神の領域。ドローンに移植された、一流選手の”空間認識能力” – Dronomy

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次世代の流通経路としてや、新たな撮影手段にも期待される無人小型飛行機ドローン。創業わずか3年程度のスタートアップ企業、Dronomyが開発したドローン専用のセンサーは、操縦すら不要な完全自動飛行を目指すもの。目の前に広がる光景を瞬時に識別し、一流スポーツ選手顔負けの動きを見せるドローンが、私たちの生活に革命を起こすことは間違いなさそうです。

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(出典:tookapic

神が与えた、超人的能力。

100メートル9秒58、通算4,500本安打、人間業とは思えない偉業を達成し続けるスポーツ選手たち。中でも「一流」と呼ばれる選手には、日々の鍛錬では習得しえない、神からの恵みとも言えるような生まれ持った才能が携わっていることがあります。

筑波大学名誉教授で教育心理学を研究した杉原一昭氏の研究室で行われた実験は、目の前にある積み木を見本と同じように組み立てるというもので、一般の被験者であれば、何度も積んでは崩すことを繰り返すような複雑な難問も含まれていました。ところが、当時21歳のある男性被験者は、何の迷いもなく積み木を見本通りに積み上げ、教授を唖然とさせます。もはや人間を超越した感覚を持つこの男性こそ、サッカー元日本代表、世界最高峰イタリアプレミアリーグでも活躍を見せることになる中田英寿選手だったそうです。(参考:一流の秘密・目と脳にあり 瞬間視・空間認知イチローら抜群)

中田選手のように、いわゆる”キラーパス”と呼ばれる相手の隙をついた決定的なパスを幾度と繰り出す選手には、目の前の空間を瞬間的に認識し、ボールや味方選手、ライバルなど、常に動き回る複数の対象を目で追いかけられる「空間認識能力」が、天性として備わっていると考えられています。

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(出典:AD73@Flickr

無人小型飛行機ドローンが抱える課題

空間認識能力は人間のみが持つ力、しかも神が偶然あたえてくれる気まぐれなのでしょうか。空間認識能力の技術応用に果敢に挑むイスラエルの企業、Dronomyは、こうした思い込みを良い意味で裏切ってくれます。

大手通販サイトAmazonの商業利用の決定によって一躍話題となった無人小型飛行機ドローンは、新しい物流手段としてはもちろん、建設現場や映画などの撮影、交通状況の監視、地図製作など、多くの業界で革新を起こすことは間違いなさそうです。ただ、ドローンは言ってみればカメラ付きラジコンのようなもので、収集したデータを処理や、遠隔操縦など、人力に頼る部分が多いことが課題の一つと考えられてきました。(参考:ドローンの商用利用、データ処理が悩みの種に

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(出典:Adactio@Flickr

空間認識能力をもち、自動飛行するドローン

Dronomyが提供するテクノロジーは、操縦を含めたすべての工程を自動化し、ドローンを完全に無人で飛行させようというものです。タブレットのタッチパネルで目的地をタップ、ドローンを空に飛び立たせるようにフリックすれば、後は画面を見ているだけというDronomyのテクノロジーは、昨年150万ドル(約2億円)の資金調達を終え、実用段階に入っています。

自動操縦で問題となるのは、市街地や森林などに必ずある電線や鉄塔など障害物の存在です。Dronomyセンサーには、あらかじめ地理データが記憶されていることに加えて、独自のアルゴリズムで開発されたチップを内蔵、いまいる場所の映像から、広さ、目標物の位置、距離を瞬時に認識し、30メートルの距離から障害物を避けるように飛行するようプログラムされています。もちろん、目の前にある障害物だけでなく、飛行禁止エリアも回避するよう記憶され、安全かつスピーディー、何より簡単に目的地への飛行を可能とします。


(出典:Dronomy説明動画@Youtube

テクノロジーの先にあるものを目指して

一流スポーツ選手の空間認識能力をドローンに移植したかのような技術が様々な業界に革新を起こすことは間違いなさそうですが、CEOであるオリ・アフェク氏は、元々イスラエル軍でミサイルや飛行機のUAV(Unmanned Aircraft System:無人飛行システム)に携わっていた人物で、「Dronomyは建設や農業、地図製作など、主に企業での活用が期待される」と語ります。(参考:GTC2015: Can Dronomy revolutionize the new, drone-based economy?

技術者として堅い一面を見せるアフェク氏ですが、実は4人の子供の父親で、テナー歌手としても活躍し、フルート演奏とスキーが特技というプロフィールを公表するような気さくな人柄です。彼は、こう付け加えます。「(企業だけでなく)Dronomyをより広く、一般の人たちにも使ってもらえるように、私たちの能力を結集しているところなんだ。」

直接は語っていないものの、多趣味でタレント溢れるアフェク氏を見ていると、技術者が目指すべきこととは、技術革新を起こすことや、ましてや神のように人間の能力を移植することではないように感じさせられます。純粋に自身がテクノロジーを楽しみ、テクノロジーがもたらす世界で生きる人々に、楽しみや、喜び、心の豊かさを作っていくことが、本当の技術者の姿であるのではないでしょうか。

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(出典:Thierry James Weber@Flickr

会社概要

会社名 Dronomy
CEO Ori Aphek
創業 2014年
拠点 イスラエル
社員数 1-10人規模
事業内容 ドローンの障害物自動認識回避技術の開発
主な商品 dronomy
会社URL http://www.dronomy.com

メンバー紹介

Ori Aphek

Ori Aphek
CEO/創業者
イスラエル軍が行うR&Dエリートプログラムを習得後、空軍にてドローンのカメラ技術に関する研究開発に携わる。その後、以前は、電気工学によるミサイルの探知システム開発を行うOptigoを設立。現在、Dronomyの創設者/CEOとして、ドローンの認識-回避技術の開発事業を牽引している。物理・数学の学士資格、電気工学の修士視覚、MBAを保有。

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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