人間工学とウェアラブルIoTが肉体労働者をケアする-StrongArmTechnologies

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倉庫への貨物の出し入れを行う荷役作業や建設現場での資材運搬などを担う肉体労働者をインダストリアル・アスリート(industrial athlete)と呼ぶ。作業中に発生するけがや傷害と隣り合わせの過酷な労働環境で日々の業務を遂行するためには、けがや傷害の発生リスクを管理し、アスリートさながらに鍛えられた自らの身体能力から最大限のパフォーマンスを発揮する必要があるからだ。

StrongArmTechnologies社が開発したウェアラブルな着脱式プロテクターである「ERGOSKELTON」シリーズは、労働環境の安全性向上に人間工学とIoTを活用し、安全性の確保と業務効率の向上を実現する。

エルゴノミクスとIoTの融合を目指して


FLx ERGOSKELTONは荷物の運び上げの姿勢を補正する
(出典:StrongArmTechnologies社公式サイト

StrongArmTechnologies社は、インダストリアル・アスリートたちの労働安全性を確保し、労働災害の発生を抑制するためのアプローチとして(1)先進的人間工学(2)遠隔測定(3)安全性分析の3つのコア技術を基に、エルゴノミック(人間工学的)デザインで設計された着脱式のプロテクターと多変量解析アルゴリズムを実装するIoTクラウドプラットフォームを開発した。(参照:https://www.strongarmtech.com/strongarm#terminology

プロテクターは機能が異なる2機種がある。一つは、Posture Feedback System(体勢の情報フィードバックシステム)を搭載し、重量のある荷物を運ぶ際に腰や肩に過度な負担がかからない最適な姿勢の取り方に体勢を補正する「FLx ERGOSKELTON」だ。労働者が危険性の高い体勢を取ろうとしたとき、米国労働安全衛生庁が定める安全基準ガイドラインに沿った体勢を自然に取り直せるよう促すフィードバック機能を持つ。(参照:http://multimedia.3m.com/mws/media/1182158O/strongarm-flx-sell-sheet.pdf


V22 ERGOSKELTONの製品概要(StrongArmTechnologies社のVimeo公式チャンネル)

もう一つは、背中に装着するプロテクターの肩の部分から腕にかけてワイヤーを伸ばし、ワイヤーをクラッチで荷物に引っかけることで重量負荷を物理的に軽減する「V22 ERGOSKELTON」だ。荷物を持って移動する際のけがや傷害の発生リスクを抑え、スムーズな移動を可能にするものだ。(http://multimedia.3m.com/mws/media/1182159O/strongarm-v22-sell-sheet.pdf

ERGOSKELTONのプロテクター単体としての機能は、エルゴノミクスの知見を生かした技術が活用されたものだが、これに加えて、「FUSE SENSOR」と名付けられたIoTモーションセンサーを搭載すれば、労働者の姿勢をリアルタイムでモニタリングすることができる。センサーから得られたデータは、機械学習アルゴリズムを実装するクラウドベースのIoTソフトウェアである「FUSE Risk Management Platform」を通して多変量解析を行うことが可能になる。


FUSE Risk Management Platformのダッシュボード(StrongArmTechnologies社公式サイト

こうしたIoTを活用したリスク管理ツールを駆使すれば、労働現場総体としての安全性管理とパフォーマンスの最大化が図られ、安全管理のコンプライアンス基準の達成のための「補助輪」として機能するというわけだ。

ブルックリン「NewLab」が駆動する都市型ものづくりの現在



旧米海軍造船所跡地を改修し、ものづくりスタートアップのシェアスペースが作られた
(出典:http://macro-sea.com/projects/new-lab/#1

StrongArmTechnologies社は、ニューヨークのブルックリン地区の心臓部である旧米海軍造船所跡地に2016年9月にオープンした都市型ものづくりスタートアップのシェアスペースである「NewLab」に拠点を構える新興ハードウェア企業のひとつとしても知られている。8万4000平方フィート(約7800平方メートル)もの広大な敷地を持つNewLab には、StrongArmTechnologies社のほか、AI、ナノテク、バイオ、IoT関連のスタートアップがひしめいている。

エルゴノミクスとIoTを肉体労働現場の安全性管理に応用したStrongArmTechnologies社の思考のように、異種の技術を点から面へ展開するように組み合わせる発想は、こうした場の力を推進力として発展していくのかもしれない。今後のさらなる広がりが期待される。

会社概要

会社名 StrongArmTechnologies
CEO Sean Petterson
設立年 2011年
拠点 米ニューヨーク・ブルックリン
社員数 11-50規模
事業内容 ウェアラブル製品とIoTシステムの開発
主な商品 FLx ERGOSKELTON、V22 ERGOSKELTON、FUSE Risk Management Platform
会社URL https://www.strongarmtech.com/
沿革 2011年 創業
2012年 ロチェスター工科大学(RIT)在学中だったCEOの Sean Petterson 氏がERGOSKELTONの初号機を開発
2012年11月 初回のシード投資を受ける
2016年1月 3M社から出資を受け入れる
(参照:https://www.strongarmtech.com/strongarm#timeline

メンバー紹介

Sean Petterson
CEO・創業者
2011年10月、ロチェスター工科大学在学中にStorngArmTechnologies社を創業、CEOに就任。2012年にERGOSKELTONの初号機を開発した。2017年には、経済誌「フォーブス」が30歳以下の重要経済人30人を選ぶ「Forbes 30 Under 30」に選出された。
(LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/sean-petterson-39b89b2a/

Rahul Bhansali
CRO
ペンシルベニア州立大学卒業後、バブソン大学でMBA取得。投資銀行のRBC Capital Markets社などを経て、2014年にStorngArmTechnologies社のCRO(Chief Revenue Officer=最高販売責任者)に就任。(LinkedIn: https://www.linkedin.com/in/rahul-bhansali-a100992/

Michael Kim
CTO
ニューヨーク市立大学卒業後、住宅設備製造のWatermark Designs社などを経て2013年11月、StorngArmTechnologies社のCTOに就任。
(LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/michael-kim-55832767/

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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