の女王のエルサ、そしてスターウォーズのライトセーバーをイメージした義手が紹介されており、子どもたちが喜ぶ魅力的なラインナップを開発中だ。

これらのデザインは、ウォルト・ディズニー・カンパニーから無償で使用許諾を得たことで実現。これにより、腕を失った子どもたちに笑顔と勇気を届けられるような筋電義手を提供することができる。これまで負担の大きかったリハビリを、「ヒーローやヒロインになるためのトレーニング」という位置づけで励んでもらうのが、Open Bionics社の願いである。

子供心くすぐるデザイン(出典:Open Biotics公式ページ

商業化の予定は?

そんなポテンシャルと遊び心あふれる筋電義手だが、実はまだ一般販売には至っていない。

同社は開発当初、「開発者と研究者向けにリリースした後、2016年11月以降に本格的な商業化を目指す」としていたが、諸問題により2017年以降になると発表。同社の公式Facebookにて、「2017年6月より臨床試験を開始した」と語っており、一般販売開始のアナウンスはそう遠くはないはずだ。

「筋電義手=値段が高い」という概念を覆そうとしているOpen Biotics社。3Dプリンターでの製作によりコスト削減、そして自由度の高い技術で、どこまで筋電義手を一般化できるか、今後も目が離せない。

会社概要

Open Bionics 会社名
CEO Joel Gibbard
設立年 2014年
拠点 イギリス・ブリストル
社員数 2-10人規模
事業内容 筋電義手の開発・販売
主な商品 Brunel Hand・その他関連部品(2017年7月時点)
会社URL https://www.openbionics.com/
沿革 2014年 創業
2015年12月 intel社主催の「Make it Wearable Award」で2位。20万米ドル(約2,200万円)を獲得(参照:Open Bionics公式ブログ)
2016年1月 国際通信社Bloomberg News主催Bloomberg Business Innovators 2016に選出(参照:Bloomberg :Business Innovators 2016)
2016年2月 ロボティックス情報サイトRobotics Business Reviewにて「2015年において最も影響力のあるロボティックス企業50社」に選出(参照:RBR50 – Robotics Business Review)
2017年6月 3Dプリントされた義手の臨床試験を開始(参照:Open Biotics公式facebook)

メンバー紹介

Joel Gibbard
CEO・共同設立者
英国プリマス大学卒(ロボット工学)。10代の頃よりロボットハンドの開発に注力し、数多くのプロトタイプを設計。低価格義手の普及を目指し、TEDHello Tomorrowなどで積極的にノウハウを提供している。

Samantha Payne
COO・共同設立者
英国チェスター大学卒(メディアジャーナリズム・英文学)。プロジェクト管理・ビジネス開発・マーケティングの経験を持ち、ビジネス感覚に優れた人物である。現在、Open Bionicsというブランドを世界に広める役割を担っている。

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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