世界中でどこでも養殖!省スペース型水循環システムで安定した食用魚の供給へ-BioFishency

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近年、養殖マグロなど、マーケット需要の高い食用魚の生産の成功が話題となったように、日本においても水産技術の向上は最重要課題のひとつ。アフリカ諸国、アジア諸国の発展途上地域でも、食用魚は重要なたんぱく・栄養源として、養殖技術の導入が盛んに進められている。特に安全性が高く、低コストで水事情の悪い環境下でも養殖を可能にする技術があれば、世界中から高い関心が寄せられるに違いない。今回は、そのような機能性の高い技術で国境を越えて活躍している企業、BioFishencyをご紹介。

クリーンでより簡単な操作で – 高まる需要に応えるオールインワン型水循環システム

創業者のLevanon氏とMagen氏は共に農業、水産業界において豊富な経験を持ち、アフリカ、南アメリカの発展途上国でのビジネス立ち上げ、運営に関わるうち、製品開発だけでない、持続的なスキルサポートの必要性を強く感じるようになった。製品、運営、メンテナンスを提供するだけでなく、トレーニングセンターの機能・プログラムを備えた環境作りで地元の人々に貢献することを目指す。今までの、野外にある貯水池を利用した施設、または屋内型のタンクを設置した手法で養殖が行われる技術では課題も多く、以下のような問題点が挙げられていた。

  • 水循環の不足による、排泄物や代謝物を原因とする有毒アンモニアの発生や、必要酸素量の低下による水中環境の悪化
  • 1立方当たりの養殖量が限られる
  • 水循環器を導入した場合の敷設・管理コストが高い
  • 水源の不足

BioFishency社が開発・提供する、オールインワン型水循環システム (All-in-One Water Treatment System) の特長は、水源に乏しい地域であっても導入でき、そして取り扱いをシンプルにしている点。既に稼働している養殖設備にも設置ができる。

発展途上国での地域コミュニティ活性化を目指す

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実際に同社のシステムを導入した養殖施設
(出典ːBioFishency Ltd.公式ページ)

同社が開発するオールインワン型水循環器システムは、現在主流の、主に室内養殖施設で採用されているRAS(Recirculating Aquaculture Systemː再循環水利用システム)に比べて、省スペース・節水型モデル。
また、陸上のタンク型設備および、野外の溜池型施設への設置が共に可能であり、場所や環境を選ばない。従来型のRASでは、濾過器、酸素供給機、有毒ガス除去機など、用途の異なる器具をそれぞれ用意し、一つのシステムとして接続する必要があった。しかし同社が開発をすすめるオールインワン型循環器では、それらすべての機能が一つの機材としてまとめられている。この一つの機材を導入することにより、養殖に必要な水質管理をワンステップで行うことができるのだ。コスト面でも大きな進歩を見せており、消費電力は時間当たり2.5~3キロワット、これは日本で市販されている家庭用ソーラー発電機の発電量約4キロワットを下回る(発電量0.245kwのパネルを20枚設置した場合)。同社の技術は製品の開発、設置、サービスにとどまらない。主に発展途上国での地元の人々、コミュニティに密着し、機材の操作ができるように技術支援をすすめていく。人々との関係を築き、生産できた養殖魚の販売ルート開拓やマーケティングまで後方からのサポートにも力を入れていく方針だ。同社は既にアフリカ諸国で複数のプロジェクトに着手している。CTOのMagen氏は、「本来、養殖業で利益を上げるにはまず大きな投資資本が必要とされている。当社の技術はそういった資本のない中小企業や地域コミュニティでも生産効率を上げ、利益を増やすことができる」、と熱意を見せる(参考:Trendlines)。発展途上国での人口増加にともない、ますます上がる食用魚の需要。技術の開発だけでなく、人・コミュニティとのつながりを大切にするLavanon氏とMagen氏のコンセプトは、未来にのこる資源づくりへの大きな第一歩として、今後も注目していきたい。

会社概要

会社名 BioFishency Ltd.
CEO Cobi Levanon
創業 2013年
拠点 イスラエル
事業内容 水産・養殖施設用水循環システムの開発 設置・メンテナンス マネージメント 技術トレーニング・経営支援
主な商品 All-in-One Water Treatment System、BioFishency Single Pass Biofilter (SPBM30)
会社URL http://www.biofishency.com/

メンバー紹介

Cobi Levanon

Cobi Levanon
CEO
イスラエル農務省にてプロジェクトマネージャーならびにコンサルタント職を経て同社を設立。政府系プロジェクトや民間事業など、水産技術のプロとして20年にわたり携わる。養殖ビジネスの設立・運営経験に富み、イスラエル国内の養殖事業の産業化のみならずアゼルバイジャン、トルコ、ナイジェリア、コートジボワールでの施設立ち上げ、及びオペレーション協力に寄与。海洋生物学を専攻。

Igal Magen

Igal Magen
CTO
元・イスラエル農務省水産部門長。水産・農業コンサルタントとして、公共・民間事業共に関わり、長年の経歴を持つ。海洋生物学を専門とし、在官中はアフリカ、南アメリカ、カリブ海沿岸諸国において公共ならびに民間事業及び、ギアナでの地域コミュニティ技術開発でのマネージメントに携わる。イスラエル・ヘブライ大学卒業。

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SAKIGAKE編集部

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