安全で効果の高いサプリメント、日本人のメタボ予防にも期待―Gelesis

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「肥満を減らすのに成功した国は一つもない」

高血圧、高脂血症、糖尿病など、あらゆる慢性疾患の原因となるのが肥満。太っている人と言うと中高年男性のイメージが強いが、近頃では子供の肥満もまた大きな社会問題となっている。2014年、世界肥満実態(GBD)調査がワシントン大学健康指標評価研究所(IHME)によって行われた。

188か国で行われた1700件以上の調査・研究を基に算出された2013年の世界の肥満者の数は6億7100万人。過体重も合わせると21億人にのぼる。1980年代から肥満者数は一貫して増え続けており、調査に加わったワシントン大のクリストファー・マーレー教授は「過去33年間、肥満人口を減らすのに成功した国は一つもない」と語ったという。(参考: 糖尿病ネットワーク ニュース)米国に拠点を持つGelesis社が取り組むのは、先進国最大の健康問題とも言うべきこの肥満の予防と改善である。

肥満対策サプリメントGelesis100


Gelesis100が作用するプロセス
(出典:Gelesis社公式サイトより

Gelesis社が開発中のメインプロダクトは、ナノテクノロジーを活用した肥満改善薬、Gelesis100だ。これは小さなカプセル型のサプリメントで、食前に水で飲むとヒドロゲルの小さな粒子が胃の中で放出され、水分を吸収する。この粒子は胃の中で食べたものを取り込んでグミのような形状になり、食べたものを“かさ増し”することで強い満腹感を発生させ、通常よりも長い時間持続させる。さらに小腸の壁に張り付き、グルコースの吸収を遅らせるバリアーを形成。最後に粒子は大腸の中で縮み、水分を放出してから体外に排出される。

主成分のヒドロゲルが人体に与える影響はほとんどなく、薬や手術などで食欲を抑制するよりもずっと安全で低コストだ。こんにゃくで食事を“かさ増し”して満腹感を高めるなどといった一般的なダイエット法と原理は同じだが、カプセルを飲むだけなので食事のメニューを工夫するよりずっと手軽に済ませられる。

実用化されれば日本でも流通する?

このユニークなカプセルGelesis100は、2014年11月から開発が始まり、2016年4月からはアメリカ食品医薬品局の認可を受けるための試験段階にある。米国、ヨーロッパ、ロシアなどの他、日本でも対応特許を取得しているというから、いずれこの薬が実用化されれば、日本で手に入る日が来るかもしれない。

日本でもいまや肥満は国民病と言われる。特に内蔵型肥満とそれに付随する病気はメタボリックシンドロームと名付けられ、国家レベルで予防の取り組みが進められてきた。将来、Gelesis100が日本の肥満対策にも光明をもたらす可能性もあるだろう。

会社概要

会社名 Gelesis
CEO Yishai Zohar
設立年 2006年
拠点 米国
事業内容 肥満予防・解消用サプリメントの開発
主な商品 Gelesis100
会社URL http://gelesis.com/
沿革 2006年 創業
2008年 シリーズAラウンドで1600万ドルの資金調達に成功。
2010年 食後の満腹感を高めることで肥満を予防するサプリメントAttivaの構想、および基盤となるデータを発表。これがGelesis100の元となった。
2014年 Gelesis100の本格的な開発がスタート。
2016年 アメリカ食品医薬品局の認可を得るため、アメリカ人の患者を対象とした初めての臨床試験を開始。

メンバー紹介

Yishai Zohar
創業者、CEO
イスラエル出身。バイオ・医薬品分野を専門とする野心的な起業家で、これまで25年以上にわたり数多くの投資会社や研究開発企業を立ち上げてきた。イスラエルでは空軍将校も務めた。
LinkedIn https://www.linkedin.com/in/yishai-zohar-01115960

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SAKIGAKE編集部

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