地球を見守る平和の鳥-Planet Labs

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先日、国際協力機構(JICA)と宇宙航空研究開発機構(JAXA)が共同で世界各地の熱帯林の違法伐採や乱伐を監視するシステムを公開し、国連気候変動枠組み条約締約国会議でそのシステムの重要性を説いた。

そのシステムにおいて重要な役割を果たすのが人工衛星だ。同様のサービスを提供しているのが今回紹介するPlanet Labsだ。

Planet Labsは人工衛星Doveを打ち上げて随時、地球の観測を行っている。その用途は世界中の森林の状況のモニタリングだけに留まらず、インフラ設備やマッピングなど多岐に渡っている。

優秀な人材による大企業化

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Planet Labsの自社開発人工衛星Dove
(出典:Planet Labs HP

Planet LabsはNASAで働いていた科学者や技術者によって2010年に立ち上げられたスタートアップ企業だ。その目的は宇宙から地球を観測し、その変化をいち早く察知し、対策を講じる手助けをするというものだった。

その分野は多岐に渡り、農業における耕作地帯や発展途上国のインフラ整備状況のモニタリング、自然環境保護の為の違法伐採警備、国防の為の周辺海域の監視、自然災害の観測などを行っている。

企業の始まりは家のガレージからというとても小規模だった。それでも優秀な人材が揃っていたPlanet Labsは会社創設から2年後に小型人工衛星Dove 1とDove 2の打ち上げに成功。

Doveは地球をまるでスキャンする様に飛行し、地球の表面情報を観測・撮影し、地上にある30のPlanet Labsの観測所へデータを送っている。さらにその2カ月後には多数の小型人工衛星を同時運用するコンステレーション計画であるFlock-1を発表するなど急成長を遂げた。

人工衛星でイルカの群れを救助

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Flock-1で用いられているDoveの軌道経路
(出典:Planet Labs HP

いくつもの小型人工衛星を一度に運用する試みはPlanet Labsにとって大きな挑戦だった。

1機の人工衛星を運用するだけでも困難であるのにも拘わらず、それを多数というのは前例もなかった。しかし、それを実現させた事により2つの大きな利点が生まれた。

1つは今まで定期的に撮影していた衛星写真を随時撮影できる事だ。これにより、各分野の専門機関も常に最新の観測情報を入手可能になった。

そしてもう1つは人工衛星の増加により撮影範囲をより細かく鮮明に観測できるようになった点だ。この結果、地上で起きる僅かな変化を捉えられ、アマゾンで陸に乗り上げてしまったイルカの群れをいち早く救助に向かうという事も行った。

まとめ

今回Planet Labsに関する記事を書いていて感じたのは、自然環境の観測に対する需要が今後大きく増加するという事だ。

近年、世界中で何かと多い自然災害。アメリカではハリケーン、ヨーロッパでは洪水、日本では津波が発生した。その初動対処はやはり自然災害が発生してからという事がほとんどだ。

日本の場合では災害が発生し、情報を集めてから自衛隊、消防、警察が被災者の救助へと向かうのが今の救援形態だ。しかし、Planet Labsの提供する観測サービスを取り入れたらどうなるだろうか。

早目の避難勧告や被害の縮小などを自然災害が起こる前に先手を取って行う事が出来る。そういった点を見てもPlanet Labsの活躍の幅や重要性は今後も広がっていくだろう。

会社概要

会社名 Planet Labs
CEO Will Marshall
創業 2010年12月
拠点 アメリカ サンフランシスコ
社員数 201-500人規模
事業内容 高頻度の地球観測、観測画像の提供
主な商品 小型人工衛星Dove
会社URL https://www.planet.com
沿革 2010年12月 創業
2013年4月 小型人工衛星CubeSat(Dove 1、Dove 2)の打ち上げ成功。
2013年6月 Flock-1計画を発表。
2013年11月 Dove 3、Dove 4の打ち上げ成功。
2014年1月 国際宇宙ステーションにFlock-1計画のCubeSatが届けられる。
2015年7月 BlackBridgeを買収。

メンバー紹介

Will Marshall

Will Marshall
Co-founder and CEO
University of Oxfordで物理学における博士号、University of Leicesterでは宇宙科学技術を含む物理学の修士号を得ている。NASAで科学者として働いた事があり、月周回軌道計画“LADEE”のシステムエンジニア、月帰還計画“LCROSS”の科学チームの一員として活躍。また、NASAが進めている個人用人工衛星PhoneSatの開発にも携わっていた。

Tom Barton

Tom Barton
Chief Operating Officer
Stanford Universityで経営学修士、理学士、文学士を修めた。多くの企業の経営幹部として25年以上経営に携わり、テクノロジー企業には助言を与えてきた。

Robbie Schingler

Robbie Schingler
Co-founder and Chief Strategy Officer
経営学修士をGeorgetown University、理学修士をInternational Space University、理学士をSanta Clara Universityで修めた。9年間NASAのエイムズ研究センターで働いた事があり、トランジット系外惑星探索衛星の事業拡大にも取り組んでいた。その後、NASAの代表としてホワイトハウスに赴いていた。

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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