視覚障がい者の歩行をサポート。障害物検知のウェアラブルデバイス「The BuzzClip」を開発-iMerciv

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目の不自由な人にとって、外出は決して容易なものではありません。建物の壁、段差、自転車、看板など歩行中にさまざまな障害物が存在し、衝突しないよう前方の様子を常に意識しなくてはなりません。

そのため、一人で外出する際は白杖や盲導犬を利用している人が多いかと思います。しかし、木の枝など足元ではなく高い位置にある障害物は白杖や盲導犬では気づきにくく、上半身にケガを負ってしまうかもしれません。

今回紹介するのは、そんな予想外な事態を回避してくれる「The BuzzClip」と呼ばれるデバイスを開発・販売しているスタートアップ企業、iMerciv社です。

父の緑内障をきっかけに…

iMerciv社は2014年8月、カナダのトロントにて設立。中心メンバーは共同創業者であるBin Liu氏(CEO)とArjun Mali氏(COO)の二人です。

The BuzzClipの開発に着手したきっかけについてLiu氏は「父が緑内障に罹ってしまい、50歳を過ぎたころから視力が徐々に悪化していきました。そんな父をサポートするデバイスを作りたいと思ったのがきっかけです(英語原文:“My dad has glaucoma. He has a lot of vision left but he’s over 50 years old so it’s only going to get worse. My intention was to create something he could use.” 引用元:CTV NEWS http)」とCTV Newsのインタビューで話しています。

そして、長年インドの盲学校と孤児院で支援活動をしているMali氏と出会い、お互いのビジョンを共有し、二人は意気投合。より多くの視覚障がい者の生活を豊かにするため、同社を立ち上げ、The BuzzClipを完成させました。

(参考:CTV NEWS ”Canadian inventors’ tiny device helps blind navigate daily life”

「超音波」で障害物を検知するThe BuzzClip

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iMerciv社開発のThe BuzzClip。右の画像のように服にはさんで使用する
(出典:iMerciv公式ページ

The BuzzClipは視覚障がい者の歩行をサポートする小型ウェアラブルデバイスです。クリップ式となっており、服にはさみ使用するのが特徴となっています。

では、どのように目の前の障害物を検知するのでしょうか? その秘密はデバイスに内蔵されている「超音波センサー」にあります。

電源をオンにすると前方に向かって超音波を発生させ、事前に設定した距離(1mもしくは2m)まで障害物に近づくと超音波が跳ね返ります。それをデバイスが受信することで検知し、ユーザーにバイブレーション(振動)でお知らせします。接近すれば接近するほど振動の間隔が短くなるので、障害物との距離を把握でき、衝突を未然に防ぐことができます。

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The BuzzClipの検知範囲
(出典:iMerciv公式サイト

上の画像で示しているとおり、ユーザーの腰から頭までがThe BuzzClipの検知範囲となり、白杖と盲導犬では見落としがちなエリアを全面カバーしています。この小型デバイスをネクタイピンのように服に装着し併用することにより、歩行移動時の不便さがより改善され、安全性の向上につながります。

マイクロUSBケーブルを使ってバッテリーを充電する形式となっており、最大10時間の連続使用が可能です。

「常識を打ち破るテクノロジーで自信に満ちた人生を」

現在、公式サイト経由でネット販売しているThe BuzzClip。

今後の目標についてiMerciv社は、「目の不自由な人たちに、大きな影響を長く与え続けたい。そして、より自立し自信に満ちた人生を歩むことができるよう、これからも常識を打ち破る新たなテクノロジーを通じて人々を勇気づけたい(英語原文:”Our goal is to make a long lasting impact to communities living with blindness or significant loss of vision and empower them through new disruptive technology to lead a more confident and independent life.” 引用元:iMerciv社公式サイト )」と述べています。

目の役割を果たすThe BuzzClipからどのような進化を遂げていくのか、今後も要注目です。

会社概要

会社名 iMerciv
CEO Bin Liu
設立年 2014年
拠点 カナダ 112 College Street, unit 411 Toronto, Ontario, M5G 1L6
社員数 2-10人規模
事業内容 視覚障がい者向け障害物検知機の開発・販売
主な商品 The BuzzClip
会社URL http://www.imerciv.com/
沿革 2014年8月 創業
2015年11月 クラウドファンディング最大手Indiegogoにて、66,820米ドル(約748万円)の資金調達に成功。達成率は116%(参考:https://www.indiegogo.com/projects/the-buzzclip-wearable-mobility-tool-for-the-blind#/
2016年10月 The BuzzClipの出荷を開始

メンバー紹介

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Bin Liu
創業者・CEO
トロント大学卒(土木工学専攻)。iMerciv設立後、CEO兼製品関連の最高責任者となる。
(参考:LinkedIn https://www.linkedin.com/in/bin-liu-b4118675/

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Arjun Mali
創業者・COO
マックマスター大学卒(経済学専攻)。Imerciv社では、事業運営に関する業務を統括。設立前、アブダビ国立銀行でリスクアナリストとして活躍。
(参考:LinkedIn https://www.linkedin.com/in/arjun-mali-60954838/

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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