スマホで簡単!英国で未使用ギフト券の売買プラットフォーム構築-Zeek

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毎年380億円分がごみ箱行きに

英国のギフトカード業界団体のUK Gift Card and Voucher Associationの2013年の調査によると、同団体の加盟企業が発行したギフトカード(デジタルギフトを含む)のうち毎年約3億ポンド(約380億円)分が未使用のまま放置され、有効期限切れで権利が失効している。2013年に英国内の小売業者が販売したギフトカードの総額は25億ポンド(約3200億円)。平均して毎年の販売総額の約6%分の未使用が発生しているとされる。一見地味な話のようにも思えるが事態は深刻である。年の瀬も押し迫った2014年12月、この調査を受けて、消費者問題担当大臣のジョー・スウィンソンが「クリスマスまでに未使用ギフトカードを使い切るように!」と英国民に檄を飛ばしたほどだ。とはいえ、いくら考えても使うあてが思い浮かばないギフトカードの扱いには困るものだ。例えば、結婚、出産、進学などのお祝い事の贈り物としてもらったギフトカードがほとんど行かないお店のものだったとしよう。うかうかしていると有効期限が切れてしまう。だが、そのお店に行く予定はない。そう考えている間にも有効期限は迫ってくるが、やはり使う当ては思いつかない。こうしてもやもやと考えている間、この「望まれなかった贈り物」は財布の中で眠り続けることになるのだが、持ち主がもやもやしている間に期限が切れてしまえばその瞬間に「ごみ箱行き」となる哀れな運命だ。そこで、話はZeek社の出番となる。未使用ギフトカードの売買プラットフォームを英国で立ち上げ、毎年380億円分も生まれる「望まれなかった贈り物」の救済に向けて舵を切ったのだ。

アプリ経由で24時間以内に取引成立

Zeek社はイスラエルを拠点とする企業だが、2014年12月から英国に進出し、英国内で未使用ギフトカードを売買できるプラットフォームとして「Zeek」を立ち上げた。ユーザー数はすでに10万人を超える。取り扱いブランドはApple社のiTunesカードやAmazon、Starbucksといった多国籍企業が発行するギフトカードのほか、老舗百貨店、衣料品・雑貨・食料品店チェーン、大手文具店チェーン、飲食店のほか、航空券にいたるまで350種類以上の英国を代表するブランドのギフトカードを売買できる。
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「Zeek」のウェブアプリの画面
(出典:Zeek公式ページ

アプリの使い方は至って簡単だ。売り手は自分が持っているギフトカードをスマートフォンのカメラでスキャンするだけで即座にZeekのプラットフォーム上に売りに出すことができる。売りに出す際の割引率は額面価格の7~10%引き程度が相場となっている。割安で好きなブランドのギフトカードを選べることから買い手は常に存在し、Zeekに売りに出されるギフトカードの約9割が24時間以内に取引が成立する。それだけの取引量と流動性のある市場が現にそこに出現しているのである。

拡大続くギフトカード市場とミレニアル世代の動向

UK Gift Card and Voucher Associationの加盟企業ベースで見ると、2014年のギフトカードの市場規模は54億ポンドと07年の33億ポンドから約63%拡大している。お祝い事にギフトカードを贈るのは、贈る側からすれば贈り物選びとして無難でお手軽だという理由がまずある。だが、受け取る側からすれば「行きそうで行かないお店」のギフト券をもらってしまうことのミスマッチが常につきまとう。ミスマッチの生じやすさやその要因には、個別の人間関係のみならず、国によって異なる産業・消費構造が反映されている可能性もある。たとえば米国での近年の傾向として、ミレニアル世代(1980~2000年代初頭に生まれた世代)の中で、ギフトカードをプレゼント用ではなく自分自身で消費するために購入する割合が急増しているとの見方がある。その背景は、支払いの効率化のためギフトカードを小売店のアプリにチャージする使用法がミレニアル世代に顕著なためだと見られている。英国でも同様の傾向を持つ世代層が拡大するならZeekの買い手側にも世代の質の多様性が現れてくるはずである。英国でのプレゼンスの拡大とともに、未使用ギフト券売買市場のさらなる成熟につながってゆくだろう。

会社概要

会社名 Zeek
CEO Daniel Zelkind
設立年 2013年
拠点 イスラエル
社員数 11-50人規模
事業内容 Eコーマス向けウェブ・モバイルアプリ開発
主な商品 Zeek
会社URL https://www.zeek.me/
沿革 2013年7月 創業
2014年12月 英国に進出。
2015年5月 Blumberg CapitalとQualcommから300万ドルの投資を受け入れる。(シリーズAファンディング)
2016年5月 Marketing Weekが選ぶ「100 disruptive brands」に選出される。
2016年7月 Blumberg CapitalとQualcommから950万ドルの投資を受け入れる。(シリーズBファンディング)

メンバー紹介

Daniel Zelkind

Daniel Zelkind
共同創業者・CEO
メディアプランニングやオンラインマーケティングに精通し、イスラエルを代表するデジタルメディア・エージェンシーであるMediaCom Interaction Israel社でCEOを務めた後、MassiveImpact社を経て、2013年7月、Zeek社を創業し、CEOとなる。

Itay Erel

Itay Erel
共同創業者・CMO
イスラエルのYanai Information Resources社のアナリストを経てOgilvy & Mather社で上級顧客主任、Bank Hapoalim社でマーケティング戦略に携わった後、Zeek社の創業に参画し、CMOを務める。

Ziv Isaiah

Ziv Isaiah
共同創業者・CTO・CRO
モバイル端末からクラスタサーバーまでほぼあらゆるデバイスのソフトウェアの開発に約20年にわたって携わる。イスラエルのGinger Software社でCTOを務めた後、2014年1月からZeek社のCTOとなる。少年期から8ビットPCの名機「Spectrum Sinclair」を操り、9歳の時にBASICで作ったプログラムが人生最初のソフトウェアだった。

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SAKIGAKE編集部

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