誰でもどこでもできる!貨物コンテナを再利用した農場-Freight Farms,INC

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アメリカ マサチューセッツ州ボストンにあるFreight Farms社は、輸送用コンテナをアップサイクルした「農場」Leafy Green Machine(以下LGM)を販売している。

中古コンテナが農場に変身

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ボストンの公立高校ボストン・ラテン・スクールにあるLGM
(出典:Freight Farms公式ページ

サイズは、およそ長さ12m、幅2.4m、高さが2.9mだが、垂直栽培という方式を採用する事で、一度に4,500〜6,000株の作物を栽培することが可能になっている。葉の広いリーフレタス類でも一週間で1,200株ほど収穫出来る。年間にすると、LGMの収量は0.8ヘクタールくらいの畑に匹敵するそうだ。効率の良い栽培方法である。だが、コンテナの中に普通の畑に見られる土や太陽光はないためLGM内では、土を使わない水耕栽培で作物が育つ。必要な水の量は、一日あたり38リットル弱。根から吸収されなかった水は循環させることが可能なので、一般的な土耕栽培に比べると90%の節水になるのだそうだ。そしてコンテナ内で太陽の代わりとなっているのは、赤と青のLEDだ。作物の生育に不可欠な光合成に必要なのはこの2色だという。こうした光を始め、湿度、気温等の生育環境は自動的に調整される。同社ではFarmhandというアプリも開発し、離れていてもスマホで環境のコントロールが可能になった。また、クラウドにつながることで、「農場」内で発生した問題を生産者自身では解決できない場合でも、同社で情報を把握し迅速にサポートできるようになっている。

新規参入がしやすい環境

LGMは、農業が初めてでも取り組みやすい条件が整っているといえるだろう。実際これまでの購入者には新規就農者が多いそうだが、それぞれがビジネスとして成功できるように、マサチューセッツ州ボストンにある同社での2日間集中トレーニングコースも用意されている。
価格はベーシックタイプが82,000ドル(約828万円)で、プレミアムタイプは、シンクや除湿機などの設備がプラスされ、更に中で音楽も楽しめるようになっていて85,000ドル(約859万円)だ。同社がこれまでに集めたデータによると、水道光熱費や液肥等の消耗品も含めたLGMの年間のランニングコストは10,400ドル(約105万円)というのが一般的な額だという。尚、これを元に試算された営業利益は、年間39,000ドル(約394万円)だ。もちろん、これはおおよその目安で、地域やビジネス形態によって大きく変わってくる。

LGMの3つのメリット

地産地消
LGMでの栽培に向いているのは、 ロメインレタス、サラダ菜、リーフレタス、ハーブ類にルッコラやスイスチャードなどサラダで人気の野菜が多い。サラダに使う野菜は、特に新鮮さが重要なポイントになるが、このコンテナなら都市部でも設置可能となり、まさに地産地消が実現する。

通年栽培
断熱性にも優れていて、外気温に関わらず一年中生産が可能だ。消費者へ安定して供給が出来る上、生産者にとっては、端境期や農閑期もなく一年を通して収入源になる。同社ではアメリカ国内に加えてカナダにも販売をしているが、ユーザーのいる土地の気候環境は様々だ。マイナス34度になる厳寒の土地もあれば、48度を超えるような猛暑の土地もある。

農薬不使用
屋内での水耕栽培なら雑草が生えず、虫害、獣害の心配も少ない。このことは、生産者の負担を軽減し、消費者には農薬・除草剤不使用をアピールできる。

起業背景

American Express OPEN Forumの記事によれば、共同創業者の二人は、同社創業以前に食専門の市場調査会社にいた。その時に食品流通上の問題を知り、その解決に向けて、二人はビルの屋上に水耕栽培を広めようと会社を立ち上げた。しかし、屋上栽培では、メンテナンスのコスト、気候に左右されること、場所ごとに環境が違うことなどのデメリットがあった上に、設置費用もLGMに比べ高くついていた。
農場にコンテナを使用するというアイディアは、Friedman氏が2010年にスポーツ用品メーカーPumaのコンテナを使用したキャンペーン見たのがきっかけとなったそうだ。

今後の展開

起業家のKimbal Musk氏が、ニューヨーク市内ブルックリンで2016年秋、都市型農業アクセラレーターSquareRootsを始めると発表し、このプロジェクトにFreight Farms社のコンテナ農場の技術が活かされるという。同氏はこれまでに起業を通じて、地産地消の健康的な「本物の食」を広める活動をしてきた。
また、コンパクトで価格も半額程に抑えた新モデルが近日登場予定だ。ターゲット層は、現行モデル程の収量を必要とないレストランやコミュニティ、個人としている。

今後もLGMを起点にした人の和、都市部で新鮮野菜を生産する人、健康的な食生活を求める人などの和は波紋のように広がっていくことだろう。

会社概要

会社名 Freight Farms, INC
CEO Brad McNamara
設立年 2010年
拠点 アメリカ合衆国
社員数 11-50人規模
事業内容 輸送コンテナをアップサイクルしたLeafy Green Machineの開発・販売・サポート
主な商品 Leafy Green Machine、 Farmhand Connect and Tracking
会社URL http://www.freightfarms.com/

メンバー紹介

Brad McNamara

Brad McNamara
CEO 共同創業者
2013年 Clark大学で修士号を取得。専攻は Environmental Science and Policy。
2004年 Impakt Marketing Solutions, INC、2009年に都市型屋上水耕栽培のコンサルティング・設計のUnited Hydroponics, INCを立ち上げる。
好きな野菜はレタス。くし形切りにしたレタスを使うウェッジ・サラダは忘れられないお袋の味だそう。

Jon Friedman

Jon Friedman
社長 共同創業者
ボストン美術学校とマサチューセッツ芸術大学に学ぶ。Impakt Marketing Solutions, INC(Market Manager)を経て、McNamara氏と共にUnited Hydroponics, INCを創業。
好きな野菜は生で食べるラディッシュ。

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SAKIGAKE編集部

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海外のスタートアップ、テクノロジーに関する最新情報を発信していきます。 海外の起業家たちが、何の課題に目を向け、どんなことを仕掛けようとしているのか。 最新技術だけでなく、未来を創ってきた人や、これから未来を創ろうとしている人の生活・人生もご紹介します。
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