エラー0(ゼロ)!病院経営をも改善する薬剤追跡システムとは?-Kit Check

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ヒューマンエラーはいつでも起こり得る。それは当人の知識・確認不足もあるが、意思疎通や思い込み違いといったミスコミュニケーションが起因するケースも多い。病院薬剤部に所属する薬剤師および技術者達は日々多くの医薬品を管理している。Kit Check社はそんな大量の医薬品を管理するための医薬品追跡システムを開発した。CEOであり共同創設者のKevin MacDonald氏は、IoT とクラウドの両方の技術を病院の薬局に初めて導入し注目されている。

医薬品追跡システム


Kit Check社のスキャニングステーションとタグ付けされた医薬品(出典:Kit Check社公式ホームページ

社名と同じ名前を持つ「Kit Check」は医薬品の期限切れや残数など在庫の管理作業に費やす時間を劇的に削減するシステムだKit Checkを利用するためには全ての医薬品に個々を認識するためのタグを付ける必要がある。タグ付けは薬剤納入時に薬局内の薬剤師および技術者、また認定された第三者の再包装業者が行う。

病院薬剤部に各診療科から、その日に使用した医薬品の入ったトレイが返却されると、薬剤部の技術者はトレイ内の医薬品の補充作業を行う。この際、不足品はないか、有効期限は大丈夫か、などリストを片手に目視で確認作業を行なっていた。Kit Checkは、トレイごとスキャニングステーションに置くだけでトレイ内の医薬品のタグ情報を読み取り、補充が必要なもの、期限切れのものを表示してくれる。技術者はその情報に従い、医薬品を補充するだけで良い。その後、再びスキャニングステーションにトレイを設置し、正しく補充されているか二重チェックを行えば補充ミスはほぼあり得ないだろう。

Kit Checkを用いた交換および確認プロセスの自動化によって、再補充時間の71〜96%を節約でき、これまでトレイ内の5%から65%の範囲で存在していた手動投薬ストッキングエラー率が、Kit Checkの使用でゼロになったと報告があがっている。(参照:Kit Check社公式ホームページ)

なお、Kit Checkはクラウド・ソフトウェア・ソリューションであり、ITサポートを必要としない。薬剤チェックするため無償で貸し出されるスキャニングステーションを病院の薬局に設置し、同日中に使用可能だ。

このようなシステムは、単にエラーを少なくするだけでなく、患者のために役に立ちたいと考え従事している薬剤師たちを医薬品の補充・点検業務から解放にし、本来の業務に携わる時間を提供できたと言える。

Kit Checkがもたらす効果とは?


情報を的確に分析(出典:出典 Kit Check社公式ホームページ

Kit Checkはこれまで300もの病院や団体で使用されたノウハウを生かし、それぞれが抱える問題について実質的な数値やデータを示すことができる「Kit Check Analytics」を展開している。具体的には、医薬品の期限切れによる廃棄を減らすことや、代替品の提案、効率的な薬品配置の転換などの分析することが可能だ。

実際にエドワード病院の心臓血管麻酔室は、Kit Check Analyticsを使用して、手術に使用するオープンハートボックスに貯蔵されている85種の医薬品の平均および最大履歴使用状況を分析し、適切な在庫レベルについてのデータを算出した。エドワード病院はこのデータに基づき、ボックス内の医薬品の種類を85種から64種へ25%削減した。これは1ボックスにつき900〜1000ドルの節約につながり、さらにボックスは10キット流通していたため、 合計10,000ドルの節約になったと報告している。

医薬品使用データを分析することは、コスト削減と運用効率の決定に影響を及ぼすため、大変重要である。単純な変更が病院に数千ドル節約をもたらす。しかし、その変化を示す基本的な運用データがないために変更に踏み切れず、改善のチャンスを逃していることを見過ごしてはならない。さらに、Kit Checkがクラウド技術を使用していることで、リコール品への対応なども迅速にできるようになり、患者への安全性向上にもつながっている。

Kit Check社のシステムは、IoTとクラウド技術が、患者への投薬の安全性や可視性を改善するという具体的な形となって表れた良い例である。今後、アメリカ中の多くの病院経営に的確な改革をもたらす必須ソリューションとなりうる注目の企業だ。

会社概要

会社名 Kit Check
CEO Kevin MacDonald
設立年 2011年
拠点 Washington, DC
社員数 51-200人規模
事業内容 薬局・薬剤部に対応した、管理ソフトウェア開発
主な商品 Kit Check、SWAP Check、Kit Check Analytics
会社URL https://kitcheck.com/
沿革 2011年3月 Kit Check創設
2017年 現在14の投資会社から4ラウンドで3747万ドルを調達(出典:Crunchbaseサイト)

メンバー紹介

Kevin MacDonald
最高経営責任者(CEO)兼共同創設者
IoT(Internet of Things)、RFID(Radio Frequency Identification)、およびクラウドソフトウェア技術に関して15年以上に渡る経験を有する。2015年にDC地域で開催されたRock HealthによるDigital Healthのトップ50やE&Y Entrepreneurのファイナリスト(参照:EY公式サイト)など、多くの業界賞を受賞している。

  • 2011年 最高経営責任者(CEO)としてKit Checkを共同設立
  • 2004年11月-2010年12月 ODIN Technologiesの副社長
  • 2000年6月-2004年11月 Sun Microsystems(Sun Microsystems、Inc.は、Oracle Corporationの完全子会社)のReadRFIDArtitect
  • 1996年-2000年 Villanova大学を卒業し、コンピュータサイエンスの学位を取得

(Linkedin)

Tim Kress-Spatz
共同創設者
Kit Checkの病院薬局キット処理ソリューションのアーキテクチャ設計とシステム開発を指揮。2014年にRock HealthによるDigital Healthのトップ50として選出された。

  • 2011年-現在 Kit Checkの共同創設者
  • 2008年10月-現在Ambush.TVの共同創設者
  • 2012年11月-2013年2月 Rock Healthのフェロー
  • 2009年6月-2011年12月 Suite Arrival, IncのC共同創設者
  • 2007年3月-2008年10月YoYoNation.comのCTO
  • 1999年-2003年 Villanova大学を卒業し、コンピュータサイエンスの学位を取得

(Linkedin)

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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