決済代行ソフトで生産農家の金融リスクを大幅に削減-ProducePay

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野菜や果物など、生鮮食品は出荷から店先までのスピードが命。同じく、生産者への商品代決済のスピードアップも、生産現場のキャッシュフローを支え、運転資金を確保するための重要な課題です。迅速な代金決済は、生産者にとって海外への販路拡大など、さらなるビジネスチャンスを広げることができます。そんな生産農家のニーズに応えた、金融サービス・ProducePayがこれからのアグリビジネスを支える主軸になろうとしています。

現状を打破したいという思いから生まれたProducePay


(出典ːProducePay ホーム―ページ)

数多くの生産農家から毎日スーパーマーケットに届く新鮮な野菜 ― これらの農作物は私たち消費者の手元に届くまで、様々なプロセスを経て店先に届けられています。通常、生産者が商品を出荷し、元売りとして買い取る流通業者に届けられてから小売りに出され、最終的に生産者の手元に売上金が入る。このプロセスが完了するまでに約45日かかると言います。

その一方で、生産現場でのコストは日ごと、または週ペースで掛かり、特に年間2~3か月に及ぶ収穫期間に必要な経費は、全体の生産コストの70%を占めています。コストのもっとも掛かる収穫時期は、より迅速なキャッシュフローが必要とされながら、現状決済まで1ヶ月以上掛かることにより資金がショートするリスクと常に背中合わせでいなければいけません。(出典ːThe Silicon Valley Network)生産業者にとっての、出荷から売上金の受取りまでの間隔を何とか短縮できないか、という思いから生まれたサービスがProducePayです。

最速1日で一部決算が可能に

ProducePayは生産農家と流通業者向けに特化して金融サポートをおこなうソフトウェアです。既存の流通モデルでは、商品代金の請求・回収の責任は出荷側にあり、常にリスクを伴っていました。金融が専門ではない出荷側にとって、金銭の管理は常に重すぎるリスクがつきまといます。(出典ːTechcrunch)

農家を営む家族に育った同社の創業者のパブロ氏は、かつてからこの古い決済方法を変える必要性を感じていました。これまでの、個々の生産者に対し支払われていた商品代の回収・決済を代行することにより、生産側の負担を軽減できるのではないかと考えたのです。

ProducePay社が提供しているサービスの流れは、

1.生産農家がProducePay(ソフトウェア)を利用して商品(農作物)を発送
2.流通業者はProducePayを通じで商品の出荷連絡を受ける
 → ProducePay社が取引金融機関に対して支払いオーダー
 → 銀行が農家に対し商品代の30~40%を先払い
3.流通業者は商品を受け取り、小売りに販売・出荷
4.流通業者は商品代をProducePay社のソフトウェア上で支払い
 ProducePay社が銀行への支払いと農家への残金支払いを完了させる

というように、商品とお金のやりとり、金融機関を加えた三者決済にすることで発送した商品を担保することができ、生産者への決済が、最速出荷した翌日に一部行われ、生産現場におけるキャッシュフローをよりスムーズにするものです。(出典ːThe Silicon Valley Network)

農家五代目の創業者が目指す未来は

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ProducePay社が提供する取引画面
(出典ːProducePayホームページ)

パブロ氏は、4世代続く農家に生まれ育ちました。彼はコーネル大学でのMBA時代、同じ思いを抱く、農業や金融を専門とする仲間と出会い、農産物の市場価格を割り出せるソフトの開発を手掛けました。そのソフト上で示された市場価格を基に、生産農家への支払いを一部先払いすることにより、農家にとってのストレスを軽減したい、という思いから始まりました。

ProducePay社の、未来を見据えたビジョンは、金融サービスだけにとどまっていません。家族経営の小規模農家の出荷先や販路を広めるべく、生産者と流通業者を繋ぐマッチングサービスも始めました。生産者の希望する販路やマーケティングコンセプトと、それに合ったニーズを持つ流通業者を仲介するサービスです。

また、同社設立の前年2013年時点でアメリカは、消費される農作物の54%を輸入でまかなっていました。海外生産者にとっての資金回収リスクは、流通距離に応じてより大きく、出荷から支払いまでの期間の短縮は生産サイドにとって計り知れないメリットとなります。

