移植箇所を再生治癒する人工硬膜シートの開発 -Nurami Medical

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交通事故や思わぬアクシデントなどで頭部を損傷した場合、早急な処置が求められます。その際、硬膜が破れ損傷すると、そこから髄液が流れ込み、脳への悪影響につながります。少量の場合は頭痛や吐き気程度ですが、ひどい場合は脳を圧迫し、脳を損傷させてしまう場合もあり、症状が重篤化する恐れがあります。

この硬膜の損傷は、外傷や病気などのほかにも脳外科手術の術後にも起こりやすいといわれており、オペ後の頭痛や吐き気めまいなどの症状から、発覚する場合も少なくないようです。

硬膜の破損や穿破が判明した場合、硬膜を補修するために手術が必要になります。その際、硬膜の補修に活躍するのが人工硬膜です。

脳の保護に大きな役割を果たす硬膜を人工的に作り上げた、進歩と技術の新たな取り組みについてご紹介いたします。

人工硬膜の役割としくみ

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(出典:PIXTA

脳挫傷や頭がい骨骨折、硬膜下出血などがあった場合、脳の一番上層部覆っている硬膜が破損した場合、いち早く髄液が流れ出るのを抑制することが大切です。髄液の流出は、脳へのダメージにつながるからです。

硬膜は頭がい骨の直下に位置し、頭がい骨を切開して治療を行います。ですがデリケートな部分であるため、縫合処置が難しく、専用の液体封止剤による処置や、人工硬膜を使用した保護が早期治療処置となるのが一般的です。

人工硬膜分野に新たなソリューションを

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(出典:NuramiMedial公式サイト

現在、人工硬膜には不織布やゴアテックスを使ったものが多く普及しています。これら人工硬膜は、人体に影響はありませんが、時に体が拒否反応を引き起こしたり、癒着する懸念があります。

NuramiMedial社(イスラエル)が開発したArtiFaschiaは、硬膜の代替物として、大変優れた働きが期待されています。

元々、NuramiMedical社は医療向けのナノファイバーテクノロジー分野の研究に力を入れていました。そこで、この人工硬膜に着目し、脳脊髄の漏れを抑制し、硬膜代替えとして脳を保護、組織再生を促す人工硬膜シートを開発しました。

素材に弾性シーリング材と多孔質繊維を採用することにより、優れた強度と柔軟性を実現しました。これにより、現状縫合糸レベルの厚さが多く普及する人工硬膜シートより、一層薄く脳への負担を軽減し、望ましくない癒着の防止、何より術後の正常な硬膜へ組織再生する働きを助け、体への負担を軽減できるとして期待が寄せられています。

最近では、より硬膜に近い素材として、コラーゲンを使用したコラーゲン硬膜が開発されていますが、ArtiFaschiaは、これら代替硬膜よりはるかに低コストで安定した生産が可能なため、多くの医療機関での導入使用が期待できます。

現在ArtiFaschia人工硬膜シートは臨床試験が進行中で、2016年Q4までには完了する予定となっています。無事製品化すれば、安全で迅速な組織再生ツールが低コストで市場に登場することになり、多くの医療分野での活躍が期待される製品になる事でしょう。

会社概要

会社名 NuramiMedical
CEO Amir Bahar
設立年 2014年
拠点 イスラエル ナザレ
社員数 10人
事業内容 医療分野におけるナノファイバーテクノロジー、軟部組織修復に使用するシーラント技術開発を行う医療機器会社
主な商品 ArtFaschia
会社URL http://www.nurami-medical.com/

メンバー紹介

Amir Bahar

Amir Bahar
CEO(最高経営責任者)
脳神経外科の前臨床モデルで15年以上の経験を持つ豊富な医療機器の開発者。ワイツマン研究所卒業。2008年に、NARSADの若手研究者賞を受賞。多数の科学出版物を執筆している。

Nora Nseir

Nora Nseir
共同創設者兼CTO(最高技術責任者)
生物医学エンジニアをナノファイバーベースの医療機器やエレクトロスピンング技術の開発における豊富な経験を持つ。イスラエル工科大学にて、再生医療の博士号と学士号を保持している。

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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