「人間の言葉」で制御システムを設計-WonderLogix

CATEGORY: GENIUS

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発電所、製造工場、給水設備など様々な分野でオートメーション化(自動化)が進んでいる現代社会。2012年、オートメーション関連の市場規模が、世界で861億米ドルにも達したと言われている。

現在、多くの企業が「PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)」という装置を使用しており、プログラム言語の1つであるラダー図をソフトウェアで作成し、それをPLCへアップロードする事により、自動機械の制御を行っている。この制御システムの導入により、人海戦術に代わりコンピューターやロボットを駆使し、製品の大量生産、大規模設備の運用管理をする事が容易となった。

しかし、システムが急速に複雑化していく中、心臓部となるソフトウェアは、全てにおいて質が高いとは言い切れない。よって、作業効率および収益の低下、損害、運転停止といったシステムトラブルのリスクが、多くの企業に潜んでいるといっても過言ではない。イスラエルのスタートアップ企業、WonderLogix社はこのような問題を解消すべく、「ラダー図」ではなく「自然言語」を使って制御システムを設計する、今までにないソフトウェアを現在開発中だ。

「人間の言葉」で制御システムを構築

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(出典:WonderLogix公式ページ
WonderLogix社は、システムトラブルの主な原因として「ソフトウェア要求における定義の不備」「設備の設計を担う『プロセスエンジニア』と、制御システムのプログラミングおよび管理を担う『制御系プログラマー』との間のコミュニケーション不足」「制御系プログラマー(電気技術者)のスキル不足」を挙げている。

これらの問題点に着目し、同社は自然言語を取り入れ、人間が使う日常的な言葉で制御システムを設計できるソフトウェアを開発している。ドロップダウンリストで設備の稼働要件を入力するシステムになっており、「どのタイミングの時に」、「何の装置を」、「どのくらいの時間」稼働させるかを、簡単に定義する事が可能となったのだ。複雑なラダー図を自分で組む必要は一切ない。何故なら、ドロップダウンリストで選択した稼働要件が、そのままPLC向けに最適化されたラダー図へと変換してくれるからである。
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ドロップダウンリストでポンプシステムの稼働要件を選択している様子
(出典:WonderLogix公式ページ

特徴は他にも、「プログラミングに欠陥がないか、事前にチェックするシミュレーション機能」と「作業手順書を自動的に作成し、PDF形式で文書化する機能」があり、制御システム構築の効率化に一役を買っている。

WonderLogixを導入するメリット

  • エンジニア初心者でも扱える
  • 最適化されたラダー図で、設備のエネルギー消費、損傷、緊急停止のリスクを軽減
  • 自然言語を用いるため、文書化によりエンジニア、ディレクター、メンテナンスチームなど全てのスタッフと共有が可能
  • 制御システムの開発プロセスを改善(立ち上げ期間の短縮など)
  • プロセスエンジニアでも、制御システムをコントロールする事が可能

2015年に設立したばかりで、まだまだ開発途上にあるWonderLogic社。今後、英語版だけに留まらず、日本語を含むあらゆる自然言語で制御システムを構築できれば、PLCへのプログラム入力に対する概念が変わるかもしれない。

会社概要

会社名 WonderLogix
CEO Dror Roth & Amir Kaufman
設立年 2015年
拠点 イスラエル 1 Hankin, Kiryat Ata
社員数 1-10人規模
事業内容 制御システム向けソフトウェアの開発
主な商品 WonderLogix
会社URL http://www.wonderlogix.com/

メンバー紹介

Dror Roth

Dror Roth
創業者
工業用制御システムのエンジニア、電気技術者として12年間の実務経験を持つ。大規模な工業施設での制御システムの設計・実行に長けており、ソフトウェア工学の原理に基づき制御装置のプログラミングを行うエキスパートである。

Amir Kaufman

Amir Kaufman
創業者
10年の実務経験を持つ、優秀なメカニカルエンジニアである。地熱エネルギーのリードカンパニー、Ormat社にて地熱発電所の制御システムの改善に貢献。

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

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