気球に乗って宇宙の遊覧飛行へ-Zero 2 Infinity

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映画やアニメで観るように、大きな気球に乗って広い大地や自然を眺めながらゆっくりと空の旅を堪能するのは夢であり、最高の贅沢と言えるだろう。しかし、気球の行先が空ではなく、さらにその先の宇宙であったらどうだろうか。気球から眺める景色が地球そのものになるなんて想像もできないのではないのだろうか。実際に私たちがよく見聞きする気球では宇宙に当然行けない。ではどの様にそれを可能にするのだろうか。そんな疑問を様々な工夫と技術で解消して世界中の人々に気球での宇宙遊覧飛行を提供しているのが、スペインのマドリードにあるZero 2 Infinityというスタートアップ企業だ。

オゾン層の先の宇宙へ

2009年にBloonという気球での宇宙遊覧飛行のコンセプトを発表した後、Zero 2 Infinityはmicrobloonというテスト気球を用いて幾度も実験を重ねてきた。多くの企業からの支援を受け、Bloonを高度3600mまで到達させることに成功し、地球の絶景を楽しめる段階まで持っていくことが出来たのだ。気球には不活性のヘリウムガスを用いており、燃料やプロペラを一切使わず騒音もなく他のシステムへの影響がない様に作られている。搭乗員が乗るポッドはパイロット2人、乗客4人が広々と寛げる様に工夫されており、インフレータブル構造で強度の高いカーボン素材や軽合金よりも頑丈な空間になっている。また、緊急時の着陸システムも常備している為、安全性はより高いものとなっている。
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Bloonのイメージ画像
(出典:Bloon公式ページ

この宇宙の旅は自分の好きな様にカスタマイズできるのも特徴だ。オプションの中には搭乗するポッドやバルーンのデコレーションや日食の観測、元宇宙飛行士のガイドといった魅力的なものが数多くある。また、恋人との地球を眺めながらロマンチックな時間を楽しむプライベート空間のオプションもある。

Bloonを用いての人工衛星

Bloonは観光目的だけではなく超小型人工衛星の打ち上げにも一躍買われている。Bloonの末端にはポッドの代わりにBloostarと呼ばれる発射装置と人工衛星が取り付けられて、それらを高度4000mまで運ぶ。その後Bloostarが作動し、3段階に分けて人工衛星を射出するのだ。そうすることにより上空まで上がるまでに通常必要とされるエネルギーを節約でき、コストも大幅に削減することが可能になった。観光事業だけではなく宇宙事業の革新にも大きく貢献している。
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気球Bloonを用いてのBloostar打ち上げ
(出典:Bloostar公式ページ

まとめ

Zero 2 Infinityが提供するBloonでの宇宙旅行は現在日本でも募集されている。スペースシャトルで宇宙へ行くというのは魅力的だが、その場合、重力の問題など身体への負担が掛かる。空間も前しか見ることが出来ないとなれば景色を楽しむ余裕はあまりないだろう。しかし、Bloonのポッドに乗ればゆっくりと上昇する為、身体への負担もなく景色を存分に満喫できる。宇宙から地球を眺める点をこのプロジェクトでは特に薦めているが、宇宙に出るまでの景色もまた魅力的なのではないかと私は思う。世界が如何に広く、美しいかを感じられるはずだ。11万ユーロ(日本円で1270万円)と値段は張るが、人生に一度そういった経験をしてみるのも悪くないだろう。

会社概要

会社名 Zero 2 Infinity
CEO José Mariano López-Urdiales
設立年 2009年3月
拠点 スペイン バルセロナ
社員数 11-50人規模
事業内容 高々度気球飛行、経験旅行
主な商品 Bloon、Bloostar & Stratospheric Payload elevation
会社URL http://www.zero2infinity.space/
沿革 2009年3月 創業
2009年11月 Bloonのコンセプトを発表
2010年5月 スペインのBarcelona Turisme Premiumに加盟
2012年5月 microbloon 2.0のテスト飛行を開始
2012年6月 テストでゴム気球を飛ばす。2時間で地上から25㎞の成層圏に達する。
2012年11月 microbloon 2.0が高度36kmに到達
2013年9月 microbloon 3.0がテスト飛行で高度27kmまで到達
2014年1月 宇宙服のテストを開始

メンバー紹介

José Mariano López-Urdiales

José Mariano López-Urdiales
Founder & CEO
1995年からUniversidad Politecnica de Madridで航空宇宙工学を学んだ後、宇宙ビジネスにおける経営学をInternational Space UniversityやCollege des Ingenieurs, Parisで学んだ。また、2002年から2004年は航空術学と宇宙航法をMassachusetts Institute of Technologyで学び、修士号を取得した。2009年にZero 2 Infinityを創設するまで宇宙関連企業においてシステムエンジニアやトレーナーを務めた経歴がある。

Dimitris Bountolos

Dimitris Bountolos
COO & Board Member
航空会社及び空港運用の専門家として14年の経験があり、様々なスタートアップ企業にて役員やアドヴァイザーをしている。輸送セクターで仕事のキャリアをスタートさせてメキシコやアフガニスタンなどでインフラ整備に尽力した。Universidad de Granadaで輸送、インフラの分野で修士号を修めている。

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SAKIGAKE編集部

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