たった1滴の「水」から利益を生み出す、魔法のBI-IOSight

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多くの識者が予測しているように、SF映画さながらの、荒れ、廃れ果てた地球が未来に待っているとすれば、資源としての「水」は間違いなく価値が高騰していくはずです。あらゆる企業にとっては、水の使用量をいかに把握し、生産性を上げるかということが、実は今すぐにでも取り組むべき課題にも関わらず、水の存在が身近すぎるせいか、楽観視されているのが実際です。IOSightという企業が開発したソリューションは、いずれやってくる暗雲立ち込める未来に、光を照らすのかもしれません。

いつか現実になる、SFの世界

2010年に公開され話題となったSF映画『ザ・ウォーカー(The book of Eli)』。荒廃しきった未来の地球を舞台に、主演デンゼル・ワシントンが演じる旅人イーライが、古来、人の心を操ることができると信じられてきた1冊の聖書を、あるべき場所へと運ぶため、ゲイリー・オールドマン演じる独裁者との戦いの旅に出る、というストーリーで展開されます。

この作品で描かれた未来の地球は、戦争や温暖化であらゆる資源が枯渇し、目の前に広がる風景はすべて灰色で、ライターや電池など、いまは当たり前に手に入る物を命掛けで奪い合う世界でした。SF作品の設定はいつも少し大げさにも思えますが、『ターミネーター』や『マッドマックス』、『バイオハザード』など、地球が荒廃していく姿を予測した作品が少なくないことを考えると、必ずしも映画の中に限られた話だとは言い切れない気もしてきます。
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(出典:Pal Sol @Flickr

争い、奪い合うほど貴重な「水」

荒廃した未来で価値が高騰し、人が必ず奪い合うものといえば、水です。「そんなことはSFの話だ」、それは大きな間違いで、「水紛争」「水戦争」と呼ばれる事態が実際に世界中で起きていて、アメリカとブラジルなど、隣り合う国が共有する水資源を勝ち取るため、死者が出るほどに争われることも少なくありません。

「日本は島国だから、水には困らない」というのも少し楽観的です。地球にある水の98%は海水で、島国日本は、たしかに海で囲まれているものの、言うまでもなく海水は飲用には適せず、飲むために「淡水化」する技術は一般普及するまでには至っていません。

では残りの2%はと言うと、たしかに淡水ではありますが、ほとんどが北南極の氷山で占められていて、私たちが使用できる水の量といえば、全体の0.01%程度、地球が大きなお風呂だとすると、蛇口から落ちる1滴の水を分け合っている状態だそうです。特に日本人は、洗濯やシャワー、料理など、1人1日あたり400ℓ近い水を使用していて、世界第4位を誇る水の大量消費国だと言われています。
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(出典:erin kelly @Flickr

企業に求められる、「水」マネジメント

水の枯渇は、日々コスト削減に迫られる多くの企業や生産者にとっても重要な課題となっていて、「1円でも安く」を求める消費者が増えた現代においては、製造過程で使われる水をいかに少なくし、効率的に、無駄なく使用するかといったことまでをも検討しなければなりません。

例えば、パソコンやスマートフォンに組み込まれる半導体や基板の製造には、汚物除去や殺菌のために「超純水」という高純度の水が用いられますが、超純水を作るためには大量の純水を何十回も蒸留させる必要があります。半導体を製造する富士通は、5年前に2,200㎥だった使用量を、節水や水リサイクル、雨水利用などにより、1,500万㎥メートルまでに抑え、金額にして2億円程度のコストカットを達成するといった企業努力を行っていますが、こうした取り組みは、資金に余裕のある大手企業に限られているのが実情で、多くの企業で適正な水ネジメントが行われていない事実を否定できません。
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(出典:Ahmed Alsaqer @Flickr

水に特化したマネジメントBI 「iGreen」

日々企業に蓄積される膨大なデータを抽出し、可視化、分析するためのツールをBI(Business Intelligence)と言いますが、イスラエルの企業IOSightが提供するBI、「iGreen」は、こうした荒廃した未来への歯止めになる可能性を秘めているかもしれません。

水道や電気、ガスなどのインフラ企業はもちろん、水を大量に必要とする工場では、通常、淡水化処理や汚水処理、リサイクル処理などの工程が伴いますが、「iGreen」はこうした水の利用状況をリアルタイムに集約し、画面上にデータとして表示、不適切な使用が見られた場合にはアラートを行うなど、水使用に特化したソリューションとして注目されています。これにより、工場のいま現在の生産性や効率性、コストパフォーマンスを即時に把握できるという点が評価され、すでに世界60以上の工場で導入されています。

目下導入する工場と言えば、水道局や発電局、汚水処理場などインフラ企業が先発していますが、こうした水量管理に関するBI技術が一般企業にも普及し、採用されていく一つのきっかけであることには間違いありません。
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(出典:IOSight公式ページ

水を、BIを、使うのも、管理するのも、人間

iGreenにも避けては通れない宿命があることを最後にお伝えしなければなりません。それは、技術はあくまでも手段であるということです。どんなに効率的な水量管理ができるBIを手に入れたとしても、結局そのデータを見て効率性を判断するのは人であって、その人がルーズになってしまえばパフォーマンスが向上することはおろか、資源の枯渇を免れることはありません。

冒頭に紹介した映画、「ザ・ウォーカー」の旅人イーライは、強く、賢い男ですが、最後の1冊となった聖書を略奪から守ることに没頭し、いつの間にか争いという手段に飲み込まれ、目的が失われていたことに気付きます。
「聖書を守ることに懸命になりすぎて、一番大切な教えを忘れていた・・・。人のために尽くすことだ」

革新的な技術であっても、何のために使い、何を達成するのかを忘れてはならず、それができてはじめて技術が活かされ、未来を変える一歩となるはずです。
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(出典:Nic McPhee @Flickr

会社概要

会社名 IOSight
CEO Natan Zuta
設立年 2007年
拠点 イスラエル
社員数 11-50人規模
事業内容 水・各種エネルギーのデータマネジメントBI開発
主な商品 iGreen
会社URL http://www.iosight.com/
沿革 2007年 創業
2010年 iGreen提供開始。2016年現在、60以上の施設で導入済み

メンバー紹介

Natan Zuta

Natan Zuta
CEO/創業者
2008年にCEOに就任。ソフトウェア開発業界での15年のエンジニア経験と知識を活かし、研究開発段階であったIOSightを、水資源やエネルギー資源に特化したソリューション販売のリーティングカンパニーとして導いている。建設業界向けのERP(Enterprise Resources Plannninng:資源管理情報システム)を提供するGeneric Solutionsの取締役を兼務。

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SAKIGAKE編集部

SAKIGAKE編集部

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