【インタビュー】オフラインの世界のGoogle Analyticsを目指す韓国発スタートアップ – ZOYI(ゾイ)

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日本ではプロダクト開発を行う段階で、どういう商品を作れば日本人にウケるだろうかという発想でプロダクト開発をするスタートアップが結構多い印象ですが、これは日本には1億2000万人が住んでおり、十分な市場がそこにはあるからだと考えています。

しかし我々韓国は、どういう商品を作れば世界でウケるだろうかという発想でプロダクト開発をするスタートアップがほとんどです。韓国には5000万人しか住んでおらず、初めから世界を相手に勝負しなければならないことを皆が意識しているからです。

どちらが良い悪いということではありませんが、世界を相手に勝負するという発想をすることで、より広い視野で人々のニーズが何なのかを意識しながら、文字通り世界を変える商品を開発することができることもあります。今回インタビューを行ったZOYI社もそんな“世界”を変えようとしているスタートアップの1つです。
 

インタビューイー

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(左:(株)ウォークインサイトCEOの松井康至、右:Zoyi Japan GMのJay = Jaeyong Choi)

Jay Choi
General Manager Japan, ZOYI
E-land・住友商事・eBayなど世界の様々な会社で働いて、最初にスタートアップ会社に合流、日本の文化を勉強している。

松井康至
CEO, Walk Insights
大学卒業後、金融・スタートアップなどを経て、2015年3月(株)ウォークインサイト創業に参画。2016年8月より現職。

 

オフライン店舗の分析サービス「WALK INSIGHTS(ウォークインサイト)」

-まず簡単にZOYIさんが行っている事業について教えてください!

Jay: 私たちが行っている事業は大きく2つあります。1つ目は「WALK INSIGHTS(ウォークインサイト)」というオフライン店舗の分析サービスです。オンラインのWebサイトであれば、Google Analyticsなどのツールを用いてアクセス状況やクリック率などを分析している方が多いかと思いますが、それをオフラインの実店舗でも実現しようというものです。

小さなセンサー(独自開発)を店舗に設置するだけで、店舗への訪問者・滞在者などを簡単に知ることができ、リピーターについても把握することができます。センサーがスマートフォンから発信されるWi-FiやBluetoothといったシグナルをほぼリアルタイムで検知しているからです。
 
-防犯カメラや人数カウンターでお客さんの動きや訪問回数を確認することも可能なように思えますが?

Jay: 確かに防犯カメラからや入店カウンターで人数をカウントしているお店も多くあります。しかし、このようなツールだけではリピーターの確認や低コストで動線の分析をすることが困難ですし、幅広く分析を行う際に行うデータ連携などで不都合が生じてしまいます。我々は低コストでありながら様々なデータ分析を試みたいというニーズにチャンスがあると考えWALK INSIGHTSを開発しました。
 
-なるほど!オンラインのGoogle Analyticsなどは、そのデータをもとにサイトのレイアウトやコンテンツを改善したりすることにも使われているかと思いますが、WALK INSIGHTSではどのようにデータ活用をされているのでしょうか?

松井: 活用方法は様々です。よくあるのは、複数店舗を展開されているクライアント様が販売・マーケティング戦略を立てる際の参考データとしてご活用頂くケースです。数十、数百の店舗を展開されている場合、店舗側は出店目的により与えられた役割が異なっていたり、お客様側も地域や出店スタイル(旗艦店、アウトレットモール、ロードサイド等)によって行動傾向が異なっていたりします。

弊社のサービスをご活用頂くことで、店舗ごとのお客様の動きに応じて傾向を分類し、それぞれに応じた戦略を立てる際にお役立て頂けます。
 
-面白いですね!確かにデータがあればより店舗ごとに個別の戦略が立てられそうですね。他にも活用方法はあるのでしょうか?

Jay: 他に要望の多い活用方法は、店内の動線分析です。例えばアパレルショップ様が入口にどの商品をどのように置くべきか検討されている場合、これまでは過去の経験や感覚だけでレイアウトを決定されていることが多く見受けられました。しかし、これからはオフラインのデータも加えて検討していく必要があると考えています。

WALK INSIGHTSがあれば、例えば女性向けの商品を置いた方が男性向けの商品を置いた時より、お店に訪問する方の割合が13%増えた為、女性向け商品を置くべきだと判断しやすくなります。また、現場のマネージャーの方が本社向けレイアウト変更を提案する際にも、やはりデータがあると説得力が違ってきます。

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(参照:WALK INSIGHTSのセンサー)
 
-今までは感覚的にしか決められなかった部分も、データに基づいて論理的に分析できる部分は、小売店にとって大きなニーズがありそうですね。

松井: はい。現在は既に日本と韓国で2,000店舗以上に導入されており、今年の夏までには約3,000店舗の導入を見込んでいます。最近では行政様や鉄道会社様からの依頼も多く、街単位や観光施設での分析も行っています。また、訪日外国人の分析ニーズも非常に多く、こちらも少しずつお話を頂く機会が増えてきております。
 
-少し前はBeaconのサービスがトレンドになっていたように思いますが、今後のオフライン店舗のマーケティングはどのように発展していくのでしょうか?

