痛みを数値化!赤ちゃんの痛みもわかるようになったモニター — Medasense Biometrics Ltd.

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痛みを感じたとき、どれくらい痛いのか他人に分かってもらえるよう伝えるのは意外に難しい。それは痛みが主観的な感覚だからだ。だが自分で伝えられるなら、まだ救いはあるだろう。もしそれができないとなると、大きな問題が生じかねない。歯医者に行くと、痛い時は手を挙げるよう言われることがあるが、例えば仮に、言葉はおろか身振りで意思表示することも難しい状態になったら、相手は自分の痛みを知ることができるだろうか?痛みが増す中、相手に何も伝えられないまま、悶絶の苦しみを味わうという相当悲惨な状況に陥りそうだ。

主観的な感覚である痛みを数値化

医療現場において、患者の痛みに対処する疼痛管理は重要ではあるが、患者が意識不明、認知症、あるいは乳児だったりして自分の痛みを言葉で伝えることが難しい場合がある。そのような時でも医師が患者の感じている痛みを正確に把握できるようMedasense Biometrics社は、痛みをモニターし数値化するPMD200を開発した。
Medasense_1痛みをモニターするPMD200™
(出典:Medasense Biometrics公式ページ

患者の指にはめた装置から血圧、心拍数や発汗、体温等痛みの指標となるデータを集め、痛みを数値で表示する。このプロセスの複雑さに対応できるよう人工知能アルゴリズムを駆使して、生理学的なデータを「痛み指数」に変換する技術を開発している。この技術は、イスラエル、ヨーロッパ、アメリカの医療機関で研究を重ね、実証されてきている。同社の技術が優れているのは、高精度であるとともに、患者の意識レベルに関わらずモニタリングが可能という点だろう。つまり、麻酔下の患者にも意識のある患者にも使えるということだ。

製品開発のきっかけはCEOの母親との会話

同社CEO、Zuckerman氏がGeektimeに語ったことによれば、手術室看護師である彼女の母親から 手術中に麻酔下にある患者が痛みで目覚めてしまう話を聞いたことが製品開発のきっかけになったとそうだ。

今後の展望

同社によれば、医療従事者の間では、客観的に痛みを判断することは疼痛管理に革新的変化をもたらすという見方が一般的だという。麻酔薬や鎮痛剤の適切な投与量を判断できるようになり、医療成果が向上、医療費も削減できる。何より患者の負担が軽くなるはずだ。
2016年中にヨーロッパでの発売を目指すという同社は、手術室、集中治療室での使用を足がかりに市場を拡大していく方針をとる。痛みのモニタリングに対する市場規模は世界全体で年間30億ドル以上と同社では試算しており、病院以外にもニーズは広くあると思われる。このまま順調に製品化されれば、初の臨床的に認められた「痛みモニター」になるということだ。また、イスラエルのNoCamelsの取材に対しZuckerman氏は、今後、患者が利用しやすくしたモニターを開発する計画があると語っている。スマホに直接つなげられるような新しいデバイスになるようだ。
痛みをモニタリングすることが一般的になる時代もそう遠くはないかもしれない。同社の今後に注目したい。

会社概要

会社名 Medasense Biometrics
CEO Galit Zuckerman
設立年 2008年
拠点 イスラエル
社員数 11-50人規模
事業内容 痛みをモニターし数値化するシステムの研究開発
主な商品 PMD-200™
会社URL http://www.medasense.com/
沿革 2008年 Capital Pointによる投資を受ける。
2010年 OHV とDr.ShumuelCabilyによる投資を受ける。
2013年 疼痛モニタリング関連技術で米国特許を取得。
2015年 ライフサイエンス関連の企業が世界各国から集うIATI Biomed Conferenceで行われたスタートアップコンペティションにおいて名誉あるスタートアップ2社の内の1社に選ばれる。
2016年 シリーズBラウンドにおいて800万ドルを調達。Benslie International Ltdが主導した。5月、Baxter Ventureが参加し、シリーズBラウンドを完了。

メンバー紹介

Galit Zuckerman

Galit Zuckerman
CEO 創業者
テレアビブ大学で電気工学の修士号を取得。旧ノキアシーメンス、Niceシステムを経て、アプライド・マテリアルズでアルゴリズムエンジニアのチームリーダーを務めた。信号・画像処理関連のスタートアップ数社のコンサルタントとしての経歴も持つ。

Walter Tabachnik

Walter Tabachnik
CFO(最高財務責任者)
イスラエルの公認会計士であり、イスラエルや南アフリカの数々の企業で上級会計職を歴任したベテラン。ヘブライ大学において会計学、経営学の学士号を取得している。Oridion Systems Ltd.副社長 兼 最高財務責任者として、コヴィディエンによる3億4,600万ドルの買収をまとめた実績がある。

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SAKIGAKE編集部

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