老後の備えをスマートに!投資にかかる払いすぎ手数料の見直し支援-FeeX

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情報の非対称性から生まれる「見えざる手数料」

金融機関と投資家との間にある大きな溝は情報の非対称性だ。FeeXのCEOを務めるYoav Zurel氏は、彼の父親の退職年金口座を精査してみたときに、投資にかかる手数料が資産を著しく蝕んでいることに気づいたのだという。米国で普及する企業年金制度である確定拠出年金(401k)や個人退職勘定(IRA)の口座で投信信託を運用する場合にかかる手数料は、長期にわたる投資期間中に年ごとにかかるコストとして、まず口座管理手数料(Account fee)、ファンドの運用会社に支払われる運用手数料(Management fee)、そしてファンドを販売した販売業者に支払われる手数料(12b-1 fee)、さらに、ファンドに内在する見えざる費用として、ファンドマネージャーがポートフォリオの中の銘柄を入れ替える際に生じる費用(Transaction Costs)も隠れて生じている。もはや複雑怪奇とすら言えそうでうんざりする有り様だ。全米規模で見ると401kで生じる手数料を総計すると実に年間250億ドル(2.6兆円)もの老後資産が手数料のために消えているといわれる。老後資金確保のための投資期間中にトータルで支払っている手数料が高いのか?安いのか?払いすぎていないかどうか?の判断は個人投資家にとっては複雑すぎて容易にはいかないのが現実だ。だが、老後を安心して暮らすための資産運用がみすみす手数料に蝕まれてしまう悲劇はできるかぎり避けたい。そこで、保有しているファンドの手数料率をウェブアプリ上で即座に可視化し、より低コストのオルタナティブの選択肢を提示するのがFeeXだ。

より手数料の低いファンドをリストアップ

FeeXの使い方はいたってシンプルだ。まず、ウェブの画面上からFeeXにサインアップし(無料)、自分が持っている401kやIRAの証券会社のオンライン口座とリンクさせる。すると自動で現状の資産構成が解析され、類似する投資戦略やアセットアロケーション(資産配分)を有するファンドの中から手数料率のより低いファンドをリストアップし、投資期間中のコスト削減額の総額を自動で計算してくれる。また、投資アドバイザーについてもより手数料の安いロボアドなどが推奨される仕組みだ。さらに、401kの口座を持っていた会社を辞めた後に口座資金をIRA(個人退職勘定)にロールオーバーする場合にも対応している。
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「FeeX」のウェブアプリの画面。現状の口座の構成からどれだけ手数料が削減できるが一目でわかる
(出典:FeeX公式ページ

手数料が複利効果を左右する

リーマン・ショック後の金融市場の低収益環境の下では、十分な投資リターンを確保するのがそもそも困難な状況にある。長期にわたる老後資産形成を目指すならなおさらで、手数料負担はリターンを著しく毀損してしまう可能性がある。たとえば、初期投資額を10万ドル(約1051万円)として、年8%の利回りで25年で運用する人が2人いたとする。一人は諸々の手数料を合わせた年間経費率が0.75%だと仮定してみよう。そしてもう一人の年間経費率が2%だったと仮定する。この場合、ネットで見た利回り(実質利回り)は前者が7.25%となり、25年で元利合計は57万5351ドル(6048万円)となるが、後者のネット利回りは6%にすぎず、25年で42万9187ドル(4511万円)にしかならない。結果として手数料の払いすぎのために約1500万円もの差が出てしまう。手数料のカットに意識的であれば得られるであろうリターンの3割程度が毀損されている計算になる。
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「FeeX」のウェブアプリの画面。現状保有しているファンドと投資戦略やアセットアローケーションが類似するファンドを手数料率の低いものから抽出
(出典:FeeX公式ページ

かつて物理学者のアインシュタインは投資における複利効果は「人類最大の発見」だと言った。だがその「人類最大の発見」は、金融業者が恣意的に設定する手数料の多寡に大きく左右されてしまうのが現実だ。日本では2017年1月から加入範囲が拡大され、誰もが入れるようになる個人型確定拠出年金(個人型401k)が話題だが、日本でもFeeXと同様の視点から、「払いすぎ手数料」を解消するテクノロジーに老後資産形成のための切実な関心が向かうことになるだろう。

会社概要

会社名 FeeX
CEO Yoav Zurel
設立年 2012年
拠点 イスラエル、米ニューヨーク
社員数 20人規模
事業内容 資産運用支援ウェブアプリの開発・運営
主な商品 FeeX
会社URL https://www.feex.com/
沿革 2012年 創業
2013年8月 Blumberg Capitalから300万ドルの投資を受け入れる。(シリーズAファンディング)
2014年8月 Horizons Venturesなどから650万ドルの投資を受け入れる。(シリーズBファンディング)
2015年9月 Collaborative Fundから275万ドルの投資を受け入れる。
2016年 Benzinga Fintech Awardで「最も破壊的な企業(Most Disruptive)賞」を受賞。

メンバー紹介

Uri Levine

Uri Levine
共同創業者・会長
1993年、テルアビブ大経済学部卒。シリアル・アントレプレナーとして知られ、2007年に創業したソーシャルカーナビアプリのWazeを2013年に13億ドルでGoogleに売却し話題となった。2012年8月、FeeXを創業。その後もZeek、Engie、FairFlyなどにエンジェル投資家として関わる。

Yoav Zurel

Yoav Zurel
共同創業者・CEO
イスラエルの高等教育機関であるIDCヘルズリヤでコンピューター・サイエンスの学位を取得。並行して同校が主催するZell Entrepreneurship Program(米国の著名投資家サム・ゼルの寄付による起業家養成プログラム)に参加する過程で2012年にFeeXを創業。2014年、16年には世界最大級のFintechイベント「Money20/20」でスピーカーを務めた。モバイルアプリケーション開発とJavaに関する専門知識を持つ。

David Weisz

David Weisz
共同創業者
IDCヘルズリヤでコンピューター・サイエンスの学位を取得。Zell Entrepreneurship Programに参加し、2012年にYoav Zurel氏らとともにFeeXを創業。

Eyal Halahmi

Eyal Halahmi
CTO
1990年、テルアビブ大学で電気電子工学の学位取得。ソフトウェア開発のLivePerson社でCTO、SundaySky社でコンサルタントを務めた後、2009年、TalkAheadを創業。2012年にFeeXのCTOに就任。

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SAKIGAKE編集部

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