商標検索に人工知能!非効率な業務を劇的に改善-TrademarkNow

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最近、ニュースで頻繁に取り上げられている人工知能(以下、AI)。すでにご存知の通り、人工知能とは従来人間の役目であった言語理解、学習、推論、判断を代わりにコンピューターが行うというものである。

現在では、囲碁や将棋でプロ棋士を打ち負かしたり、音楽を作詞作曲したり、新聞の記事を執筆したりと、AIの発展が目まぐるしい。人間と同等、もしくはそれを超える頭脳を持ちながら、抜群の計算力を誇るコンピューターは、あらゆる業務を劇的に効率化させる切り札として、今後大いに期待されているのは言うまでもない。

今回紹介するフィンランドのTrademarkNow社は、そんな高度な知能を商標管理に取り入れ、人手による労力の削減に向けて、ウェブ型プラットフォームを開発・提供している要注目のIT企業である。

人手と時間がかかる商標検索…

他社と区別を付ける為、商品やサービスなどに独自の名前・ロゴを付ける商標。

特許庁の調べによると、世界における2014年度の商標登録出願件数は、約518.8万件だった(日本単独では124,442件)。2005年の312.0万件から右肩上がりに伸びており、ここ10年で約1.7倍増加した形だ。(参考:2016年度特許庁ステータスレポート

しかし、商標登録する上で必要な調査は人手に頼る面が多く、現在でも非効率な作業を強いられているという。例えば、弁護士(弁理士)やアシスタントは、まず出願対象の名前が登録済みの他社と被っていないか、検索をしなければならない。「検索なら短時間で終わるのでは?」と思われるかもしれないが、登録した商標名と同一なだけでなく、類似した名前についても訴訟の火種となり得るため(HONGDAブランド面白い恋人など)、時間をかけたきめ細やかな調査が必要となるのだ。

加えて、海外に出願する場合、誤解を招かないよう「このブランド名は現地でどのような意味になるのか」を事前に把握する事も大切であり、非常に大変な作業となるのである。

AIを駆使した商標検索で作業時間を大幅カット

TrademarkNow社の主力製品であるAI型商標検索プラットフォーム「NameCheck」は、上記2つの作業を短時間かつ同時に完了できる画期的なシステムである。AIを駆使する事で、同一の名前だけでなく、類似した名前も検索結果として表示され、診断結果をレポートしてくれるのがNameCheckの強みだ。

60か国以上に存在する何百万もの商標を瞬時に検索する事ができ、日本もカバーされている。

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同一か類似の商標登録名を検索するNameCheck
TrademarkNow公式サイト

例として、上の画像を見ていただきたい。この画像には出願候補の「flip flop flap」の検索結果が表示されており、合計96件の類似した登録済み商標名がリストアップされている。商標にはそれぞれ「Trademark Owner(商標の所有者)」「Similarity(類似率)」「出願した国(Application)」などが示されており、所有者に関する情報を確認する事が可能だ。

flip flop flapの場合、よく似た登録名がすでに複数あるので(類似率93.12%)、Safety Level(安全レベルは)5段階中2と診断され、「名前を変更した方が良い」とAIは促している。

そして「WORD MEANING」タブを開けば、検索した名前の意味が表示され、「失礼もしくは卑猥な意味で受け取られてしまった」という重大なミスも、未然に防いでくれるのだ。NameCheckには、150言語以上の辞書が収録されてるという。

NameCheckの誕生により、検索に1週間かかっていたものが、わずか15秒以内で完了する事が可能となった。

前年比416%増の収益率を達成したTrademarkNow社

リリース以降、世界中の法律事務所、ブランディング企業、民間企業の社内法務部門などで愛用されており、「商標に関する業務を、劇的に効率化させたプラットフォーム」として評価は非常に高い。TrademarkNow社によると、2015年の収益率は前年と比べ、416%アップという驚異的な数字を叩き出した。主にヨーロッパ地域からの収益が多いが、アメリカでのユーザー数も急激に増加しており、米国顧客数の伸び率は775%もあったという。(参考:公式プレスリリース


カナダで開かれたStevie Awardsで、受賞スピーチをするCEOのMikael Kolehmainen氏
(出典:The Stevie Awards公式YouTube

さらに同年8月には、世界で多大な業績を残した企業に贈られるThe Stevie Awardsで、TrademarkNow社は「年間インターナショナル・ビジネス・アワード(法律部門)」において金賞を受賞。最も勢いに乗っているスタートアップ企業の一つとして、世界的に名を上げる事に成功したのである。(参考:公式プレスリリース

現在、フィンランド、アメリカ、イングランドに事務所を構え、販路を拡大し続けているTrademarkNow社。AIで世界中の商標と比較するという今までにないこのシステムは、ヨーロッパやアメリカだけでなく、アジアでも需要拡大のポテンシャルを秘めている。今後、NameCheckをどこまで浸透させていくか、TrademarkNow社の動向に注目したい。

会社概要

会社名 TrademarkNow
CEO Mikael Kolehmainen
創業 2012年
拠点 フィンランド Mikonkatu 17 B, 00100, Helsinki
社員数 11-50人規模
事業内容 AIを活用した商標検索・監視向けウェブ型プラットフォームの提供
主な商品 NameCheckなど
会社URL https://www.trademarknow.com
沿革 2012年 創業
2013年中頃 NameCheckをリリース
2014年5月 Balderton Capital社から350万ドルを調達(ラウンドA)(参照:TrademarkNow
2014年10月 アメリカ・NYに支社を開設(参照:TrademarkNow
2015年3月 アイルランド・キルケニーに支社を開設(参照:TrademarkNow
2015年8月 The Stevie Awardsのインターナショナル・ビジネス・アワード(法律部門)で、金賞を受賞

メンバー紹介

Mikael Kolehmainen

Mikael Kolehmainen
創業者・CEO
米ニューヨーク州の弁護士資格を持つ、世界を股に掛ける商標法専門のエキスパートである。いくつかの企業で法律アドバイザーを務めた後、TrademarkNow設立までの8年間、商標弁護士として活躍した。ヘルシンキ大学にて法学修士(契約法・商法)を取得。(参考:Linkedin

Anna Ronkainen

Anna Ronkainen
創業者・チーフサイエンティスト
人工知能・法律学者であり、法的推論のAI化に関する研究を行う。また、言語関連ソフトウェアの開発経験も15年に及び、プロジェクトや製品管理において多大な成功を収めている。ヘルシンキ大学にて電気工学・言語技術・法理論を専攻。法学博士号を取得。(参考:Linkedin

Heikki Vesalainen

Heikki Vesalainen
創業者・チーフアーチテクト
機械学習と人工知能を活用したソリューションで数多くの成功を収めているデザイナーである。法律を含む様々な分野で、ミッションクリティカルシステムおよびソフトウェア製品を設計・開発した経験を持つ。ヘルシンキ大学にて理学修士(コンピューター科学)を取得。(参考:Linkedin

Matti Kokkola

Matti Kokkola
創業者・CTO
アメリカ・ヨーロッパ地域の技術チームを発足、指揮していた技術部門のリーダーである。技術者として、ビジネス関連のビッグデータシステムの立ち上げ、運営に携わった経験を持つ。ヘルシンキ大学にて、理学修士(ソフトウェア工学)を取得。(参考:Linkedin

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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