誰が収穫するの?豊作をもたらすかもしれない農業のデータを-AgProExchange

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農業のデータ所有権は誰のもの?

従来のトラクターマシーンに、新しい装置を取り付けようと農家が立ち上がった。それは、アメリカの農業分野において、全く新しいものになるかもしれない。

2015年10月28日、アメリカの農家が集まって、農業委員会(House Agriculture Committee)の聴聞会において、農業データの所有権、プライバシー、市場操作問題など危惧する問題を提案した。

一番の問題は、農家に農業データの所有権がないことだ。今までアメリカの農家達は沢山の機械や装置を利用して農業データを取り出していたが、そのほとんどのデータは機械や装置業者が所有している。そして、そのデータとてつもない価値を生み出すかもしれないのだ。
(参照:Agricultural data is a new cash crop, but who reaps the harvest?

オースティン、テキサス州のAgProExchange社は、農業業界で初の農家主導型クラウドベースのプラットフォーム(プロットフォーム名:AgExchange)の提供を開始。このプラットフォームは農家によってコントロールされ、すべての産業のサービスパートナーやテクノロジープロバイダーにも公開される。農業業界全体を繋げるプラットフォームだ。まさに農家による農家のために作られた農業IoTと言えるだろう。


(出典:AgProExchange社公式サイト

農家主導により、AgExchangeのプラットフォーム内で異なる装置から必要なデータを安全に蓄積収集、閲覧、そして、そのデータを各自でコントロールすることができる。業者同士でも情報交換可能。これにより、膨大な農業関連データを収集し一般化することを可能にする。

Turn Data into Dollars (データを価値のあるものに)

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データをお金に変えようではないかと、農家が打ち出したオープンプラットフォーム。 農家とサービスパートナー、農業装置メーカーなどをオープンプラットフォームで繋げる(出典:AgProExchange社公式サイト

<AgExchangeのメリット>
農家:膨大なデータの収集、一般化により、より素早い解決や改善が可能。
サービスプロバイダ(経理、保険、運送や農学者などの様々なサービス提供者):収集されたデータを使って、より幅広いサービスの拡大と向上。
機械、端末装置メーカー:AgExchangeによって、自社の製品をより身近に発見されやすくするのに有効。
プラットフォーム提供者:多岐にわたるアプリケーションを通じて、データのアクセスや収集を通じ、より良いサービスや商品を提供することが可能。

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AgExchangeのプラットフォーム画面(出典:AgExchange社公式サイト

これまで装置やソフトウェア毎に異なるプラットフォームを利用しないといけなかったが、AgExchangeはシンプルな操作により、他の装置のプラットフォームにも簡単にアクセスすることができる。 また、膨大な農業データを分析し、使用できるデータや情報に変換することを実現した。

AgExchange はベータテストを経て、2015年秋にリリースされ、2017年4月現在ほとんどの機能が無料で利用可能だが、課金にて追加機能やサービスも行っている。

GISC(Grower Information Service Cooperative)社との提携

AgProExchange社のオープンプラットフォームは、Grower Information Service Cooperative社 との提携により実現した。(以下GiSC)GISC 社は、ノンプロフィットで経営されているデータ管理会社。農家を主導にしてビッグデータをアメリカの農産業に取り込もうとしている農業生産者に運営されている唯一の団体なのだ。

AgProExchange社は、GISC社の目標を遂行するためのテクノロジーの独占パートナー企業である。
これにより、AgProExchange社が目的として掲げた、「農家主導、詳細なデータの搾取、コントール、保存」を可能にした。そして農家が許可をすれば、ほかの業者やサービス提供者、研究者や他分野のビジネス関連の関係者にいつでもそのデータを共有することが出来る。

あとがき (データのフューチャー)

AgProExchange社は、初期投資も含め数人の農業経営者や農業産業に携わる人から始まった。
自分たち農家のデータを自分たちの手にと、それは冒頭に述べた「誰が農業のデータをどうやって管理、使用しているのか?」というデータ利用の所有権に対する危惧からであったであろう。

実際、農業の生産者の間では、いつも天候管理、肥料管理、環境管理、農園管理、酪農管理などという言葉は口にするが、データ管理という概念は定着していなかったであろう。 しかし、農業の生産者側が、データ活用の価値を理解、活用することの重要性を認識したのである。
将来、この貴重な農家コントロール型のデータ管理という新種の種が、農家の人たち、そして、アメリカ農業産業全体に豊作をもたらすことに期待したい。

会社概要

会社名 Ag Pro Exchange, LLC
CEO Dave Lundgren
設立年 2010年
拠点 米テキサス州オースティン
社員数 11-50人規模
事業内容 農業向けクラウドベースプラットフォーム
主な商品 AgExchange
会社URL http://www.agproexchange.com/
沿革 2010年 創業
2013年12月 Insure ベンチャーキャピタルより$1,115,000の資金調達
2015年秋 オープンプラットフォームのAgExchangeをリリース
参照 Angellist
LinkedInhttps://www.linkedin.com/company/ag-pro-exchange

メンバー紹介

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Dave Lundgren
CEO
製造業、金融、保険関連でCEO とマネージメント一般に携わる。前職は、CUNA Mutual InsuranceのCEO/President。General Electricのコンスーマープロダクト部門(国内外共)を18年間率いた経験有。現在、Jewelers Mutual Insurance Company のボードメンバーも兼任。サウスキャロライナ大学にて、経済専攻後、同大学院にて、教育科卒業。
(参照:公式サイト

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Rob Keel
CFO
航空関連、ヘルスケア関連で、財務一般、マネージメントなど経験。前職は、イギリスベースのAlliance Healthcareにて、ビジネスデベロップメント部門の責任者。
ノースウエスタン大学にて、インダストリアルエンジニアとマネージメントサイエンス専攻後、ハーバード大学のビジネススクールにて、MBA取得。(参照:公式サイト

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Billy Tiller
創業者&Director
家族経営の、農作物、酪農などを営む農園の4代目。現在、テレコミュニケーションとアグリカルチャーバンク両会社のボードメンバーも兼任。他、様々な農業関連事業のコンサルティング、アドバイザー業も務める。テキサステック大学にて、経理科専攻。
(参照:公式サイト)

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SAKIGAKE編集部

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