オージービーフも'クラウド化' 畜産牛取引をシンプルかつ迅速に-CloudHerd PTY Ltd

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eBayでオンライショッピングをするように、家畜の取引もオンラインで管理・決済 ― 伝統的なビジネス手法が未だ主流とされているオーストラリアの畜産業界に、新しい風を吹き込もうとする若手起業家がいます。今回は、オーストラリアの畜産業界の新しい風となる、畜産牛のオンライン取引システムを開発するCloudHerd社と、その若き起業家アレックス・スタンプ氏をご紹介します。

畜産牛もオンラインでオークション ― その狙いは

オージービーフ - 日本のスーパーマーケットでもすっかりお馴染みの存在です。かつては廉価品というイメージでしたが、今ではステーキ専門店や中~高価格帯のレストランでも高品質な牛肉として目にすることも増えました。日本では国産牛より、輸入牛の流通量が上回り、農林水産省によると豪州産牛肉は輸入牛の50%強を占めています。(参考:農林水産省ホームページ)

一方オーストラリアでも、中国・日本・韓国への牛肉輸出に力を入れており、普段手ごろで美味しい牛肉が買えるのも、日本の市場ニーズに応えんとする現地の生産者、企業努力の賜物と言えるでしょう。シドニー大学の起業支援プログラムから誕生したCloudHerd社は、畜産牛の生産者向けに、牧畜牛の頭数管理、売買、オークションの実施、決済まで一括でできるプラットフォームを開発するスタートアップです。

牧畜牛(生体)の取引は、生産者同士で個別にやりとりされており、1900年代以来の同じやり方が続けられているといいます。CloudHerd社を始めたアレックス・スタンプは、起業にあたって、家畜の取引を、インターネットで閲覧できる広告媒体(Classified:クラシファイド)化することにアイデアを見出しました。生産者は、販売したい畜産牛を同社のウェブサイトに掲載し、オークション方式で入札を公募、同じサイト内で落札・決済まで一元化された取引ができます。

肉牛は、生体の体重で脂肪分を含む肉質が変わるため、オーストラリア国内向けと日本向けは、生体のコンディションにより出荷対象となる地域が異なります。例えば、脂肪分の少ない赤身肉が好まれる国内マーケット向けには、脂肪分の少ないうちに出荷され、脂肪分が多い肉質が好まれる日本市場向けには、しっかりと脂肪を蓄えさせてから出荷されます。出荷先の市場によって、肉牛の管理・出荷スケジュールが変わるため、生産者にとって、タイムリーな売買をサポートできるアプリケーションは大きな味方になるでしょう。

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(出典:Pexels

畜産農業界の若き挑戦者 ― アレックス・スタンプの起業精神とは

アレックスは、CloudHerd社の設立の際、

  • 自分のアイデアは、本当に現状の問題点を解決できるのか?
  • 自分のアイデアは、設立チームを支えるための十分な資金を稼ぐことができるのか?
  • スタートさせる製品・サービスで利益を生み出せるかどうか?

といった点について、何度も頭を悩ませたといいます。そしてCloudHerd社の初代バージョンを立ち上げた時、たとえ無料であっても利用する価値を見出せないようなシステムではいけない、ということが何より大切だと気づきます。(参考:Startup88)

そしてまた、オーストラリアの小規模起業やスタートアップに対する門戸はまだまだ狭いと感じています。例えば、年に一度のオーストラリア最大の競馬レース、メルボルンカップに集まる掛け金が、同国内のベンチャーに対する投資総額をはるかに上回っているのが現状です。 (参考:Ideas Hoist)

スタートアップやインキューベータ―など、さまざまな人から幅広く資金を集め、数人で始める ー いわゆる ’アメリカ式’ の起業モデルを示し、これからの若者や起業家をどんどん刺激していきたいという情熱が彼を突き動かしています。(参考:Startup88)

また、業界の将来に向けての人材育成の一環として、生産地出身の人材をインターンとして受け入れる予定です。

TPPなどの、貿易規制緩和は流通の活性化をもたらせると言います。もし個人消費者が同社のようなオンラインビジネスで取引に参入できるようになれば、日ごろ食卓にあがる食肉がどのような場所から、どのように運ばれているのかが可視化され、人の社会と食糧との距離がより身近に感じられるようになります。

畜産業界にとってすべての家畜は金の卵です。オンラインビジネスによる取引の活性化は、今まで煩雑だった法規制や取引上の手続きが緩和されるきっかけともなり、業界のありかたを変える、新しい風を呼び込むことになるでしょう。

会社概要

会社名 CloudHerd PTY Ltd.
CEO Alexander Stamp
創業 2012年
拠点 Surry Hills New South Wales Australia
社員数 3人
事業内容 牧畜牛売買用オンラインオークションサイトのプラットフォーム開発・サポート
主な商品 CloudHerd
会社URL https://www.cloudherd.com

メンバー紹介

Alexander Stamp

Alexander Stamp
Chief Executive Officer
シドニー大学で電機エンジニアリングを専攻し、鉱山開発のコンサルティング会社でインターンを経験。シドニー大学主催の起業・インキュベートプログラム(USU Incubate Program http://incubate.org.au/)を通して畜産牛のオンライン販売を手掛けるCloudHerd社を立ち上げた。クラウド在庫管理・オンラインオークションのIT技術を家畜市場に応用することで、既存モデルにおける問題点解決(運送上の非効率性や家畜がもつ市場価値の再構築など)をすべく起業した。テクノロジーを利用していかにして、社会と人々の生活価値の向上に役立てられるかの可能性を常に模索する。(参照:LinkedIn

Luke Fries

Luke Fries
Chief Research Officer
シドニー大学で電機エンジニアリングを専攻、2013年卒業。エレクトロニクスと電気システム分野を得意とする。CloudHerd社のソフトウェア開発から実装までの製品開発、開発ディレクション、エンジニアリングを担当している。(参照:LinkedIn

Mike Titchen

Mike Titchen
Chief Technological Officer
2012年設立時はシドニー大学経済学部で経済・金融分野を専攻する大学生。ウェブ開発の経験を積み、スタートアップ立ち上げ・プロセスに精通している。

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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