乾燥地農業を救いたい!~鳥取再資源化研究所 佐藤 重臣氏~後編

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(前編はこちら)乾燥地農業を救いたい!~鳥取再資源化研究所 佐藤 重臣氏~前編

今回は、鳥取再資源研究所で国際事業部統括として活躍されている佐藤氏に出展中のNEW環境展にお邪魔してインタビューさせて頂きました。

ご自身のビジョンや興味に併せてキャリアを変更されてきた佐藤氏。前半では、鳥取再資源研究所に参加されるまでのキャリアについて、後半では、国際事業部統括として参加されてから現在に至るまでの活動について語って頂きました。

国際事業部統括としてモロッコに挑戦!!

―その後は再び日本でアフリカ向けのコンサルという形で活動されたのでしょうか?

そうですね。しかし、会計系のコンサルティング会社であったり、日本人がアフリカで起業し並行してコンサルティング業務を行うといった形で、アフリカビジネスに関わるコンサルタントがかなり増えていました。

その様な状況で、いかにして自分自身のバリューを最大化するかと考えた時に、どこかの組織に所属して、組織のリソース、ネットワークを利用した方がいいのではないかと思うようになりました。一方で、組織の一員として、他の会社、他の人でも変わりがきくようなポジションで働くことには関心が持てませんでした。

その中で他のコンサルティングファームやコンサルタントなどが手掛けられないクライアントは中小企業である。またその中でも技術はあるけれど、海外開拓の人材がいないという様な会社がまさに自分が探し求めるフィールドだと考えました。

その条件に当てはまったのが、鳥取再資源化研究所でした。それで外部コンサルタントという形で参画し、対外的には国際事業部統括という肩書で取り組むことになります。

―鳥取再資源化研究所では、モロッコでの取り組みに注力されているようですが、何故モロッコなのでしょうか?

進出する国を選ぶ上でポイントは3つでした。大規模農家が多数いる、乾燥地である(自社製品の特性が活かされるため)、中小企業の取り組みを日本の公的機関が支援してくれる、といった3つです。

モロッコは、トマトの輸出額が世界第4位であり大規模農家がたくさんいて、乾燥地農業です。またJICAの支援プログラムが利用できる対象国である為、全ての条件に当てはまっていました。

―具体的にどの様にして進出していったのでしょうか?

JICAの企画に応募し、採用を受け進出しました。応募の前提条件として、現地政府機関のカウンターパート(実証実験パートナー)を準備しなければなりませんでした。

その為、カウンターパートを探すために現地で行われていた70万人規模の農業展示会に行き、政府機関のブースを全て回ってポーラスαの商品説明、またJICAと一緒にやれば費用負担も軽減されると、説得をしました。まさに飛び込み営業です。

その結果スス・マッサという地域の農業公団の所長に興味をもって頂き、彼らをカウンターパートとしてJICAの企画に応募することが出来たのです。

―御社の製品、ポーラスαについてお話頂けますか?

ポーラスαは、使用済みガラスと貝殻を原料としています。ガラスを破砕し、それを炭酸カルシウムと混合して焼成することで生成されます。鳥取大学乾燥地研究センターとの共同研究により、ポーラスαの保水性と透水性を活用した節水型の野菜栽培システムを構築しました。無害であり、組成が砂に類似しているため長期にわたって土中にあっても安全です。


(出典:鳥取再資源研究所HP

全ての乾燥地に普及させたい!

―モロッコの他に進出しようと思っている国はありますか?

世界中の乾燥地全部です。これからさらに人口が増加する中で、当然食料需要も増えていきます。2050年までに7割食料を増やさないといけないと言われています。食料を増やす方法は大きく2つあって、土地を増やすか、単収っていう1ヘクタール当たりの収穫量を増やすか、です。

しかし、今の農業のやり方に適した土地は5%しか拡げられないといわれています。そのため収穫量を増やすしかないのです。

収穫量を増やすためには水のやり方を変えたり、肥料を変えたりする必要があります。また次の問題として倍の作物を収穫するには、ざっくりいうと倍の水が必要になります。それで水があるのか、となった時に世界の水消費量の7割が農業ですから、今のままでは収穫量を倍に増やすことは出来ないのです。

しかし、ポーラスαがあれば水の消費量を半分に出来ます。現在の水消費量で、倍の収穫が見込めたり、農業を始める上で必要な雨量が半分の地域でも栽培が可能になる。絶対に広めなければならないと思っています。


―最後に会社及び個人の目標をお願いします。

会社のゴールでいうと「地球環境をより良い形で次世代に受け継いでいく」というビジョンがありますので、技術的に貢献できる世界中のあらゆる地域に普及させていくということです。2、3年でみるとモロッコの会社をキチンと回す仕組みを作りたいですね。

また個人的には、常に仕掛けを作る側に立ちたいと思ってます。オペレーションの部分は、自分より上手くやれる人がいれば渡していきます。世界的な問題を解決しようとし、技術を持っているのに人材などの問題から海外に出ていけてない会社はたくさんあると思っています。

その様な会社を見つけ、手を貸し、仕掛けを作る。これは常に考えていることです。

終わりに

世間的には知られていないが世界で通用する、また世界の問題に立ち向かっている中小企業が日本にはたくさん存在しています。

佐藤氏の様に日本の中小企業の技術を世界に広める、そんなビジネスパーソンが今後更に必要ではないかと感じました。今後も乾燥地農業の生産性を向上させる為に活動されるのか、または新たな技術を発見し仕掛け人として広めていくのか今後も佐藤氏の活動に注目したいと思います。

プロフィール

佐藤 重臣 – Sato Shigeomi –

2001年に東京大学文学部卒業後、国内IT企業→インドIT企業→米系戦略コンサルティングファーム→国内政府系金融機関→セネガル留学を経験。
セネガル留学からの帰国後は、日本をベースとして、日本企業のアフリカ進出支援コンサルティングや情報発信を行うコンサルティングオフィス「アフリカビジネスパートナーズ」を設立。
現在は、鳥取再資源化研究所の国際事業部 部長としてアフリカを含む海外事業の立ち上げ・拡大に注力している。

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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