アメリカで3分の1の農家が使う営農管理アプリ-FarmLogs

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アメリカでは農家の三人に一人が使っているという人気のアプリがある。穀物農家向けに作られたものだというが、支持が広がり、ユーザーの中にはブドウ園や果樹園の経営者らもいるという。(参照:Forbes 「FarmLogs Is Going To Change The Way That Farmers Manage Their Business」)

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圃場の情報を簡単に共有
(出典:FarmLogs社公式ページ

このアプリは、アメリカミシガン州アナーバーに本社のあるFarmLogs社が開発したもので、創業時は農作業の記録をつけるだけのごくシンプルな機能のものだったが、創業5年の現在、様々な機能が追加され充実している。(参照:Stackshare 「How FarmLogs Is Building Software To Power The Future Of Farming」
機能には無料と有料のものがあり、無料機能が揃ったプランは「スタンダード」と呼ばれている。

スタンダードで出来る主なことは、次の5つだ。
1. 圃場地図作成
2. 降雨履歴 
3. 土壌地図
4. 作業日誌
5. 作物の成長分析
(機能はこれだけではないのだが、ここでは5つの機能を上げるに留めておく。)

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衛星画像を元に圃場地図を作成
(出典:FarmLogs社公式ページ

有料機能には、圃場データ分析などの営農管理、窒素量のモニタリングなどの作物管理、またトウモロコシ専用、小麦専用の機能として 圃場ごとに適した窒素の施し方を教える「処方箋」も揃っている。これらの有料機能は、個々の農家のニーズに合わせて選べるほか、耕作地1エーカー当り10ドルを払って「アドバンテージ」を選べば、全機能にアクセス可能になる。

同社では農家との直接の関係を大切にしている。これは中間にディーラーやエージェントを入れない方が、農家がより多くのメリットを享受できるからだ。また、独立性を保つことで偏りのない情報を提供することが可能となる。(参照:FarmLogs社公式サイト「About」

その情報源となっているのは、米国農務省の公開データ、農家側から集められたデータ、衛星画像だ。中でも重要視しているのが、衛星からの高解像度画像だ。(参照:Silicon Prairie News 「FarmLogs provides unbiased agriculture analytics」 ) その理由を地上で集められるデータよりも衛星画像の方が正確だからだとしている。

(参照:AgFunderNews FarmLogs Raises $22m Series C as CEO Vows Never To Exit To Agribuiness
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衛星画像が病虫害等作物の異変を通知。見回る必要のある場所が即座にわかる(出典:FarmLogs社公式ページ

高校時代からの友人同士で起業

創業者のVollmar氏とKoch氏は高校も大学も一緒だった。FarmLogs社創業以前の高校時代、二人は若くしてITコンサルタント会社を立ち上げ、先端技術に携わってきた。一方で、Vollmar氏の父と叔父が農業をしていた為、農家の事情にも通じていた。農業は早い時期からITを導入していたが、とにかく使い勝手が悪かったそうだ。当時のソフトウェアは、価格が高い上に使いこなすのが難しく、効率化するというよりはむしろ営農をより難しくさせるような代物だったという。(参照:FarmLogs公式サイト「About」)

2012年時点で、アメリカの農家一戸当りの平均耕作地面積はおよそ175haで、農家の大規模化が進むと共に、この平均値も年々増加している。3haに満たない日本の平均と比べるとおよそ75倍の広さだ。(参照: アメリカ農務省 2012年Census of Agriculture /農林水産省 農地に関する統計)そうした広大な圃場を持つ農家が、早くからデスクトップアプリケーションなどを導入していたのは、必然と言えるだろう。そうした背景にあって、圃場のどこからでも、作業に携わる誰もが直感的に使え、情報を共有できる営農アプリが支持を得たのも道理だ。

Yコンビネータでの刺激

二人は大学卒業後に、農作業日誌をつけるシンプルなアプリを開発した時点で、シリコンバレーにあるベンチャーキャピタル、Yコンビネーターのアクセラレータプログラムに申し込み、参加が認められた。Yコンビネーターと言えばDropboxAirBnbなど、これまでに数多くのスタートアップを養成してきたことで知られているが、二人は、そこでの3ヶ月間に、世界でもトップクラスの優秀な人々に囲まれた環境の中、製品展開について様々な可能性に気付いたという。(参照:Stackshare 「How FarmLogs Is Building Software To Power The Future Of Farming」 / Forbes 「FarmLogs Is Going To Change The Way That Farmers Manage Their Business」)

今後の展望

現在では社員数が70人を超えるまでに成長した同社だが、海外進出の可能性はあるものの直近の目標ではないと語る。(参照:AgFunderNews FarmLogs Raises $22m Series C as CEO Vows Never To Exit To Agribuiness会社としての目標は、農業に明るい未来をもたらすことにあり、多くのスタートアップが目指すような会社売却によるイグジットは考えていないそうだ。(参照:FarmLogs社公式ブログ 「Independent and Unbiased: Why It Matters to Us and to You」)そんなFarmLogs社は、2017年1月に2200万ドルの資金調達に成功したばかりだ。
新しく獲得した資金で、さらなる可能性をどのように実現させていくのか楽しみである。

会社概要

会社名 FarmLogs
CEO Jesse Vollmar
創業 2012年
拠点 アメリカ
社員数 51-200人規模
事業内容 農家の為のソフトウェア、モバイルアプリ開発・販売
主な商品 FarmLogs
会社URL http://www.farmlogs.com
沿革 2012年 創業
Yコンビネーターの冬期プログラムに参加。
2013年 シードラウンドで100万ドルを調達。Hyde Park VenturesHuron River Venturesが主導した。
2014年 シリーズAラウンドで400万ドルを調達。Drive Capitalが主導した。
シリーズBラウンドでHyde Park Venturesなどから1000万ドルを調達。
CEOのVollmar氏がForbes誌の30 Under 30:Energy&Industryに選ばれる。
2017年 Naspers Ventures主導によりシリーズCラウンドで2200万ドルを調達。
参照 Ag Professional/TechCrunch

メンバー紹介

Jesse Vollmar

Jesse Vollmar
CEO 共同創業者
サギノーバレー州立大学でComputer Information Systemsを学ぶ。2011年卒業。在学中は、高校時代に起業したITコンサルタント会社Aedis IT社のオーナーも務めた。従業員5人の同社は、年商35万ドルまで成長した。
(画像参照:FarmLogs社公式ページ

Brad Koch

Brad Koch
バックエンドエンジニア 共同創業者
サギノーバレー州立大学でComputer Information Systemsを学ぶ。2011年卒業。高校時代にVollmar氏と共にAedis IT社を創業、大学中も仕事と勉強を両立させた。
(画像参照:FarmLogs社公式ページ

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SAKIGAKE編集部

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