歯科医の技術がさらに向上!インプラント器具の最前線とは?-Maxillent

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義歯やブリッジなどの取り外し式の入れ歯と比較して、インプラントは従来の歯のように機能的であること、また審美的にも優れているという利点が挙げられる。そのため値段は高額であるが、一般的な歯科治療法として認知されてきている。しかし、インプラントには外科手術が必要であり、事故や合併症などのリスクがあることも事実だ。そして口内の上顎と下顎でも、そのリスクは大きく違ってくることをご存知だろうか?

副鼻腔リフト手術

上顎の上部には副鼻腔という空洞(上顎洞)が存在する。奥歯になればなるほど、上顎の骨は薄くなり、副鼻腔との距離が近くなる。副鼻腔との境界にはシュナイダー膜(参照:Quint Dental Gate)が存在しており、この膜が傷つけられてしまうと副鼻腔内に炎症や膿などの合併症を引き起こしてしまう。インプラントは顎骨に深く埋め込むことで安定性が増すため、副鼻腔への影響がさらに高くなる危険性をはらんでいるのだ。

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左図:インプラント可能な通常の副鼻腔の状態。右図:副鼻腔が拡張しているため骨が薄く、副鼻腔リフト手術が必要な状態。
(出典:Maxillent公式ホームページ)

特に上顎の骨が薄く、インプラントの挿入が困難と判断されるのは高齢者に多い。加齢とともに上顎洞が自然に大きくなるため5人に1人の割合で発生し、処置が必要となると言われている。歯を失って年月が経過した人はさらにそのリスクが高まることがわかっている。(参照:Maxillent公式ホームページ)

このような場合、〝副鼻腔リフト手術〟を実施し、骨の厚みを増やした後にインプラントを挿入することとなる。通常の副鼻腔リフト手術は、まず患者の口の内側の歯茎を切開する。シュナイダー膜を上顎骨から剥がして人工骨を上顎洞に配置し、歯茎を縫合して閉じる。そして人工骨を4~12ヶ月間癒着させたのち、インプラントを挿入する方法である。(参照:Wikipedia)外科的作業の多さや1年以上の治療期間、合併症の危険性などを考慮すると、患者にとっても医師にとっても大きな負担のかかる処置であることが窺える。

iRaiseの利点


(出典:Maxillent公式ホームページ)

イスラエルのMaxillent社はこの問題を解決するために、副鼻腔リフト手術に特化したインプラント体であるiRaise™を開発した。この製品の特徴は、医師がインプラント自体を介して上顎洞に流体を導入することを可能にする注入口(内部チャネル)が存在することである。 iRaise™のねじ部をシュナイダー膜ぎりぎりまで挿入した後、注入口から生理食塩水を注入し膜を押しあげることで、上顎側にスペースを作成することが可能となる。そして、このスペースに人工骨を注入して骨の厚みを増大させることで、インプラントを固定しやすくする仕組みだ。

この方法だと、歯茎の切開の必要はなく、インプラントの挿入と空洞内の人工骨の移植が一度にできるため、人工骨の癒着が完了する6~9か月の時点で治療が完了する。患者は痛み・不快感が劇的に減退し、顔面の腫れも抑えられ、回復時間も大幅に短縮できることで、患者のQOL(Quality of life:生活の質)を大幅に改善することができるのだ。(参照:Maxillent公式ホームページ)

また、注入圧を利用してシュナイダー膜を押し上げる操作は、膜に穴をあける時膜の穿孔のリスクを0.5%未満に抑えることが示されている。(参照:Maxillent公式ホームページ)iRaise™は、従来の副鼻腔リフト手術と比較して、より快適で安全性を高めた方法を提案できることがわかる。

歯科医の視点からの開発

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Maxillent社が販売するのBone Graft Material
(出典:Maxillent公式ホームページ)

現在iRaise™はイスラエル、EU、カナダおよび香港で販売されている。またiRaise™に加えて、iSure™(=通常の歯科インプラント)、補綴および修復製品、外科用ツールさらには市販の骨移植材料の販売も行っており、歯科インプラントにおけるほとんどの治療項目をカバーする製品群を提供している。これは口腔および顎顔面外科医として20年のキャリアを持つ共同創設者兼CMOのDr. Hadar Better氏が、歯科医師にとって技術的に取り扱いしやすい、安全な機材の開発を行っているためだ。彼は歯科インプラント、骨移植、洞床増強の分野で世界的に研究と講義を行っており、技術の発展に努めている。

Maxillent社は、何十年も変わらずに残ってきた伝統的な方法から歯科技術を進化させている、歯科医のための総合ソリューションメーカーなのだ。

会社概要

会社名 Maxillent(Rainbow Medical Group内の一企業)
CEO Adi Alphandary
創業 2008年
拠点 イスラエル
社員数 11-50人規模
事業内容 歯科用医療器具の開発、販売
主な商品 iRaise™、iSure™
会社URL http://www.maxillent.com

メンバー紹介

Adi Alphandary

Adi Alphandary
CEO
生産開発、プロジェクトマネージメント、国際ビジネス開発に25年の経験を持つ。2015年2月ー現在 MaxillentのCEO。テルアビブ大学で経済学の学士とMBAを取得。
(参照:Linkedin)

Yossi Gross

Yossi Gross
CTO
世界的に有名な起業家であり、幅広い分野の臨床分野を網羅した25以上の革新的な医薬品企業を設立し管理してきた実績あり。500件以上の米国特許を提出しており、米国、イスラエルの大手企業やベンチャーキャピタリストの間で高い評価を受けている。Rainbow Medicaのオーナー。Rainbow Medicalは、さまざまな医療分野で、Yossi Gross氏によって発明された画期的な医療機器を開発している企業をシェアして成長させている民間事業会社である。イスラエル工科大学で航空工学の修士号を取得。
(参照:WikipediaLinkedin)

Dr. Hadar Better、MD、DMD

Dr. Hadar Better、MD、DMD
CMOおよび共同創設者
20年以上の臨床経験を持つ、高い評価を受けている口腔および顎顔面外科医。 イスラエル口腔顎顔面外科学会の元会長である。2008年8月ー現在 MaxillentのCMOおよび共同創設者ヘブライ大学エルサレム校のDMD学位、テクニオンイスラエル工科大学の医学博士として歯科医師および医師として二重に資格を取得。
(参照:Linkedin)

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SAKIGAKE編集部

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