ヒートポンプを既存設備にプラスしてホテルや老人ホームを省エネ化-PhoebusEnergy

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温室効果ガス排出ゼロを目指す現代社会

地球温暖化が懸念されている今日、温暖化の原因と考えられているCO2などの温室効果ガスの排出量削減は、世界共通の大きな課題だ。2015年にパリ協定が採択され温暖化対策として「今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする」ことが盛り込まれた。
(参照:環境省「COP21・CMP11の結果」

化石燃料に代わる再生可能エネルギーの一層の推進が求められる中、現時点では、コスト面や供給安定性などの問題があり、全世界的に普及するまでには、まだ時間を要するだろう。しかし、温室効果ガスの排出を減らすのが、遅れれば遅れるほど、その後の対策がより厳しいものになるため、早急に排出量を減少に転じさせることが必要だと言われている。

古くて新しい省エネ技術ヒートポンプ

省エネ化を進める為に、注目されてきた技術の一つに、ヒートポンプがある。冷蔵庫、エアコン、洗濯機など、ごく身近な家電にも使われている技術なので、ヒートポンプという言葉を耳にしたことがある人も多いと思う。機能を一言で言えば、熱のポンプという名前の通り、周辺の空気に存在する熱エネルギーを、わずかな電力で集めて送ることができるものだ。未利用だったエネルギーを利用できる省エネ技術として、利用の幅が広がっている。

ヒートポンプの原理自体は古くから知られているものだが、技術革新によって実用的価値が高まり、1990年代後半くらいから、幅広い分野で取り入れられるようになった。今後も、さらに高効率化されて利用分野も広がることが期待されている。

ヒートポンプで商業施設を省エネ化するPhoebusEnergy社

このような流れの中で、イスラエルにあるPhoebusEnergy社は、ヒートポンプにIT技術を融合させた商業施設用省エネシステムを開発した。このシステムの主な構成要素は3つで、以下の通り。
1.ヒートポンプ
2.コントロールシステム:60秒ごとにデータを収集、ソフトウェアに送る。
3.ソフトウェア:毎5分ごとに次の5分間の最適な運転方法を、現在と過去のデータから導き出し実行する。

実際にどのくらい削減できているのかなどのレポートは、PCはもちろんスマホなどのモバイル環境からでもリアルタイムでチェック可能だ。
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(出典:PhoebusEnergy公式ページ Hydra Balance製品カタログ)

同社では設置場所の気候に合わせて2種類のシステムを提供している。エアコンをほぼ一年中使うような暑い地域向けのHydra Balanceと温暖〜冷涼な地域向けのHydra Airだ。2つのシステムの最も大きな違いは、熱エネルギーの収集源にある。

Hydra Balanceは、エアコンでこれまで使われていなかった熱エネルギーを集めて、給湯にまわすのに対し、Hydra Airは、周辺の空気中の熱エネルギーを活用して給湯に使う。どちらも、既存の給湯設備や冷却装置に、同社システムを追加するだけで、省エネ化が実現する。尚、設備投資にかかる費用は、およそ2〜3年で回収できるという。

同社のターゲットは、商業施設の中でも、ホテル、温水プール、老人ホームなど温水や空調でエネルギーを多く消費しているところである。こうした施設では、通常、燃料としてLPGなどの化石燃料を直接燃焼させることが多いという。

これまでにシェラトンやハイアットといったホテルを中心に、100箇所以上に設置され、全体で毎年11,000トンのCO2をカットし続けているそうだ。同社のシステムでは温室効果ガスを大幅に削減できるだけでなく、給湯や冷房にかかっていたコストを50〜70%と大幅に削減できる為、商業施設側のメリットも大きいようだ。(参照:PhoebusEnergy公式ページ

環境にも経済にも優しい省エネ技術に期待

パリ協定の削減目標を達成したとしても、2020年までに気温上昇を2度に抑えられないと言われている。(参照:毎日新聞 パリ協定発効、それでも「2度目標」壁高く)だが、これまで享受してきた快適さや経済性を犠牲にしなければならないとしたら、低炭素社会は到底実現できないだろう。

Phoebus Energy社のように、環境に優しいだけでなく、経営側にも優しい省エネ技術は、低炭素社会実現に向けて、増々求められるものになっていくはずだ。

会社概要

 

会社名 Phoebus Energy
設立年 2007年
拠点 イスラエル
社員数 11-50人規模
事業内容 商業施設向けハイブリッド型ヒートポンプ
主な商品 Hydra Balance, Hydra Air
会社URL http://www.phoebus-energy.com
沿革 2007年 創業
2007年 Terra Venture Partnersから200万ドルの資金を調達
2009年 Galilaea Groupから100万ドルの資金を調達(参考:Cleantechies
2013年 Cleantech Groupが選ぶGlobal Cleantech 100のうちの一社に選ばれる。
この他、2014年までに400万ドルの資金を調達している。

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SAKIGAKE編集部

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