自宅で楽しくリハビリを。脳疾患を持つ人々をサポート-Cognuse

CATEGORY: STARTUPS

TAG:

近年、在宅治療におけるリハビリに注目が集まっています。脳卒中や脳梗塞などの後遺症により、病院に行くことが困難な人たちの所へ医師や看護師が訪問介護をし、患者に合わせたリハビリを提供している病院が増えてきています。

また高齢化が進む日本では認知症患者が年々増え続けており、同時に介護が必要な人も増加しています。カリフォルニアのスタートアップ企業であるCognuse社は認知リハビリテーションと予防のためのシステムを開発している会社です。

同社のシステムはアルツハイマーや脳卒中、ADHDなど脳の神経症状を有する患者を対象として、脳の執行機能の回復と改善に焦点を当てて開発されました。このシステムの特徴は「実生活に必要な生活力を疑似体験する(料理の手順、買い物のシミュレーションなど)」ことです。

早期のリハビリシステムで患者をサポート

脳卒中や脳梗塞など神経症の病気は回復するまでに時間がかかり、合併症を発症する恐れもある為、早期の段階で明確な治療プロセスを作る必要があります。リハビリには四つのステージ(急性期、回復期、維持期、終末期)があります。Cognuse社は各プロセス(Care)においてコスト面やリハビリの種類などに関して医師と患者に最適なサービスを提供しています。

1.Intensive Care(集中治療)
病院での集中治療の後には、なるべく早期にリハビリをすることが必要になってきます。Cognuse社の認知リハビリテーションシステムではシステムを使った作業療法(買い物や料理の手順などのゲーム)で実生活に必要な思考回路の形成が目的です。スピーチセラピー(言語リハビリテーション)が行われる前にリハビリの内容を動画で見ることが可能です。患者とその家族にこれから実際に行われるリハビリプランを提示できるので安心してもらうことができます。


セラピストに理学療法を受けている様子。リハビリにはフィジカル面やメンタル面をすべてサポートできる環境が必要。(出典:cognuse社公式サイト

2.Acute(急性期)
自動で患者に合ったプランを考え、提供してくれます。もちろん提供されたプランを後で修正する事も可能です。作業療法、スピーチセラピー、理学療法など毎日のリハビリのスケジュールを専用のカレンダーで確認することができるため、自分にあったプランで無理なく進められます。この時点でリハビリを始める前の早期の脳トレーニングが始められます。


リハビリプランがカレンダーで表示される。プランはカスタマイズも可能(出典:ognuse社公式サイト

3.Subacute(回復期)
作業療法やスピーチセラピーなどのリハビリの結果は日々システムに記録されていきます。医者はシステムを通して退院後も患者が独立してリハビリが出来るようにサポートしていきます。この頃から同時に退院に向けての準備も進められていきます。

4.Home Acute care(維持期、週末期)
Home Acute careの段階では患者が退院して自宅での生活、リハビリをしていく段階です。医師はシステムを通して患者のリハビリの状況を知ることが出来ます。こうしてシステムを通して医者と患者を繋ぐサポートをしていきます。長期の入院や訪問診療は時間も経費もかかりますが、このシステムを利用することによってそういったコスト面の心配もなくなります。


認知リハビリステーションシステム利用の様子

同社のシステムは料理の手順や買い物、図形をまねして書くなどの生活に関連した動作をゲーム感覚で仮想体験します。ゲームを繰り返し行うことによって脳の活性化を促し、手先の運動機能の改善にも有効です。また、離れている家族や医師とリハビリのデータを共有することが出来ます。


タブレットを利用してシステムにアクセスする様子(出典:cognuse公式サイト

システムを活用して日本や海外の大学との共同研究にも積極的

Cognuse社は認知リハビリテーションシステムのデータベースをもとにした臨床研究や科学研究プロジェクトにも力を入れています。2013年には香川大学教育学部と共同して認知リハビリテーションシステムを用いた自閉症児と精神疾患児の治療の有用性についての研究を発表しました。現在はアリゾナ大学脳卒中センターで脳卒中後の精神的健康を調べるプログラムについての研究を行っています。

これまでリハビリは苦しい、つまらないなどのマイナスイメージが強く苦痛を伴う患者も少なくありませんでした。しかしこのようにゲーム感覚で集中できて、日々の成果を記録に残せるリハビリテーションシステムはやりがいを感じられ、積極的にトレーニングをする後押しにもなるのではないでしょうか。

医療技術の進歩によって長寿社会が実現されましたが、それに伴い病気を患う人が増えたのも事実です。Cognuse社の認知リハビリテーションシステムが今後、日本でも普及していくことを期待します。

会社概要

会社名 Cognuse
CEO Andres Mellik
設立年 2014年
拠点 カルフォルニア
社員数 1-10人規模
事業内容 認知リハビリテーションシステムの開発
主な商品 認知リハビリテーションシステム
会社URL http://www.cognuse.com
沿革 2014年 設立
同年 シードラウンドで45万ドルの資金調達
2015年 シードラウンドで12万ドルの資金調達
同年 500startupsに選ばれる(参照:crunchbase)

メンバー紹介

Andres Mellik
創業者、CEO
eラーニングアプリケーションと組み込みシステム設計や教育ゲームの分野において15年の経験を持っています。エストニアのタリン工科大学でBSc(Bachelor of Science:理学士)とMSc(Master of Science:理学修士)を、スイスのルガノ大学でM.Eng.(Master of Engineering:工学修士)を取得しました。さらに、東京とサンディエゴの研究センターでの研究任期を終了しています。

Danil Harik
共同創業者、CTO
ミッションクリティカルIS開発とシステムインテグレーションで13年以上の経験を積みました。エストニアのタリン工科大学でMSc(Master of Science:理学修士)を、ビジネススクールでMBA(Master of Business Administration:経営学修士)を取得しました。

TAG

WRITER

SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
MEDIA |  |