Jay: Beaconは一時期ブームがありましたが、アプリケーションのダウンロードが必要になるなどのハードルもあり、期待されたほど実績としては増えていない印象です。プッシュでのクーポン・情報配信も、余計な内容をユーザーに配信しすぎると逆にストレスを与えてしまうリスクがあります。WALK INSIGHTSなどで情報を分析し、適切な情報を配信していくことが望まれるでしょう。

オフライン店舗のマーケティングについては、かつて防犯カメラが少しずつ浸透していったのと同じように、今後WALK INSIGHTSのようなサービスを導入してデータ分析を行う企業様が少しずつ増えていくと考えています。ある程度サービスが普及した後は、そのデータをどのように活用していくのかを本格的に考える企業が増えていくのではないかと予想しています。

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(参照:韓国のオフィスでは若い社員が中心にサービスを開発している)
 

オンラインでの買い物をサポートする「Channel(チャネル)」

-もう1つの事業内容についても詳しくお伺いさせて下さい。

Jay: 2つ目の事業は「チャネル(Channel)」という、オンラインショップでリアルタイムに店員とユーザーがやりとりできるサービスです。ユーザーが閲覧するショッピングサイトなどに、店員とチャットできるようなアイコンを表示させることができるので、商品について分からないことがあればリアルタイムで気軽にお問い合わせに対応することができます。
 
-確かにそうでうすね。オンラインでショッピングをしていて気になったことがあっても、お問い合わせフォームからメールを送り、返事を1日待つというのはかなり負担で、気がつくと諦めてしまっていることもありますね。そういった機会損失をカバーすることができるのが特徴でしょうか?

Jay: はい、その点も特徴ではあります。また、更にもう一段階踏み込んで、ユーザーごとにパーソナライズした接客を可能にしています。例えば過去に1度訪問したことがあるユーザーについては、過去のお問い合わせ内容や登録されている情報を同時に確認することができます。ですので、過去に購入されている商品の情報や、ユーザーの特徴をはっきりと把握した上で接客することができます。

他には、営業ツールとして活用する方法もあります。過去に何度サイトに訪問しているかも把握することができるので、管理画面で訪問回数をリアルタイムに確認し、頻繁にサイトを閲覧している購入期待値の高いユーザーを狙って積極的に接客することも可能です。

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(参照:チャットを利用することで、ウェブサイト上でも店頭のようにコミュニケーションを図ることができる)
 
-最近のオンラインストアのトレンドとしては、コンテンツのマーケティング、 サイトにおける動画や画像の工夫、複数デバイスへの対応などいろいろと話題にあがっていますが、今回のZOYIさんのチャット機能も含めEコマースはまだまだ進化の余地がありそうですね!

Jay: はい、一般的にオンライン店舗のコンバージョン率(訪問した人のうち商品を買う人の割合)は2%くらいです。一方で、オフライン店舗のコンバージョン率は35%くらいです。かなりのギャップがありますが、このギャップはまさに改善の積み重ねで埋めていくことができます。
 
-チャット機能をつけると、その分のカスタマーセンターのような人員を割かないといけないので、オンラインサイトの運営者側には負担となるかと思いますが、それを超えるリターンを実現していくのでしょうか?

Jay: そうですね。カスタマーセンターの担当はもちろん必要になりますが、現在AIを活用したチャットボットで一部の受け応えに対応できないか開発を進めています。オンラインストアで質問をする人の傾向を分析し、適切な受け応えをすることで、最終的にはかなりの負担を減らすことができるよう開発を進めています。
 

小学生の頃から事業をしていた

-会社のことについて色々とお伺いしましたが、創業に至るまでのストーリーを教えて頂けませんか?

Jay: ZOYIのCEOは昔から事業を行うことに興味がありました。実は、初めて事業を行ったのは小学生の頃です。当時からプログラミングができたのでソフトを作って、父にそれを販売したのが最初でした。

その後も高校時代にゲームソフトを開発して事業を行ったり、広告事業であるAdbyMe(アドバイミー)というサービスを立上げたりしたのですが、なかなか順調とは言えず最終的に今のZOYIに行き着きました。
 
-小学生の頃から事業をされていたのですね。ものすごい小学生ですね!それらの経験が今の事業にかなり活かされているのでしょうか。

Jay: 広告事業を通じて、データの重要性を強く痛感しました。広告には当然ながらデータと解析が重要になりますが、それらについて色々と調べたり頭を悩ませているうちにオフライン店舗ではまだまだデータが十分に活用されていないことを知りました。それがWALK INSIGHTSを開発したきっかけです。
 
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(参照:スタートアップにおきまりのテーブルサッカーももちろんある)
 

インタビューを終えて

ZOYI社は若くてエネルギッシュな会社であり、20代のメンバーが活躍しています。しかし、ただ若さに任せて事業を行っているわけではなく、市場のニーズや社会のトレンドが何なのかを緻密に分析し、社会の問題を解決しようという気迫が終始感じられました。

既に投資家からも数億円の資金調達に成功しており、さらなる事業拡大を目指しています。年齢も国籍も関係なく、ただ社会をより良くしようとしているその姿や行動に、スタートアップならではの醍醐味を感じました。
 

会社概要

会社名 Zoyi
CEO Siwon Choi
創業 2014年
拠点 ソウル
社員数 35人
会社URL https://zoyi.co

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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