バイオテクノロジー研究の情報管理をクラウド化してデータシェアリング-Benchling Inc.

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研究開発は、企業や大学同士が互いにその成果を競合し、互いに切磋琢磨する世界でありながら、過去の実験手法、データや結果を共有、応用し、未来の研究に役立たせるという一面も持ち合わせています。データや実験結果の活用をどんどん繰り返し、より精度の高い研究を進めていくことによって、実用的で先進的な技術が培われていくのです。今回はサンフランシスコ発、バイオテクノロジー業界を変革していくスタートアップ企業、Benchling Inc.のご紹介です。

多岐にわたるフォーマットで記録されるデータを一元管理

Benchling社は「細胞やDNAを研究する、」という視点ではなく、研究に必要なソフトウェアツールを一元化して記録・管理できるプラットフォームを開発して情報収集作業の簡素化を実現しています。

通常、研究においては5、6種類の異なったツールを使用します。エクセルやドキュメントの共有ソフトをはじめ、その研究分野に特化した専用ソフトウェアなど多岐にわたります。また、研究対象となる分野に特化したツールがまだ開発されていないが為に、生物分子学の研究に、薬学分野研究向けに作られたソフトを使用しなければならないなど、改善の余地がまだ多く残されていました。

そのためBenchling社は、快適な研究環境を整えるべく、研究過程において集められた、様々なフォーマットのデータを、1つのプラットフォームで管理することを可能にしたのです。

ファンドからの投資額とともに成長し続けるメンバーたち

2015年の4月の時点で、Benchling社はカリフォルニアのベンチャーキャビタル、Andreessen Horowitz社を通じて、500万米ドルの投資を受けることに成功していました。(参考ːFortune.com)

さらに、2016年には、Thrive Capital社からの投資を受け、その投資規模は700万米ドルに成長すると発表し、引き続き同社のソフトウェア開発・拡充とグローバルサポート活動を含むセールスの拡大に資金投入していく計画です。

同社が開設したソフトを利用する研究者の数は年々増え続け、2014年に2000人となってから2016年10月時点では40000を超える規模に成長しました。そのメンバーのバックグラウンドはMITなどの学術系から20を超えるファーマ系企業まで非常に幅広いものです。 (参考ːTechcrunch.com)

研究者であるメンバーは同社のウェブサイトで研究や実験で得たデータをそのソフトウェアに記録していきます。記録した内容はクラウドに保存され、登録しているメンバーはその集積されたデータにアクセスし活用できるようになります。

登録したメンバー同士がデータをシェアすることによって、互いのコネクションづくりや共同研究の実現など、活動の場を広げることもできます。また、昨年から同社は、より速く、それぞれの研究者が必要なデータや情報を取り出せるよう、ソフトウェアの機動性を高めることに力を入れ始めました。

同社CTOのAshu Singhal氏は、「同社のソフトウェアで今まで非常に煩雑だった研究資料の整理や管理、活用を限りなく簡素化できる新たな時代になった」と語ります。異なるフォーマットで集められた資料を、1つのインターフェースにまとめて管理することで、研究者たちは本来の研究活動が持つ目的の達成に集中することができるのです。(参考ːCIO Review)

研究や実験などは、その規模の大小にかかわらず多種多様なデータや結果が集められます。同社が提供するプラットフォームはまさしく、研究者のために、研究者によって作られたもの ― 従来おこなわれてきた研究スタイルを覆し、研究開発産業が新しい時代を迎えるきっかけとなること間違いありません。

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Benchlingsメンバー用画面サンプル
(出典:Benchlings社 HP

会社概要

会社名 Benchling, Inc.
CEO Saji Wickramasekara
創業 2012年
拠点 1122 Howard St, 3rd Floor San Francisco, CA 94103 United States
社員数 11-50人規模
事業内容 バイオテクノロジー研究用プラットフォーム・ソフトウェアの開発・サービス
主な商品 The Benchling Platform / Lab Notebook / Molecular Biology Suite / Bioregistry and Sample Tracking / Workflow and Results Management
会社URL https://benchling.com

メンバー紹介

Sajith Wickramasekara

Sajith Wickramasekara
Founder, CEO
2012年6月、Benchlings Inc.をCEOとして立ち上げ。マサチューセッツ工科大学でコンピューターサイエンスを学び、個人の遺伝子情報を基にした癌治療の分野でリサーチを行った。
(参照:Crunchbase

Ashutosh Singhal

Ashutosh Singhal
Founder, CTO
マサチューセッツ工科大学で数学とコンピューターサイエンスを専攻。光遺伝学 (Optgenetics) とゲノム生物学の分野でリサーチを行った。過去ツイッターの広告部門に携わった経験も持つ。
(参照:Crunchbase

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SAKIGAKE編集部

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