患者と医療従事者によりやさしいガン治療を-NIMD

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ガン治療の技術は日々進化しているものの、高額で副作用が強いものが多く、患者にとって大きな負担となっている。その状況を打破すべく、イスラエルのベンチャー企業がガン治療の新技術を開発中である。ガン患者はもとより医療従事者にとって、朗報となるかもしれない。

温熱療法(ハイパーサーミア)

欧米においては、温熱療法は第4番手として位置づけられており、放射線治療や化学療法など他の療法の補助的に用いられてきた。この治療法は、ガン患部周辺に40-45の°Cの熱を加え、ガン細胞を、アポトーシス(細胞の自然死)などのダメージに対して敏感な状態にして、死に至らしめる。
局所化した温熱療法では、組織を除去するために、より高い熱を加えるえることもある。

多岐にわたる種類のがんにおける、顕著な臨床効果

この温熱療法で、顕著な臨床効果が見られたガンの種類は、黒色腫、皮膚ガン、乳ガンなどの軟部組織肉腫、頸部、前立腺、直腸、腋窩、胸壁、そして再発したガンや放射線療法を過去に受けたことのないガンにも同様の効果が見られた。これらのガンは米国におけるすべてのガン症例の70%を占める。 
NIMDが主に力を入れているのは、局所化した非侵襲性温熱療法による、一般的に皮膚、皮膚表面から2、3cm下の範囲に見られる、狭い部位における腫瘍の治療である。米国だけでも、毎年皮膚ガンに冒される患者の人々の数は、約350万人、そのうち3万人以上は、乳ガンである。黒色腫は、米国内だけで毎年75,000人以上が罹患する。局所非侵襲性温熱療法は脳ガンの治療にも応用されており、従来、直接の手術が不可能な神経膠芽腫のような症例に対しても有用である。

Hyperthermed‐局所化温熱療法による、より効果的かつ非侵襲的な治療

NIMD社はその温熱療法の技術を向上させ、非侵襲的で、副作用が少なく、より安価なガン治療を行うための装置を開発中である。その医療機器がHyperthermedである。ナノ粒子と結合させる独自の集中マイクロ波アプリケータを使用し、腫瘍を選別して照準を絞り、熱を当てることにより、周囲の健康な組織にダメージを与えることなくガン治療を施すことができる。そして、オンラインで部位の温度を監視する機能がある。これらの機能はNIMD社が知的所有権を有する独自の技術である。 Hyperthermedのメリットは他にも、低電力で患者と治療従事者への安全性が高まる、MRIやCTの機器を使用しないで腫瘍を特定し映し出すことができる、小型で汎用性が高いということが挙げられる。
この副作用が少ない安価な治療法が確立されれば、多くのガン患者を救う革命的なガン治療法となる可能性を大いに秘めている。早い実用化を期待したい。

会社概要

会社名 NIMD (Non-Invasive Medical Devices)
CEO Anan Copty
設立年 2015年
拠点 イスラエル
事業内容 局所温熱療法による、ガン治療の小型医療装置の開発
主な商品 Hyperthermed
会社URL http://www.nimd-ltd.com/
沿革 2015年 創業
2015年 試作品の開発にIsrael’s Office of the Chief Scientist (OCS) より50万米ドルの助成金、投資家より10万ドルの出資を受ける。

メンバー紹介

Anan Copty

Anan Copty
共同創業者兼最高経営責任者(CEO)
1994年にマサチューセッツ州ウェナムのゴードンカレッジにて、物理学学士、1998年には同州チェスナットヒルのボストン・カレッジで修士号、2005年にエルサレムのヘブライ大学で物理学博士号を取得。修士と博士課程在学中にかけて、2005年、ハーバード大学(ハーバード・スミソニアン天体物理学センターやハーバード・メディカル・スクール等)で実験装置や機器の開発に関わった。マサチューセッツ州ウォータータウンのRadiation Monitoring Devices社の研究員等を経て、10年間、インテル社に勤務、研究開発に携わる。2015年にナノテクノロジーと結合して局所化されたマイクロ波加熱により、ガンの治療に関与するベンチャー企業(NIMD)を設立。NIMDは、コンセプトの実証を終え、現在動物実験を準備中。

Butros Hallac

Butros Hallac
共同創業者兼最高技術責任者(CTO)
エルサレムのヘブライ大学において、学士号、修士号、博士を取得、博士課程は2009年修了語。イスラエルの薬物の市場販売ライセンスを審査する、イスラエル保健省の薬物関連書類査定官・業務監査委員として勤務。2010年に、インテル社に移り、5年間、初期の化学機械平坦化の分野で、シニアプロセス・エンジニアとして働き、その功績により多くの社賞を受賞した。彼の博士研究は、金属面での衝突によって誘発されたプロセスの化学作用に関する。実験室での研究に精通していて、多数の出版物があり、賞を受賞している。

Simcha Korenblit

Simcha Korenblit
研究開発エンジニア/物理学者
2013年にメリーランド大学で物理学博士号を取得、捕捉イオン、レーザー、マイクロ波を用いた量子計算の技術研究を行う。この研究発表は学会に大きなインパクトを与えた。ヘブライ大学の博士研究(ポスドク)では、技術研究から固形状基盤での量子コンピューティングに研究対象を変更する。そして2013年から2015年にかけて、約10GHz、絶対温度約0度で動作するマイクロ波装置のためのエンクロージャとマウントを開発した。また、これらの装置を製作するために必要な高度量子装置やクリーンルーム製造プロセスのための数値シミュレーションを開発した。

Chris McDowell

Chris McDowell
ビジネスアドバイザー
ベルファストのクイーンズ大学にて製造工学の優等学士、ケープタウン大学において、MBAを取得。14年間、英国に基盤を置く、壁龕建設製品の製造業者、Kilwaughter Chemical Companyで、オペレーション・ディレクター(Operation Director)を勤めた。彼は現在、ガバナンス、株主関係、企業戦略、投資、事業開発および研究開発を取り仕きる、取締役会長である。Kilwaughterでの在職中に、同社は売上高が10倍となる4500万ドルまでに成長、その利益を維持して現在も大掛かりな拡張計画を実施している。

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SAKIGAKE編集部

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