見えない認証で詐欺を防ぐ、驚異の「行動バイオメトリクス」ーBioCatch

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銀行預金や買い物もインターネット上でできるようになった現在、実に簡単にお金をオンラインでやりとりするようになりました。しかし、誰でも簡単に支払いができてしまうシステムを狙った詐欺も増えているのが事実です。

ここで紹介するのは、サイバーセキュリティ、ニューラルサイエンス研究、機械学習の専門家が技術を結集し、オンライン詐欺を独自の技術で防ぐプラットフォームを開発したBioCatch社です。

犯人の見えないオンライン詐欺の脅威

オンライン詐欺の発端となるのは、大抵、オンラインバンキング等のサービスのパスワードやユーザーIDをフィッシング詐欺などの手段を使って盗み取ることによる不正ログインです。

フィッシング詐欺の場合はいくら巧妙であっても細心の注意を払えば一般ユーザーでも防ぐことは可能で、ユーザーの端末以外からの不正アクセスであればサービス提供側が端末情報や位置情報に基づいた認証システムを導入していれば防げるものもあります。

しかし、そんなオンライン詐欺のためのアカウントなりすましの手段も巧妙になってきており、ボットと呼ばれるプログラムを不正に送り込むことで、ログイン情報を盗みとってしまうものや、ツールを悪用して端末を遠隔操作してしまうものもあるそうです。

パスワードによる対策や、端末や通信状況からの判断では防げない高度ななりすましを見破る為には、より強力な認証技術が必要です。

ユーザーに見えないところで徹底的に行動認証

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(出典:BioCatch社公式サイト

正体の見えないなりすましや不正なソフトウェアによる詐欺行為に対抗するため、BioCatch社が生み出したのは、行動バイオメトリクスによる「見えない」認証の技術です。

「行動バイオメトリクス」とは、主にユーザーが端末を操作する時の行動に基づいてユーザーの特徴をプロファイリングすることによる認証技術です。同社の誇る500以上の特許技術の中から20の認証技術を適用しているプラットフォームでは、手の震えといった身体的な特徴や、マウスのボタンの押し方、タッチパネル上の指の動きなどの行動的特徴や、腕の長さや手の震えといった身体的な特徴、特定のアプリケーションにおける行動パターンなどの指標から、ユーザーの行動の特徴を割り出し、なりすましなどの別人による操作があった場合に判別し、警告・通報します。

そして肝心なのは、こうした認証は、全てユーザーが通常通りに端末を操作する際に全て自動的に行ってくれるので、ユーザーが認証の為に特別にパスワードの入力などの行動を起こす必要が全くないということです。表に出ずユーザーの気づかないところで認証することで、一般ユーザーの手間を減らし、更には詐欺行為を行うサイバー攻撃者に警戒されることなく、正確な認証が可能になるのです。

更に、このプラットフォームには、こうした「人」の特徴だけでなく有害なソフトウェアの動作パターンもプロファイリングする機能や、ユーザーの気づかないように認証テストを行う「Invisible Challenges」など、画期的な機能が搭載されています。

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モバイル端末にもしっかり対応しているBioCatch社のプラットフォーム。指の動きの速さや画面の止め方が認証基準になり、「Invisible Challenges」のテスト機能としてはわざと画面のスクロール速度を変更し、ユーザーの反応を確かめるというものがある。(出典:BioCatch社公式サイト
 

あとがき

プライバシー保護対策がしっかり施されているにしても、知らない内に自分の行動パターンが特定されているというのは、驚きというより少し怖くも感じます。しかし、なりすましで正体を隠してくるような相手に対抗するにはセキュリティ側も身を隠すぐらいでなくてはならないというのも一理あります。

現在、大手銀行のオンラインサービスやオンラインショッピングサービスで利用されているというBioCatch社のプラットフォームですが、オンラインショッピングでの取引が活発化し、オンラインでの決済サービスも普及していくのに伴い、ますます活躍の機会は増えていくでしょう。

会社紹介

会社名 BioCatch Ltd.
CEO Eyal Goldwerger
設立年 2011年
拠点 イスラエル
社員数 11-50人規模
事業内容 オンライン詐欺対策用行動バイオメトリクスプラットフォームの開発
会社URL http://www.biocatch.com
沿革 2011年 創業。シードラウンドにて60万ドル調達。
2012年 シードラウンドにて60万ドル調達。
2013年 シードラウンドで100万ドル調達。Gartner Cool Vendorに選出される。
2014年 シリーズAラウンドで1000万ドル調達。
2015年 MRC Emerging Technology AwardRed Herring 100受賞。

(資金調達についてはCrunchBase を参照)

メンバー紹介

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Eyal Goldwerger
CEO
テルアビブ大学で経済学の学士号、欧州経営大学院でMBAを取得。ニューヨークのBoston Consulting Groupでコンサルタントを務めた後、技術系企業で経営を経験。大企業・印刷会社向けマーケティングソフトウェアを提供するXMPie社や、デジタル音声広告ネットワーク会社のTargetSpot社でCEOを務めた。取締役員、アドバイザー、投資家としても活躍し、現在はGalil Software社の取締役会役員でもある。
熟練の経営者にて熱心な実業家であり、大手技術系ベンチャーで幅広い経験を持つ。

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Avi Turgeman
CTO・ビジネス開発部長・創業者
6年間、イスラエル国防軍のインテリジェンス部隊で研究者、開発者、研究開発チームのリーダーとして活躍。軍属時代にホワイトハットハッキング、システム脆弱性管理、ネットワーク監視、データマイニング、電子署名の技術開発を経験。BioCatch社創業前は電子光学業界で研究者を務めていた。音声認識ソフトウェアを開発するVocalZoom社とオンライン食品配達サービスを運営するTapingo社の創業者の一人で、後者のCEOでもある。

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Uri Rivner
サイバー戦略主任・創業者
サイバー犯罪と高度なサイバー攻撃研究の専門家として国際的に認知されている人物。サイバーセキュリティ関連のカンファレンスでは常時発表者を務め、何千人もの専門家が購読するサイバーセキュリティブログも執筆している。BioCatch社創業前はRSA社に務めていた。数年の間、世界規模の大手銀行にサイバー犯罪、フィッシング詐欺、トロイの木馬対策のソリューションを提供し、他業界にも高度なサイバー攻撃への対策を提供してきた。世界中の企業・組織で今日、詐欺による被害を防いでいる対サイバー犯罪技術の開発に携わる主要人物である。

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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