ライブビデオストリーミングから自動運転車へ、未来への転換点を刻む-Cruise Automation

CATEGORY: STARTUPS

TAG:

世界の自動車メーカー各社が開発競争にしのぎを削る自動運転車。大手自動車会社は、自動運転の中核を担うソフトウェア技術を手がけるスタートアップの買収を急ぐ。中でも、米サンフランシスコに拠点を置くCruise Automation社は、2016年に米ゼネラル・モーターズ(以下、GM)の傘下に入った。GMはCruise Automation社の技術者らとともに、未来の自動運転車市場の制覇を虎視眈々と狙っている。

「ロボットの教祖」と言われた男、Kyle Vogt氏

CEOのKyle Vogt氏無しにCruise Automation社について語ることはできない。Kyle Vogt氏はマサチューセッツ工科大学(MIT)でロボット工学の研究に励み、周囲からは「ロボットの教祖」と言われるほどその才能が注目されていた。(参照:Recode 「Meet Kyle Vogt, the ‘Robot Guru’ Who Just Sold His Second Billion-Dollar Startup in Two Years」)

Kyle氏がビジネスの世界で頭角を現し始めたのは2010年。ビデオシェアリングサービスのSocialcam社(2012年にAutodesk社が買収)の共同創業者として、初期バージョンのモバイルアプリの開発を担当した頃だ。(参照:Autodesk CEO Explains $60 Million Socialcam Deal)

その後、Kyle氏はライブ動画配信サイト「Justin.tv」の共同創業者を経験、2011年にJustin.tvの発展形であるゲーム映像ライブ配信に特化したTwitchのサービス立ち上げに参画するが、2013年に同社を離れる。Twitchは2014年にAmazonに買収された。(参照:Amazon.com to Acquire Twitch)

Kyle氏が創業者として関わった会社はその後、大手企業に買収されており、彼の才能に対する評価は高いと言える。

米国の伝統的基幹産業に足を踏み入れる

ライブビデオストリーミングから始まった「ロボットの教祖」のキャリアが大きな転機を迎えるのは、ソフトウェアインキュベーターのYCombinatorから支援を受けてCruise Automation社を創業した2013年だ。

Justin.tv の創業者であるJustin Kan氏の実弟のDaniel Kan氏とともに、Y Combinatorに自動運転システムのアイディアを持ち込んだのが創業のきっかけだ。このとき、「ロボットの教祖」Kyle氏は、米国の基幹産業である自動車産業に足を踏み入れることになった。自動車という伝統的ハードウェア産業と新興ソフトウェア産業の融合によって自動運転車の開発に新たな一面を見せることになる。

2016年以降、GMの参加で自動運転システムの開発を進める(出典:Cruise Automation社公式サイト

2015年、Cruise Automation社はドイツの自動車大手アウディのAudi「A4」および「S4」の車体の天井部に後付けで設置することができる「RP-1」と呼ばれる半自動運転センサーユニットを開発した。RP-1は、GPSとIMU(慣性計測装置)に沿って、内蔵カメラで路上表面の映像を収集する。一度走行したルートをマッピングし、そのデータを他の車両とシェアし自動運転を可能にするものだ。(参照:WIRED「This Startup Says It Can Make Any Car Autonomous for $10,000」

「RP-1」は米カリフォルニア州限定で1万ドル(約110万円)で販売された。そして「RP-1」の開発以降、さらに転機が訪れる。2016年にGMが10億ドルの資金を投じてCruise Automation社の買収を決定したのである。(参照:SJ「GM Closes Acquisition of Cruise Automation」)


シボレー・ボルトを用いた実証実験の映像を2017年2月に公開した
(出典:Cruise Automation社公式YouTubeチャンネル

Vogt氏の稀有な才能を知るY Combinatorの Sam Altman氏は「Kyle氏がGMの次期CEOになる」とまで述べている。(参照:Recode 「Meet Kyle Vogt, the ‘Robot Guru’ Who Just Sold His Second Billion-Dollar Startup in Two Years」)

彼らが未来の自動車産業の中心に立つ日は遠くないだろう。彼らの今後の活躍に期待したい。

会社概要

会社名 Cruise Automation
CEO Kyle Vogt
設立年 2013年
拠点 米サンフランシスコ
社員数 101-250人規模
事業内容 自動運転システムの開発
主な商品 「RP-1」ほか自動運転センサーユニット
会社URL https://www.getcruise.com/
沿革 2013年 創業
2015年 半自動運転センサーユニット「RP-1」の販売開始
2016年 米ゼネラル・モーターズの傘下に入る

メンバー紹介

Kyle Vogt
CEO
2008年、マサチューセッツ工科大卒。ストリーミング動画配信プラットフォームを運営するJustin.tv社を経て、2011年に「Twitch」の共同創業者となるが、2013年に同社を離れ、Cruise Automation社を創業し、CEOとなる。
(参照:https://www.linkedin.com/in/kylevogt/)

TAG

WRITER

SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
MEDIA |  |