重度患者を見逃さない。急性リンパ性白血病に新たな診断法-Curewize Health

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世界中で1,176,099人の小児、青少年を含む若年成人(0〜39歳)が癌と診断されている。これらの若年癌患者は、腫瘍学者によって系統的にスクリーニングされ、化学療法および放射線療法によって治療されるが、このスクリーニング法は従来、高齢患者のために開発された方法のため、小児や若年成人の治療には適切とは言い難い。(参照:Curewize Health公式ホームページ)Curewize Health社は若年癌のためのバイオマーカーを研究開発する、イスラエルのバイオテクノロジー企業だ。

進化するバイオマーカー

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様々な病気の指標となるバイオマーカー
(出典:pixabay)

バイオマーカーとは生体内の生物学的変化を定量的に把握するため、生体情報を数値化・定量化した指標のことである。身近な例としては、健康診断において血液検査で示される血糖値やコレステロール値などは、生活習慣病の指標として代表的なバイオマーカーである。バイオマーカーは尿や血液中に含まれる生体由来の物質だけでなく、心電図、血圧、PET画像、骨密度、肺機能なども含まれる。

近年ではゲノム解析やプロテオーム解析が進んできたことによって、DNAやRNA、生体蛋白等に関連したさまざまなバイオマーカーが見出されている。(参照:日本薬学会薬学用語解説)その中でもmiRNA(=マイクロRNAとはゲノム上にコードされ、最終的に20から25塩基長の微小RNAとなる機能性核酸のこと)は、ほかの遺伝子の発現を調節するという、生命現象において重要な役割を担っている。

miRNAの発現は癌、心血管疾患、神経変性疾患、精神疾患、慢性炎症性疾患などの発症と進行に関わっているとされ、特に細胞の癌化に深く関与していることが多くの研究者らによって指摘されている。(参照:Wikipedia)

子供の急性リンパ性白血病

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小児癌の治療のために
(出典:pixabay)

Curewize Health社は小児、青少年、若年成人に共通する癌についてバイオマーカーを用いて早期に発見し、個別治療を進めることを目指している。若年癌患者の中でも、急性リンパ性白血病(ALL)は小児癌で最も高い頻度(小児人口100,000人におよそ3人)を有し、Curewize Health社が特にターゲットとする疾患である。小児ALLはBリンパ球に類似した性質を持つB前駆細胞型ALLと、Tリンパ球に類似した性質を持つT細胞型ALLに分類され、前者は小児ALLの約 80%、後者は約10~15%を占めている。

しかし、癌とは言え小児ALLは比較的治癒が望める疾患であり、約98~99%に完全寛解(顕微鏡など目に見えるレベルで白血病細胞が消失している状態)が、さらにその内、約80%に長期生存が期待されている。

通常、小児ALLの治療方針は「年齢」「白血球の数」「白血病細胞の性質(表面マーカーや染色体・遺伝子の異常)」「治療への薬剤応対性」などにより検討される。その結果から、3段階のリスクグループ(低・中・高)に分類し、リスクに応じた強さの治療が行われる。(参照:国立研究開発法人国立がん研究センター 希少がんセンターサイト)そのため、この段階で適切な診断がなされないと(本当は高リスクなのに中リスクに分類されるなど)、患者の予後および再発に影響を及ぼす可能性がある。

早期治療は未来へつながる-ProALLTM

Curewize Health社の研究(参照:Curewize Health公式ホームページおよびNCBI)により、miRNAのポジションを示すmiR-151-5p、miR-451、およびmiR-1290の発現の組み合わせが、小児B前駆細胞型ALL患者の再発に対して有意な相関性を持つことが示された。このバイオマーカーに基づいて開発された診断薬がProALL™である。

現在、小児ALL患者のリスクグループ分類に多く使用されているMRD検査(抗原抗体反応などを用いて、残留白血病細胞の割合を測定する方法)では、本来高リスクと判断されるべき患者が中リスクに分類されてしまう所見が30%も見られら。しかしProALL™では、MRD検査が見逃した患者も的確にリスク分類されることが示されてる。また、MRD検査は操作が複雑で1~3か月で処理されるが、ProALL™はシンプルな手技のため結果を2日で供給できるという利点も備えている。(参照:Curewize Health 公式ホームページ)

このようなバイオマーカーを用いた診断は、診断時のリスク層別化の改善につながり、高リスク患者の生存率を改善するための早期治療介入を可能にした。患者は、パーソナライズされた癌治療を提供され、副作用の軽減や健康な成人になる機会を得ることが期待できる。

Curewize Health社は、白血病患者をどのようにして治療するかを決定する重要なプロセスを明確かつ単純なプロセスに変え、若年癌患者の未来を約束する画期的な製品を生み出したのだ。

会社概要

会社名 Curewize Health
CEO Dr. Jennifer Yarden, PhD
創業 2013年
拠点 イスラエル
社員数 1-10人規模
事業内容 小児、青少年、若年成人に共通するがんの個別治療に特化したバイオマーカーアッセイの開発と商品化。
主な商品 ProALL™
会社URL http://www.curewize.com

メンバー紹介

Dr. Jennifer Yarden, PhD

Dr. Jennifer Yarden, PhD
最高経営責任者(CEO)
インビトロでの診断および予後診断キットの臨床開発および製品化を専門とする。臨床についての分野は、白血病、多発性硬化症、クローン病、呼吸器疾患など多岐にわたる。

2012年5月-現在 Curewize HealthのCEOおよび共同創設者
2014年1月-現在 パーキンソン病のバイオマーカーを扱う、BioShaiのCEO
2007年9月-2012年3月 Glycomindsの臨床開発担当ディレクター
2005年9月-2007年8月 Deep Breeze Ltd.(肺疾患の診断と予後を扱っている)のシニアCRA(臨床リサーチアソシエイト)および科学執筆者
2001年-2005年 ベルギーのKUルーベンで医学博士号を取得
1995年-1998年 イスラエルのテルチャイアカデミックカレッジからバイオテクノロジー奨学生となり、疾患バイオマーカーのB.Sc.を取得
(参照:Linkdin)

Dr. Nir Dotan, PhD

Dr. Nir Dotan, PhD
最高技術責任者(CTO)
バイオテクノロジーと診断薬の広範な経験を持つシニアマネージャー。ベンダーから市場への体外診断アッセイとキットの開発と製品化に15年以上の経験を有する。

2015年6月-現在 Curewize HealthのCTO
2014年8月-現在 BioShaiのCTO
1998年1月-2013年9月 Glycominds Ltd.の共同創設者および副社長兼CTO
1991年-1998年 テルアビブ大学でバイオテクノロジーの博士号を取得
(参照:Linkdin)

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

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