限られた水資源を有効活用!膜蒸留を応用した水処理の新プロセス-memsys clearwater

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地球上には約14億㎦の水が存在する―これだけを聞くと水資源は豊富にあるように思える。しかしながら、私たちの暮らしに利用できる水資源というのはごく限られている。
まず、14億㎦ある水のうち97.5%を海水が占めている。さらに、その残り2.5%の淡水すべてを私たちが利用できるわけではない。淡水のうちのほとんどが、南極・北極の氷河や地下深い地層にある地下水として存在しているためである。最終的に、私たちが利用できる水の量は、地球上にある水の約0.01%、わずか10万㎦程度しかないといわれている。
(参照:国土交通省 平成27年度版日本の水資源の現状について

世界の人口増加や産業発達に伴い、水の需要は今後ますます高まると推測される。また、環境問題の面からも廃水をきれいにするなどの水処理技術が求められている。memsys clearwater社は貴重な水資源を有効的に活用する、水処理の新プロセスを提案する。

水処理とは「水をきれい」にすること

生活用水にせよ、工業用水にせよ、水処理に求められる最大のポイントは、不純物を取り除き「水をきれい」にすること。

例えば・・・
・海水から塩分を除去して淡水化 → 生活用水や工業用水として利用
・工業廃水から汚染物を除去 → 河川や海に放流、または工業用水として再利用

水処理の方法としては、次の2種類に大別できる。
・物理化学的処理 : 不純物の大きさや化学的特性を利用(濾過や活性炭への吸着など)
・生物的処理 : 微生物の働きを利用

水処理施設では複数の処理方法を組み合わせ、多種多様な水を用途に合わせた水質に変換している。

“memDist”で水質的・環境的・経済的にワンランク上の水処理を

memsys clearwater社は新たな水処理プロセスを搭載した製品を開発した。その名も、memDist。
memDistは膜蒸留(Membrane Distillation, MD)の技術がベースとなっている。

膜蒸留とは、簡単に言ってしまえば「微細な穴が無数にあいた特殊な膜を使ったろ過」。その膜は、液体を通さずに気体のみを通す性質をもつ。これに供給液の蒸気を通過させて不純物を分離除去する。膜には様々な種類があり、穴の大きさや親水性・疎水性などの性質の違いによって、膜に捕捉分離される物質を選択することができる。

memDistの水処理プロセスでは膜蒸留の技術を応用・発展させることで、水質的・環境的・経済的に優れた水処理を可能にしている。

memDistを利用した海水淡水化プロセスの原理

蒸留を利用した水処理は全般的に高純度の水を得られる方法である。memDistはその純度を保ちながら、従来の蒸留プロセス以上の利点を有する。特筆すべき特徴として次の点が挙げられる。
・ 環境に優しい : 化学的前処理が不要
・ 省エネルギー : 熱源として排熱を使用
・ 投資コストが低い : 金属は使用せず、プラスチック製
・ 運用コストが低い : メンテナンスが少なく、処理効率が良い

最近では、シェールガスなどの非在来型資源(従来とは異なる方法で開発・生産する原油・天然ガス資源)の開発において大量の水が必要となるため、廃水をきれいにする新たな水処理技術が求められている。(参照:石油天然ガス・金属鉱物資源機構 最近の随伴水処理技術に関する動向)

memsys clearwater社が開発した水処理プロセスは、そういった多様なニーズに対応できる画期的手法として期待されている。

会社概要

会社名 memsys clearwater
CEO Florian Bollen
設立年 2007年
拠点 シンガポール
社員数 2-10人規模
事業内容 膜蒸留技術を用いた水処理プロセスの開発・製品化
主な商品 memDist
会社URL http://www.memsys.eu/
沿革 2007年 現CEOのFlorian Bollenが創設
2012年 非在来型資源採掘向けの水処理技術でGeneral Electric社と提携
2016年 NCHL社がmemsys clearwater社の資産および知的財産権を取得

メンバー紹介

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Florian Bollen
創業者・CEO
ミュンスター大学でBBAを取得後、アズサ・パシフィック大学でMBAを取得。ドイツの有料放送テレビ局のトレードファイナンス部門で責任者を務めた後、ロンドンのModern Times Group AcquisitionsのCEOとなる。2000年からはInternational Media社のCEOを務め、ターミネーター3などの映画製作に携わる。2002年にポーランドで最大規模のコンテナターミナルをもつDCT Gdansk SAを創設。さらに2004年にはシンガポールで会社を立ち上げ、世界最大級の観覧車、シンガポール・フライヤーを建設。2007年にmemsys clearwater社を創設し、CEOを務める。
(Linkedin:https://www.linkedin.com/in/florian-bollen-35915614/

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Christoph Maurer
セールスマネージャー
アーヘン工科大学にてプロセス工学の分野で修士号を取得し、同大学で5年間科学者として勤務する。Pall社にて水処理関連のテクニカルマーケティングマネージャーおよびセールスマネージャーを務めた後、Nanostone Water社でセールスマネージャーを務める。2016年にmemsys clearwater社のセールスマネージャーとなる。
(Linkedin:https://www.linkedin.com/in/christoph-maurer-1468a274/

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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