地球温暖化を食い止めるのは革新的なセメントかもしれない-Solidia Technologies

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世界の5~7%を占めるセメント産業の温室効果ガス排出量

地球温暖化の一因と言われている温室効果ガスを削減するために公共の交通機関や再生可能エネルギーの利用を促進する他、街には「エコ」の文字があふれ、持続可能な社会の実現のために世界中が取り組んでいる。

セメント産業も例外ではなく、セメントやコンクリートを作る過程などで発生するCO2は、世界全体で排出されるCO2の5~7%にも及び、これはエネルギー産業に次いで第二位の量である。膨大な温室効果ガスの問題を解決すべくSolidia Technologies社(以下Solidia社)はCO2で硬化するセメントを開発した。

CO2を注入して硬化するセメント


Solidia社の技術
(出典:Solidia社公式サイト

建築材料として頻繁に使われるコンクリートは、セメントと砂、それから水を混ぜ合わせて作ることが一般的だ。しかし、Solidia社が開発したSolidia CementはCO2を注入することで硬化するセメントである。Solidia Cementと砂をざっくり混ぜ、隙間に水とCO2を注入するとSolidia CementとCO2が反応し、硬化してコンクリートとなる。また同様の手順で製造されるのが同社のSolidia Concreteである。

「Solidia Cement」は今までセメント業界で使われていたものと同じ生産工程、装置、原材料を活用でき、今まで一般的に使用されてきたセメントの代替品となる。特徴はエネルギー消費量が少なく、温室効果ガスやその他の汚染物質の発生が従来品よりも30%少ないことだ。

「Solidia Concrete」は従来のコンクリートよりも耐久性の高い代替品である。硬化中に重量の5%相当のCO2を外気から取り込むことで隔離し、圧縮強度、耐摩耗性などを従来のコンクリートと同等もしくはそれ以上に設計することが可能だ。さらにコンクリートが固まるまでの硬化時間が24時間以内と従来品に比べると短いため、急を要する現場でも重宝するだろう。

セメントとコンクリートの製造工程でCO2を利用するため、CO2排出量を最大で70%削減することができるだけではなく、水の消費も最大80%削減、燃料も30%削減できる他、コストの削減も可能だという。

裏付けされた高度な技術が持続可能な未来を見据える


硬化後の建築資材
(出典:Solidia社公式サイト

CO2でコンクリートを硬化すると頑強で安定するということは科学者の間では知られており、50年以上に渡り多くの人が挑んできたことだが、Solidia社はこの技術で初めて商業的に成功する企業となる可能性を秘めている。

Solidia社の共同開発機関には同分野のリーダーや政府、学術機関も含まれており、製品の強度や耐久性は米国内外の標準・規格設定機関の基準に基づいて試験され、実証もされている。さらにSolidia社は世界で37件(内、米国内で7件)の特許を取得しており、申請段階のものも含めて200件の特許ポートフォリオを描いている。

持続可能な発展のための世界経済人会議「WBCSD(the World Business Council for Sustainable Development)」のセメント産業部会は2050年のセメント産業におけるCO2削減目標を設定しているが、その目標達成を可能にするのがSolidia社の技術かもしれない。

会社概要

会社名 Solidia Technologies, Inc.
CEO Thomas Schuler
設立年 2008年
拠点 アメリカ合衆国ニュージャージー州
社員数 51~200人
事業内容 CO2を利用して硬化するセメントの研究開発
主な商品 Solidia Cement、Solidia Concrete
会社URL http://www.solidiatech.com
沿革 2008年 創業
2012年2月 BASF Venture Capitalから500万ドルの投資を受ける
2013年7月 R&D 100 Awardに選出
2013年7月 ラトガース大学の特許であるCO2隔離と低温硬化を商業化
2013年11月 Global Cleantech 100に選出
2014年2月 NJBIZにより2014 Best Place to Work in New Jerseyに選出
2014年3月 Katerva Awardのファイナリストとなる
2014年4月 CCEMC Grand Challenge First Round Finalistに選出され、50万ドルを獲得
2014年10月 the 2014 Global Cleantech 100に選出
2014年10月 DOE National Energy Technology Laboratoryより追加で752,000ドルの援助を受ける
2015年2月 Cory Booker米国上院議員の関係者が来訪
2015年4月 LafargeHolcim社とパートナーシップ契約を結ぶ
2015年12月 NJBizによる2015 Business of the Yearに選出
2016年3月 日本のNHKニュースで取り上げられる
2016年6月 The 2016 Sustainia100に選出
2017年3月 The ERA Grand Challengeで勝利を収めた4社のうちの1社に選ばれ300万ドルを獲得

メンバー紹介

Thomas Schuler
CEO
バージニア大学で機械工学の学位を取得し、金融とマーケティングの大学院で広範な研究を行った。ドイツ語とフランス語の会話に長けている。過去にデュポン・ビルディング・イノベーション社を含む10億ドル規模の収益を上げたグローバル企業2社を率いた経験があるなど、25年以上に渡るグローバルなリーダーシップの経験を有す。2011年にSolidia社に入社し、グローバルな商業化に向けて会社をリードしている。

Nicholas DeCristofaro
CTO
マサチューセッツ工科大学で冶金学の学士号と修士号を取得し、同大学にて材料科学と工学のPh.D.を取得。Solidia社の研究開発における先駆者であり、知的財産戦略責任者である。産業界における材料科学の革新をマネージメントする豊富な経験を有する。66件の特許と、30件の書籍出版実績を有する。

Bo Boylan
CCO
バージニア工科大学でマーケティングマネージメントを学び、卒業後はウェイクフォレスト大学でM.B.A.、ノースカロライナ州立大学でPh.D.を取得。過去にスタートアップベンチャー、資本の再分配化、革新と戦略的なマーケティングとセールスの取り組みが必要な成熟企業でのリーダーシップを含む多様な経験を持つ。Solidiaの技術を商用化する責任者である。

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SAKIGAKE編集部

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