遺伝子組み換えしない品種改良で作物の生産量を増やす-Kaiima Bio-Agritech

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「2050年までに、農家は今よりも70%多く生産しなければならない」

Kaiima Bio-Agritech社の社長、Doron Gal氏は言った。

世界人口の増加に伴い、増えていく食料需要。飢えに苦しむ人々を救うため、同社は独自に開発したEP™技術を駆使してその課題に立ち向かう。

EP™技術とは

EP™技術とは、ゲノム(遺伝情報)に新規の多様性を導入することによって、高パフォーマンスの作物を生み出す技術である。

まず、独自の選定法により優れた遺伝子をもつ種を選び、そのDNAを使ってゲノムに多様性を導入する。それにより、品質を高められた複数種類の作物ができる。その中で特に優れたものを再び選定し、その種類の作物を自家受粉(同一個体内で受粉)させることで高品質の作物を生産する。

EPTM技術を用いた品種改良の流れ
(出典:Kaiima Bio-Agritech社公式サイト

EP™技術を用いた品種改良のメリット:
・ 生産量が10%程度増加する
・ 作物の性能が高まる(病気やストレスに強い、異常気象にも適応できるなど)
・ 土地や水の使用効率が向上する
・ 作物のCO2吸収量が増加する

世界の食料安全保障のために

Kaiima Bio-Agritech社は、世界の食料安全保障を達成するため、世界各地における農業生産性の向上に挑戦している。

食料安全保障(Food Security)とは・・・
すべての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的にも経済的にも入手可能であるときに達成される。

世界の人口は増加を続け、2050年には約97億人になると言われている。それに伴い、当然、世界の穀物消費量は増加するだろう。肉類の消費量も増え、牛や豚などに与える飼料用穀物の消費量は、人が食べる食用穀物の消費量を上回るペースで増加することが予想されている。現状のままでは、穀物の生産量が消費量に追い付かず、いずれ世界の食料需要はひっ迫されてしまう恐れがある。(参照:外務省 我が国の食料安全保障の確保に向けた取組


EP™技術評価活動マップ 2016年1月時点
(出典:Kaiima Bio-Agritech社公式パンフレット

上の画像は、Kaiima Bio-Agritech社がEP™技術で改良した作物の評価活動マップである。イスラエルに拠点を置き、アメリカと中国に子会社をもつ。その他にメキシコ、プエルトリコ、EUでも活動している。世界の食料需要に応えるためには、様々な環境に適応できる品種でなければならない。現在は影響力の大きいトウモロコシ、小麦、米、大豆に力を入れて品種改良を進めている。

“Kaiima”とは古代ヘブライ語/アラム語から由来した言葉で、”Sustainability”、つまり”持続可能性”という意味だそうだ。現在、別の生物の遺伝子を利用した「遺伝子組み換え作物」が世界各国で栽培されている。しかし、人体や生態系へ悪影響を及ぼす可能性が懸念されており、長期的に持続できる手法だとは言い切れないだろう。一方、EP™技術は栽培する作物自身のDNAを利用した品種改良法である。持続可能な解決策の一つとして、この新たな手法に期待したい。

会社概要

会社名 Kaiima Bio-Agritech
CEO Richard Greubel
設立年 2007年
拠点 イスラエル
社員数 111人
事業内容 EP™技術を用いた作物の品種改良
主な商品 EP™技術によって性能が高められた作物
会社URL http://www.kaiima.com/
沿革 2002年 EP™技術が開発される
2003年 最先端の伝統的な育種法をベースにTop Seedsが設立される
2007年 EP™技術の研究を基盤として、Kaiima Bio-Agritechが設立される

メンバー紹介

Richard Greubel
CEO
2015年からCEOを務める。最近まで、製薬・食品・飼料産業における栄養・材料分野の大手サプライヤーであるDSM Human Nutrition & Healthの社長として働いていた。それ以前にはMonsanto社Tyson Foods社で様々なポジションを経験。Monsanto Brazilの社長を務めている間、種や植物の特性、除草剤の事業を担当していた。
(出典:Kaiima Bio-Agritech社公式サイト

Doron Gal
社長
2007年11月から社長兼ディレクターとして勤務している。その前には事業開発のCEOとVPを務めていた。スタンフォード大学の地球物理学で博士号を取得。IDC Herzliyaでエネルギー関連のシニア・リサーチフェローを務めていた。
(出典:Kaiima Bio-Agritech社公式サイト

Kevin Cook
最高技術責任者
2015年から最高技術責任者として勤務している。それ以前にはMonsanto社で研究開発のリーダーを務め、トウモロコシの性能や育種開発に携わる。製品開発、遺伝子導入、パイプライン管理、穀物の形質、植物育種に関して専門的技術をもつ。
(出典:Kaiima Bio-Agritech社公式サイト

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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