通常400万円のEHRが完全無料!米全国でシェア拡大中-Practice Fusion

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医院間でのカルテの共有システムを、なんと無料で病院に提供。日本でも医療IT企業の成功例として有名になりつつある、プラクティス・フュージョン社(Practice Fusion)をご紹介します。

そもそもEHRって何?

最近は病院に診察に行くと、お医者さんがパソコンに向かって記録をとっていますよね?こちらが説明した症状を、画面にカタカタ打ち込んでいるのを見たことがある人も多いと思います。あれは「電子カルテ」と呼ばれるシステムで、紙のカルテがコンピュータのカルテに移行したものです。管理がしやすい、読みやすいといったメリットがあります。

EHR(Electronic Health Record)は「電子健康記録」とも呼ばれるインターネットシステムで、上記の電子カルテを異なる医療機関、地域でスムーズに共有することを目的としたものです。検査の重複や誤診を避け、医療費削減や安全性向上を目指しています。

しかしながら、EHRの導入には多額の費用がかかります。小さな診療所でも最低400万円、大きな病院なら数億円です。日本では診療報酬制度で医療サービスの料金が全国一律で決まっているため、導入費用を価格に反映させることも難しくなっています。そのため規模の小さな診療所では、普及率は3割程度とあまり進んでいません。

医師に無料でEHRシステムを提供

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(出典:KPCB

プラクティス・フュージョンは、そんなEHR環境をなんと無料で提供している会社です。医師は電子カルテや、外部の医療機関と連携するためのクラウドEHRを無料で利用することができます。

アメリカでは既に多くの病院で導入され、3万人の医師が利用3,100万人(人口の10%)の患者の電子カルテを保有しています。また、無料にもかかわらずブラウン・ウィルソン社の行う顧客満足度調査で第一位を獲得。高い品質を伺わせます。収益は、製薬会社からの広告費や、電子カルテのデータ販売などで賄われています。

ビッグデータ販売でのプライバシー問題

プラクティス・フュージョンでは、収益システムのひとつとして患者の医療情報を製薬会社などに販売することで、無料でのシステム提供を可能にしています。

個人的に言えば、無料のサービスと引き換えに患者の医療情報がどこかに提供されるというのは、少々不安を感じるところです。個人情報が判別されないようにはされていますが、データの取り扱いには慎重さが要求されます。また、直接EHRの契約するのは医師なので、患者自身ではどのようなシステムが使われているか、どのような会社が自身の医療情報を運用しているのかわかりづらいという点もあるでしょう。

無料でまず顧客の心を捉え、販路を拡大するという方法は大昔からありますが、その裏にあるビジネスモデルの是非についての判断は、現代ではITの複雑化により難しさを増しているかもしれません。

会社概要

会社名 Practice Fusion
CEO Tom Langan
創業 2005年
拠点 カリフォルニア州サンフランシスコ
社員数 101-250人規模
事業内容 無料クラウドベースEHRシステムの開発販売
主な商品 Practice Fusion
会社URL http://www.practicefusion.com
沿革 2005年 創業
2013年2月 未来の健康予測サービスを提供する「100Plus」社を買収
2014年8月 医師間患者の連絡用アプリを開発する「Ringadoc」社を買収

メンバー紹介

Ryan Howard

Ryan Howard
創業者
ニューハンプシャー大学心理学・コンピュータサイエンス学士。カリフォルニア聖マリア大学で学ぶ。サンフランシスコ・ビジネス・タイムズ誌で40歳以下のビジネスマントップ40に選ばれている。

Matthew Douglass

Matthew Douglass
共同創業者・上級副社長
プラクティス・フュージョンではSaaS(クラウドサービスの一形態)フレームワークの開発を担当。SDForum、Health 2.0、マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学、マイクロソフトなどのイベントで医療テクノロジーについて講演。

Tom Langan

Tom Langan
CEO
フォーダム大学政治科学・経済学学士。元Symphony Health Solutions社最高営業責任者、MediMedia社最高営業責任者。

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

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