「アート」に始まり、プライバシー第一の製品を次々と生み出す―kwikdesk

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アイルランドのダブリンに拠点を置くkwikdesk社は、技術系のスタートアップとしては異色の起業背景を持っている。メッセージアプリやデータセキュリティプラットフォームといった製品を「プライバシー第一」をキーワードに次々と開発してきた同社だが、その発端は起業家でありながらプロの写真家・アーティストでもあるKevin Abosch氏の「アート」の一環だったという。そんなkwikdesk社に注目してみたい。

写真の世界でも、ITの世界でも話題を呼ぶ創業者

kwikdesk社の創業者でありCEOのKevin Abosch氏は、同社創業以前にも写真家として、シリコンバレーの著名人や芸能人の肖像写真を撮り続けたことや、ジャガイモを撮った1枚の写真を100万ユーロ(日本円にして1億円以上!)で売ることに成功したことで話題を呼んだ人物である。(詳細はこちら)

そんな彼が自身のコンセプチュアル・アートの作品として作り上げたというwebサービスが「KwikDesk」。

kwikdesk社の発端となったこのサービスはTwitterのように短い文章をインターネット上に投稿することができ、更に投稿した文章を一定時間が過ぎたら自動的に消去する設定が可能であった。

そして何よりこのサービスが斬新なのは、SNSを利用する際に通常必要なアカウントの登録が必要ないということで、メディアにも取り上げられ話題になった。

プライバシーの保護を徹底したメッセージアプリ「OneOne」

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(出典:kwikdesk公式サイト

「KwikDesk」の技術を応用してkwikdesk社が次に生み出したのはメッセージアプリ「OneOne」。こちらのアプリもKwikDeskと同じくメッセージを送るのにアカウント登録は必要ない。

その代わり、アプリユーザーにはあらかじめ7つの「チャンネル」が与えられており、1チャンネルに一人ずつメッセージを送る相手をURLのリンクで招待して登録できる仕組みになっている。送信したメッセージは全て自動で暗号化されてメッセージをやりとりする当事者二人以外には読めないようになっており、また送信から24時間後に自動で消去されるようになるといったプライバシーへの配慮が徹底されたアプリであった。
(参考:The Next Web)

SNSやメッセージアプリのアカウント乗っとりやサービス提供会社からの個人情報漏洩などのニュースはよく目にするが、その根本的な原因である「アカウント登録」を省いてしまうとはなんとも画期的である。

残念ながら現在KwikDeskとOneOneはサービスを終了している。しかしその開発に使用した技術は現在も開発者向けにAPIとして公開されており、また新たなサービスやアプリとして実用化される可能性も閉ざされたわけではない。

更にkwikdesk社の挑戦は続く

上記以外にも、kwikdesk社は更なる技術開発に力を注いでいる。アプリの通知を自動的に暗号化する「CryptoShift」や、暗号化よりも解析されるなどのリスクが少ない「トークン化」という技術を用いたデータセキュリティ製品「DataBath」など、データ保護に特化した製品を次々と開発してきたkwikdesk社であるが、また新たにAIの技術開発にも取り組みはじめているという。

Silicon Republicの記事によれば、kwikdesk社はAI開発部門を新しくアメリカのマサチューセッツ州に設立するようである。同記事で、CEOのAbosch氏は、できるだけ多くのユーザーのデータを収集しようとする今日のAI分野のトレンドを変えるべく、安全にAI技術を活用したいとの意向を示している。

まとめ

SNSを普段から利用していても、AI技術を活用したサービスについて見聞きしても、少し頭をよぎるのが「個人情報は、大丈夫なんだろうか?」という不安。確かに、つながりを広げるためにも、一人一人にあったサービスを提供するためにも、ある程度は個人のデータの活用は必要だろう。

kwikdesk社には是非そんな便利さと安全性のバランスのとれたサービス・製品開発を実現して欲しいところだ。

会社概要

会社名 Kwikdesk Ltd.
CEO Kevin Abosch
創業 2013年
拠点 アイルランド
主な商品 OneOne(現在サービス停止)、CryptoShift、DataBath、Charlie AI(詳細未定)
会社URL https://kwikdesk.com
沿革 2013年 創業。KwikDeskのサービス開始。
2014年 メッセージアプリ「OneOne」を開発。The Next Webにて「2014年最もインパクトを残したスタートアップ10社」の記事で紹介される。
2015年 CryptoShiftを公開。アメリカにAI技術開発部門を設立。

メンバー紹介

Kevin Abosch

Kevin Abosch
CEO・創業者
肖像写真や公共アートで名の知れたビジュアルアーティストにして存在論者。kwikdesk社の他にDippix、Lenkaという2社も起業している。(参考:CrunchBase)

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SAKIGAKE編集部

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