もう銀行はいらない?多通貨送金をシンプルに-Currencycloud

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Currencycloud社は英国ロンドンを拠点するFintechスタートアップだ。同社が開発した「Payment Engine」はグローバルな資金決済を円滑化し、海外送金と外貨決済の徹底的なコストダウンを図る。

消費者が負担する隠された手数料

企業活動のグローバリゼーションは日増しに加速している。国境を越えたクロスボーダーでの商品やサービスの流通を手がけるECサイトなど、国境を越えた商取引には外貨建てによる通貨決済が不可避である。だが、そこに重大な落とし穴がある。国際送金につきまとう「隠された手数料」の問題である。

空港の外貨両替カウンターでも、銀行の海外送金サービスでも、あるいは海外からのクレジットカード決済でも事情は同じで、外為市場で売買されているリアルな実勢レートである仲値(mid-market rate)に、銀行や両替業者たちはそれぞれ独自に為替手数料を上乗せしたレートを顧客に提示しているのである。店頭で顧客に示されるレートは仲値そのものではく手数料を含んだレートだ。ここに国際送金における隠された手数料(hidden fee)の問題が存在する。

Currencycloud社 創業者のNigel Verdon氏は同社の公式ブログで、こうした為替手数料の上乗せ幅は一般的に2%前後であることが多いと指摘している(参照:Currencycloud社ブログ、2013年6月25日付「Seeing through “transparency”」)。つまり、100万円を送金しようとすれば2万円が為替手数料で消えることになる。いったいどういう根拠でわれわれはそんな手数料を払わなければならないのか?その根拠について説明はなく、もとより不透明だ。ここで重要なのは、為替市場において真に適正でフェアな為替レートは「仲値」以外にはないという事実、その一点である。

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街の外貨ショップの店頭に掲示されるレートにも、高めの為替手数料が含まれている(写真は筆者)

手数料を限りなくゼロに近づける

Nigel Verdon氏は、自らが立ち上げたブローカー会社であるFX Capital Groupを運営していた時点で、国際送金にまつわる為替手数料の問題点について強く意識していた。(参照:Currencycloud社公式サイト

そこで、Currencycloud社を立ち上げ、クラウド型SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)で提供する送金サービスを開発することでこの不合理を解消した。「仲値」での海外送金を可能にしたのである。Currencycloud社が取る手数料は0.25%の手数料と30ペンスのPayment Fee(到着地によって変動はある)のみであり、それ以外の隠された手数料は一切存在しない。隠された手数料を排し、国際送金のコストダウンが徹底できることを事実として示したわけである。(参照:Currencycloud社公式サイト

世界人口のうち20億人は銀行口座を持たない

Payment Engineはすでに、オンライン国際送金を手がけるTransferWiseや、ECサイトでの後払い決済サービスのKlarnaなど125社が利用している。また、開発者向けのAPIを提供し、導入を容易にする態勢を整えているのが特徴だ。現在、世界200カ国140通貨に対応し、アジア市場への進出を目指している最中である。3月にはGoogleの持ち株会社であるAlphabetのベンチャー投資部門のGV がCurrencycloud社に2500ドルの出資を行った。(ラウンドD)(参照:2017年3月9日付CNBC「Currency transfer fintech start-up targets US with $25 million funding round」

なお、シリーズCのラウンドでは、Sapphire Venturesや日本の楽天などが1800ドルの投資を行っている。アジアにおける国際決済の覇者を決める先手はすでに打たれている。2014年の統計によると、世界人口の約20億人は銀行口座を持たない。とくにアジア地域はとりわけ銀行口座の保有者数が少ないのが現状だ。20億人のうち、インド、中国、インドネシアの居住者がその4割を占める(参照:Currencycloud社公式サイト「A Currencycloud Whitepaper」)。

こうした銀行インフラの未整備がPayment Engineの低コスト送金が本領を発揮する可能性を高めている。こうしたアジア地域の特性は、少額の国際送金のトランザクションを捌くニーズに合致していくことになるだろう。

会社概要

会社名 Currencycloud
CEO Mike Laven
設立年 2012年
拠点 英ロンドン
社員数 51-200人規模
事業内容 国際送金システム(API)の提供
主な商品 PaymentEngineおよびAPI
会社URL https://www.currencycloud.com
沿革 2012年 創業
2012年3月 Atlas Ventureなどから400万ドルを調達(シリーズA)
2014年4月 Anthem Venture Partnersなどから1000万ドルを調達(シリーズB)
2015年6月 Sapphire Venturesなどから1800万ドルを調達(シリーズC)
2017年3月 GVなどから2500ドルを調達(シリーズD)
(参照:crunchbase

メンバー紹介

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Mike Laven
CEO
ウェズリアン大学卒業後、1974年からの6年間、国際連合の国際開発スペシャリストとして活動していた。過去20年にわたって数々のFintechファームで指導的役割を果たし、2012年、Currencycloud社のCEOとなる。
(LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/mikelaven/

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Todd Latham
Chief Marketing Officer
バース大学卒業。マイクロソフト社でシニア・マネージャーを務めた後、アメリカン・エキスプレス社でマーケティング部門のヘッドとなる。2013年、Currencycloud社マーケティング部門バイス・プレジデント。2015年、同社CMOに就任。
(LinkedIn:https://www.linkedin.com/in/lathamtodd/

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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