広告を「人」に届けよう!アドフラウドと戦うーWhite Ops

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今や当たり前に見るようになったインターネット広告。少し鬱陶しく感じることもありますが、インターネット上の豊富なコンテンツを無料で見るためには欠かせないビジネスの仕組みでもあります。ところが、そんなインターネット広告ビジネスの世界では、「鬱陶しい」では済まされないような許しがたい問題が起こっています。広告収入を騙し取る「アドフラウド(広告詐欺)」の問題です。

ここで紹介するWhite Ops社は、アドフラウド問題と戦うために立ち上がり、確かな実績を残し、成長を続けているスタートアップです。

その広告、見ているのは「人」ですか?

インターネット広告ビジネスは、主に広告を掲載してもらう広告主と、広告を掲載する枠を提供する広告掲載者の間で成り立っています。広告枠の価値を決定し、広告掲載者の収入にも大いに関わるのが、ネットユーザーによる閲覧数です。

アドフラウドとは、主にこの閲覧数を不当な手段を使って吊り上げ、広告報酬を騙し取ってしまう行為のことを指します。アドフラウドの主な手口は、ボットと呼ばれるプログラムを利用して、実際に広告がネットユーザーに見られていないのにもかかわらず、あたかも「人」が閲覧したかのように見せかけて閲覧数を増やしてしまうというもの。

アドフラウドを行うサイバー犯罪者は、一般のネットユーザーが見るサイトに見せかけたボットによる「閲覧」専用のサイトを作り、ハッキングした端末を遠隔操作して、複数の端末からボットに「閲覧」させるという悪質な手段も使います。

「ボット」を徹底的に排除して、広告を「人」に届ける

広告をボットではなく、本来のターゲットである人に届けたい。そのためには「ボット」と「人」をはっきり区別するための技術が必要です。White Ops社はボットの検知を軸にした徹底的なアドフラウド対策プラットフォームを開発しています。

アドフラウドの検知に特化した「FraudSensor」は、全ての広告プラットフォーム上の広告に対するボットによる不正なトラフィックをリアルタイムで検知します。更に、「MediaGuard」は、広告掲載のための入札や、広告の閲覧といった実際のアクション毎にリアルタイムで解析し、アドフラウドを未然に防ぎます。

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画像はFraudSensorプラットフォームの画面。
(出典:Ops社公式サイト)

この2つの主なプラットフォーム以外にも、White Ops社は、ボットではなく人間による広告の閲覧状況のみを可視化したり、広告掲載先のメディアの内容を、自然言語処理の技術によりコンテクスト分析、キーワード・画像分析して広告が不適切な場所に掲載されるのを防ぐプラットフォームまでも提供しています。

ボットを排除し、広告システムを可視化するこれらのプラットフォームは、White Ops社の最先端のアドフラウド研究に基づいています。White Ops社はこれまで2回、Bot Baselineという大規模なアドフラウド調査報告をAssociation of National Advertisersと共同で行っており、アドフラウドの被害状況から効果的な対策まで具体的に発表しています。(参考:Bot Baseline 2014年版 / Bot Baseline 2015年版)

White Ops社は2016年に12月にロシアの大規模なボットネット(ボットを送りこむためのハッキングされた端末によるネットワーク)も発見しており、まさにアドフラウド問題への対策に躍進している企業です。

あとがき

人に見られていないのに閲覧数だけが伸びていく広告なんて不気味ですし、広告詐欺のために大量の端末がハッキングされているというのも恐ろしいですね。それだけではなく、アドフラウドにはボットを使用したものの他にも、強制的に広告を見せるように仕向けるアドウェアによるものなど、一般のユーザーにも直接的に迷惑のかかる形のものもあるようです。

現在はボット対策に特化しているWhite Ops社ですが、「究極的には、現在の技術を、一般ユーザーを有害なソフトウェアから守るのにも役立てたい」とのことです。これからどのように事業を展開していくのかにも注目したいところです。

会社紹介

会社名 White Ops Inc.
CEO Michael Tiffany
設立年 2012年
拠点 アメリカ
社員数 51-200人規模
事業内容 アドフラウド対策プラットフォームの開発
主な商品 FraudSensor、MediaGuard
会社URL http://www.whiteops.com
沿革 2012年 創業
2013年 ステルスモードから脱し、事業を本格化
2014年 900万ドルの投資を受け、前年比で収入が7倍、社員数も3倍になるなど、大きく成長。第一回目のBot Baselineを発表。
2015年 2回目のBot Baselineを発表。
2016年 ロシアの大規模ボットネットを発見し、多数メディアに取り上げられる。

メンバー紹介

Michael Tiffany

Michael Tiffany
CEO・創業者
アメリカ国防高等研究計画局から援助を受けるサイバーセキュリティ研究所Critical Assets Labsに所属、メディアにおける科学・技術関連の正しい報道を目指す非営利団体Signal Media Projectの領域アドバイザーとしても活躍する。ホワイトハッカー集団ninjas.orgのメンバーでもある。人々がサイバー犯罪のターゲットになりにくいよう、サイバー犯罪者の利益源を断つことを目標にWhite Ops社を創業した。(プロフィール画像はLinkedInより)

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Dan Kaminsky
技術主任・創業者
White Ops社創業以前はCisco社やAvaya社といった大手IT企業に勤め、主にMicrosoft社のWindowsのセキュリティコンサルティングを行ってきた。インターネットの中心構造を修復する大規模システムの開発にも携わってきた。(プロフィール画像はBlack Hat USAより)

Tamer Hassan

Tamer Hassan
CTO・創業者
元アメリカ空軍少佐。空軍時代はヘリコプターのパイロットで、イラクやアフガニスタンでの戦闘任務も遂行した。その後テクノロジーの世界では、ビッグデータ及びビジネスインテリジェンスに特化したソフトウェア開発・コンサルティング会社Compel Data Technologies社を創業し、CEOを務めた。(プロフィール画像はLinkedInより)

Ash Kalb

Ash Kalb
創業者
コロンビア大学ロースクール卒業。国際法律事務所Skadden Arps社のM&Aに携わった。絶版本を電子書籍として復刊する出版社・SF専門書店のSingularity&Co社の創業者でもある。現在は投資家向け情報分析プラットフォームを開発するSentieo社のCOOである。(プロフィール文・画像はSentieo社のサイトより)

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SAKIGAKE編集部

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