医療業界に旋風を!ゲノムと医学の融合への挑戦-Counsyl

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2003年にヒトの全ゲノムの解読が終了し、本格的に遺伝子解析ビジネスが始動した。多くのゲノム関連会社が創設され、この新規のビジネスチャンスをものにしようと息巻いた時代であったが、10年以上経過した現在、この競争を勝ち抜いた企業は独自のアイディア、洗練されたテクノロジー、突出したマネージメント能力を持った強者である。

Counsylとは?

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(出典:Counsyl公式ホームページ

Counsyl社はゲノムビジネスの集積するサンフランシスコ ベイエリアに本拠を置くバイオテクノロジー企業である。家族のためのDNA検査と遺伝カウンセリングを提供しており、パートナー間での子供への遺伝影響の事前予測となるFamily prep screen、妊娠10週以降からの胎児遺伝子検査であるInformed pregnancy screen、遺伝性癌のスクリーニングであるInherited Cancer Screenの3つのラインナップで構成されている。

すべての検査は医師を窓口として行われ、消費者直結のDNA検査を行う23andMe社とは一線を画しているのが特徴的だ。また幅広い保険適応が行われ費用負担を軽減しており、これまでに55万人以上の患者をスクリーニングし、8,000人以上の医療従事者にサービスを提供している実績を持つ。(参照:Counsyl公式ホームページ

新しい技術を新しい分野へ生かす

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共同創設者の3人(Counsyl研究所にて)
(出典:Counsyl公式ブログ)

創設者はスタンフォード大学の卒業生であるRamji Srinivasan氏とその兄Balaji Srinivasan氏、Eric Evans氏とRishi Kacker氏の4名。分子生物学者のEric Evans氏は、ゲノミクスを医学の分野に活用する大規模プロジェクトを構想していた。奇しくもDNAマイクロアレイ(=多数の遺伝子発現を一度に調べることができる分析機器)、次世代シーケンサー(=遺伝子の塩基配列を高速に解析できる装置)と、次々に新しいDNA解析手法が出現し遺伝子情報を得られるようになった時代。

この構想はより現実味を帯びたものとなり、当時アメリカのウォール街で金融関係の仕事をしていた現CEOのRamji Srinivasan氏は、カルフォルニアに戻りCounsyl社を立ち上げ、ゲノミクスと医学の融合へ向けて始動したのだった。(参照:Counsyl公式ブログ

社会的理解を高めるために

彼らはDNAから得られた遺伝情報をユーザーのニーズに応えるものにブラッシュアップする必要があった。彼らのユーザー対象は医師であったが、DNA検査は必ずしも喜ばれるものではなかった。何故かというと、現時点での病気に対するケアはまだしも、将来的な病因にまで労力を取られることを嫌ったのだ。

そこで、Counsyl社は40以上の認定遺伝カウンセラーを設置し、医師の負担および患者の不安を軽減するサポートを行った。さらに医師たちが患者のケアに専念できるように、結果とカウンセリングを提供するプラットフォームである〝The Counsyl Experience〟を開発した。(参照:Counsyl公式ホームページ

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Counsyl創業時のRamiji氏とEric氏
(出典:Counsyl公式ブログ)

また彼らは、高品質なデータを手頃な値段で提供するためには独自の施設が必要だと考えた。そこに設置された血液や唾液のサンプルを精製されたDNAに変換するロボットは、特別なタスクを実行するための専用ソフトウェアが組み込まれたカスタムビルドロボットである。

これは完全に自動化され、同時に数千のDNAサンプルを分析することができ、24時間365日ノンストップで稼働する。結果的に検査のコスト抑えることとなり、医療費の縮小および透明化へと繋がることとなった。

Counsyl社は、患者が医師やカウンセラーとともに、正しい情報に基づいて自身の遺伝的状態を早期に認識し、未来を準備することが必要だと考えている。医療従事者の理解を経て医療業界に深く入り込んだことで社会的にも認知されたCounsyl社は、DNA検査会社のスタンダードとなったと言えるだろう。

会社概要

会社名 Counsyl
CEO Ramji Srinivasan
創業 2007年
拠点 アメリカ カルフォルニア サウスサンフランシスコ
社員数 201-500人規模
事業内容 パートナー間での子供への遺伝影響の事前予測、妊娠中の胎児遺伝子検査、遺伝性癌について DNAスクリーニングを提供するヘルステクノロジーカンパニー
主な商品 Family prep screen、Informed pregnancy screen、Inherited Cancer Screen
会社URL https://www.counsyl.com
沿革 2007年 Ramji Srinivasan、Eric Evans、Rishi Kacker、Balaji Srinivasanらによって創設。
2010年 ウォールストリートジャーナルの医学部門イノベーションアワードにおいてBronze Awardsを受賞。(参照:WSJサイト)
2015年 The 2015 World Technology Summit & AwardsでHealth and Medicine部門において受賞。(参照:WTNサイト)
これまでにFounders Fund、Pilot Growth Equity、Goldman Sachsなどの投資ファンドから、1億200万ドルの資金提供を受けている。(参照:Counsyl公式ホームページ)

メンバー紹介

Ramji Srinivasan

Ramji Srinivasan
最高経営責任者(CEO)共同創設者
CEOとしてCounsylの業務と技術開発を監督。Counsylの高度に自動化されたラボの建設、患者と医師のコミュニケーションのための同社のプラットフォームの創設に不可欠な役割を果たした。

2006年3月-現在 CEO

2003年12月-2006年3月 Morgan Stanley財務担当

1999年-2003年 スタンフォード大学のコンピュータサイエンス学士号と金融数学の修士号を取得

(参照:Linkedin)

Eric Evans

Eric Evans
最高科学責任者(CSO)共同創設者
次世代シークエンシング、分子診断、分子遺伝学の専門家であり、認定された高複雑性検査室ディレクターおよび臨床遺伝分子生物学者科学者。Counsylでは、臨床検査、研究開発を監督し、創業チームに加わり、科学的な研究と知識を実際の患者や医師の経験と融合させた。

2008年-現在 CSO

1995-1996年 Montgomery Investment Technology, Inc.でインターン。

スタンフォード大学の遺伝学のPh.Dを取得

(参照:Linkedin)

Rishi Kacker

Rishi Kacker
製品担当副社長兼共同創設者
遺伝子スクリーニングを臨床的ケアの日常的な部分にするためにソフトウェアを開発する、エンジニア。Counsylのエンジニアリングおよび製品開発チーム長として、オンデマンド遺伝カウンセリング、自動結果提供、臨床翻訳、医療費請求およびラボ情報管理など、最新の診断ラボサービスのプラットフォームを構築。

2014年-現在 製品担当副社長

2008年1月 – 2013年12月 エンジニアリング担当副社長

2002年6月 – 2007年12月 Voltage Securityの共同設立者でエンジニアおよび製品戦略担当。

1999年 – 2003年 スタンフォード大学でコンピュータ科学の学士号を取得

(参照:Linkedin)

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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