ProducePay社では、アメリカへの輸入のうち18%を占めるメキシコにおける生産農家と、流通業者の決済代行も請け負うなど、距離、商品の動き、そしてお金の流れがネックとなる海外の生産者へのサポートも強化していきます。

パブロ氏は、同社を金融サービスプロバイダ―だけに位置づけるつもりはないと言います。生産者や出荷元にとって、金銭的リスクを請け負う投資家的な立場となって双方のリスク軽減に貢献したいと意気込みを見せます。(出典ːAndNowUKnow)

日本の農産物においても、国内のみならず近隣アジア諸国を中心に海外マーケットに活路を見出そうとする動きが盛んになってきています。同社が提供する代金決済代行サービスは、生産側のリスク軽減に大いに役立ち、生鮮品の輸出が活況を迎える起爆剤となることに間違いありません。

会社概要

会社名 ProducePay
CEO Pablo Borquez Schwarzbeck
創業 2014年
拠点 555 W. 5th Street 31st Floor Los Angeles, CA 90013 United States
社員数 11-50人規模
事業内容 ファイナンシャルテクノロジー、決済システム・ソフトウェアの開発・提供・サービス、マーケティング仲介
主な商品 ProducePay
会社URL https://producepay.com
沿革 2013年 CEO・パブロ氏がコーネル大学ジョンソン校にて金融マネジメント分野でのMBAを開始
2014年9月 同大学の学内起業家コンペティション、Cornell Entrepreneurship Kickoff 2014で優勝
同年10月 生産農家・金融機関・流通企業の3社取引決済用プラットフォームを開発
学内フィンテック起業コンペティションCornell FinTech Hackathonで優勝
Produce Pay Inc.として立ち上げ
同年12月 同大学のベンチャーコンペティション、Johnson 2014 Shark Tankで優勝

メンバー紹介

Pablo Borquez Schwarzbeck

Pablo Borquez Schwarzbeck
Founder / CEO
メキシコをバックグラウンドにもつ、4代続く農家に生まれ育つ。10年以上生鮮品に関わる経歴を持ち、メキシコのCampos Borquez社で、高価格帯のアスバラガスとブドウの米国とカナダへの輸出に携わった。流通企業に勤務し、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、米国の生産農家とのビジネスを築き上げることに経験を積んだ。自身の家族が営む農園にCTOとして戻ったのち、コーネル大学でMBAを取得。大学で出会った仲間と在学中に始めたスタートアップがProducePay社に発展した。当然のことながらアスパラガスが大好物。(出典:ProducePay HP

Kevin Burkhardt

Kevin Burkhardt
CTO
ソフトウェアデザイナー、エンジニア、開発者として活躍。過去、テクノロジー系インキュベーターや車載インターネットビジネスにおけるスタートアップにCTOとして関わった豊かな経験を持ち、ソフトウェアコンサルティングにも手掛けている。日産、トヨタ、ディズニーオンラインにおいてリーダーシップを発揮。また、スティーブン・スピルバーグが設立したShoah財団において記録のCD-ROMプロジェクトに携わった。カーネギーメロン大学、メリーランド大学にて理学士を取得。専攻は物理と電気エンジニアリング。(出典:ProducePay HP

Ben Dusastre

Ben Dusastre
CFO
金融テクノロジーにおいて13年以上の経験を積み、Radlink Incにて医療ソフトウェア開発に携わり、ジョンソン&ジョンソンとの共同マーケティングビジネスの立ち上げを手掛けた。クレディスイス、イーストマンコダックなど数社でキャリアを積み、アメリカ最大の農業生産企業の運営をディレクションした経歴も持つ。UCLAアンダーソン校でMBAを取得、マックギル大学でもマーケティング分野を修了した。クレメンタイン(みかんの仲間)が大好物。(出典:ProducePay HP

Steve Poindexter

Steve Poindexter
CCO
生鮮品生産において30年以上の経験を持つ。ブドウ生産を主とする企業、Sun World社で販売部門副社長を務め他社とのパートナーシップビジネスに関わり、販売、マーケティングに携わった。複数の生産分野における商工会や連絡会運営にも深く携わりながら、チリ、メキシコ、米国の栽培家たちと良好なビジネス関係を築いてきた。その豊かな経験と知識がProducePay社に与える影響は計り知れない。メロンが大好き。(出典:ProducePay HP

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SAKIGAKE編集部

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