宇宙空間での付加製造スペシャリスト-Made In Space, Inc.

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先日、中国が有人宇宙船「神舟11号」の打ち上げに成功した。ますます活性化する宇宙事業の中で国際宇宙ステーション(以下ISS)の役割もより一層重要になってくるだろう。その為、事業拡大を促進する多くの宇宙機器が今後必要とされてくる。しかし、地球からロケットやスペースシャトルを用いて機器を送っていては多額の費用と時間がかかってしまう。しかし、そういった手間が省けたらどうだろうか。宇宙開発の速度は今までの数倍速くなるのではないのだろうか。それを実現させているのがMade In Space, Inc.だ。2010年に事業を開始したMade In Space社は、その企業名の通り宇宙での付加製造を生業とし、今後の宇宙事業を担っている。

国際宇宙ステーションを支える3Dプリンター

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The Zero-G Printer
(出典:Made In Space公式ページ

Made In Space社のメインとなる製品がThe Zero-G Printerだ。これは無重力空間で使える3Dプリンターで、NASAのマーシャル宇宙飛行センターと共同開発された製品である。試作段階では、微小重力が及ぼす影響や今後の宇宙事業への可能性などが吟味され、「無重力における3Dプリント実験」として初号機が宇宙へ送られた。有毒ガスやナノ粒子をろ過する環境コントロール機能や地球からでも出来る遠隔操作機能が内蔵されており、ロケット発射時にかかる重力にも負けない耐久性を備えている。主要目的は試験材や部品、工具の製造に用いられる。

3Dプリンターを基にした次世代型機

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Additive Manufacturing Facility
(出典:Made In Space公式ページ

The Zero-G Printerを基にし、Made In Space, Inc.の商品には他にもAdditive Manufacturing Facility(AMF)やMaterial Recycler(R3DO)、Made In Space Fiberなどがある。AMFは前述のThe Zero-G Printerと違い、より大きくて複雑なポリマー製品を生み出す機器で今後長くISSで用いられる予定だ。より速く安全かつ低予算で、厳選されたハードウェアを宇宙へ送れるため、ISSだけではなく地球での需要も考えられている。

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R3DO
(出典:Made In Space公式ページ

3Dプリンターで造られた製品は頑丈ではあるが、中には消耗品もある為、それらは交換する必要が出てくる。その際、古い部品はどうなるのかという疑問が生じるだろう。そこでかつやくするのがR3DOだ。この機器は3Dプリンターで造られた製品を溶かし、主原料に戻す機能があり、宇宙における付加製造の持続可能性と効率性を高めている。

まとめ

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Made In Space, Inc.のメンバー達
(出典:Newsweek

Made In Space社は今後も宇宙開発に大きな貢献をすると考えられている。2017年にはZBLAN光ファイバーを作り出すMade In Space FiberをISSへと送る計画が立てられている。私の記憶が正しければ3Dプリンターが実用化されたのはここ最近の様に感じる。しかし、今回Made In Space社の様に3Dプリンターを実用化している企業があることを知れた。科学の進歩だけではなく、頭の中で描いた図を実現化させる人達の熱意には脱帽だ。Made In Space社にはそんな人達ばかりが揃っているのだと感じた。

会社概要

会社名 Made In Space, Inc.
設立年 2010年8月
拠点 アメリカ カリフォルニア
社員数 11-50人規模
事業内容 国際宇宙ステーションでの付加製造、それによる宇宙開発の拡大
主な商品 The First Zero-Gravity 3D Printer、Additive Manufacturing Facility、Material Recycler、Made In Space Fiber
会社URL http://www.madeinspace.us/
沿革 2010年8月 創業
2013年5月 NASAとの共同開発によるISSで使える3Dプリンターの製作を発表
2014年9月 ISSに向けて3Dプリンターを載せたロケットが発射。
2014年11月 ロケットが無事に到着。ISSで初の3Dプリンターによるハードウェア製造に成功。
2014年12月 地球からのデータ通信によるラチェットの製造に成功。

メンバー紹介

Andrew Rush

Andrew Rush
President
社長のAndrew RushはStetson Universityで物理学の学士号と法務博士の学位を修めており、特殊環境下で製造業を可能にするMade In Spaceの経営、事業開発を担っている。Made In Spaceへ加わる前は敏腕弁護士として航空宇宙や付加製造の分野を担当していた。その後、Made In Spaceの総務会パートナーと不動産ポートフォリオの管理者として加わった。

Jason Dunn

Jason Dunn
CTO & Co-founder
2009年にUniversity of Central Floridaを卒業し、そこで太陽光や超音速を基に乗り物を軌道に乗せる新しい手法や宇宙空間で効果的に駆動するタービンエンジンを開発した。Singularity Universityでは急速に発展する科学を宇宙探査の範例として置き換えることに焦点を置いた。SEDS(宇宙探査・開発学生連盟)の出身でもあり、航空宇宙工学において2つの学位を持つロケット科学者だ。人類はやがて様々な惑星に住む可能性があると考え、そこに適応する術を学ぶことにより地球上で行われている多くの取り組みを連動的に解決できるとしている。

Michael Snyder

Michael Snyder
Chief Engineer & Co-founder
2011年にOhio State Universityで航空と宇宙飛行の分野で科学の修士号を取得。ISSで使われている多くの観測装置や実験装置の開発に携わり、それらをISSへ送る為の飛行検証にも6度参加したこともある。これまでいくつもの技術書を出版し、世界に発展宇宙と地球システムの概念を伝えている。現在は主任研究員としてNASAによる付加製造の技術デモンストレーションに関わっている。

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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