理解しやすいビジュアル連携で解析データから翻訳設計 合成まで-Genome Compiler

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2011年創業のGenome Compiler Corporation.が提供するコンピュータソフトウェア「Genome Compiler」は、これまでゲノム分野では個別のソフトウェア単位で行うことも少なくなかった、分析、可視化、選別、配列決定、合成、自動アノテーションなどに関するデータを視覚的に、かつ一元的に取り扱うことのできるものです。
2016年4月にTwist Bioscience Corporation.の買収により、現在はその一部門として営業を続けています。

そもそもGenome(ゲノム)とは

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生き物の「染色体や遺伝子」、また学術分野によっては「遺伝情報部分」をゲノムと呼んでいます。遺伝子「gene」+染色体「chromosome」、もしくは遺伝子「gene」+ 総体を表す接尾辞「-ome」をもとに、ドイツ・ハンブルク大学の植物学者Hans Winkler(ハンス・ウィンクラー)により1920年に造られた言葉です。

学術界では、かねてからの動植物の試験管外培養や生産技術の拡大を受けて技術力が高まり、1990年代ごろからは各国を挙げた、あらゆるゲノム解析競争が盛んでした。データが一通り出揃い始めた2000年以降「効率の良いゲノム合成を試験管の外で大規模に行う、これまでのゲノム合成法とは異なる、大腸菌ベースの安定した合成法」が普及したことで一気にシステム拡大し、現在は、創薬や影響評価、また治療のための資材としても、ゲノム合成が頻繁におこなわれ始めています。

しかし課題として、拾い上げた原型となる分析データそのものの分析や、エラー修正にもやはり人の目が必要。そればかりではなく、データバンクからそれぞれの配列の機能や情報を参照させたり、既存の自分の持つ大量のデータのなかから、マッチを検索させたりといった作業は、完全には自動で行うことができていないという課題が残っていました。ゲノム合成の際には、解析データをもとにしてそのデータを改変しながら設計する「合成用の人工ゲノムデータ作成」が必要となります。人口合成するゲノムのために作成されたデータに対し、各所の既存データとの照合や、合成部分ごと、また合成上の注意点といった機能面等を、既存の解析済みの全世界のデータバンクから参照させる作業のなかで、専門の人材が経験に基づいて何重にも確認する必要があったのです。

これまでは、解析、データの可視化、参照と注釈作業のアノテーション、そして合成用データ作成と再度複数回の同プロセスを繰り返す作業などは、複数システムにまたがっている機関が多く、作業上の手戻りが多くありました。 また、可視化して確認しやすくするためには、描画に特化したシステムなどに取り込む必要がありました。
そのデータ分析やエラー修正・設計を、自然な理解しやすい視覚的表現により、強力に支援し、解析やアノテーション、可視化、データ作成組み換えなどのプロセスを一元化して行えるシステムをどんな機関、どんな人にも、軽いマシン負荷で使用可能に。そして、教育とゲノム解析、合成分野を支援するソフトを開発、提供したのが、今回ご紹介するGenome Complierです

Genome Compilerのツールとサービス

世界的に本格展開を始めたのは2013年。同種のシステムサービスでも後発グループにあたり、歴史は浅いのです。しかしその分、より効率的な医療ならびに工学分野の技術を俯瞰したサービス設計となっています。
無駄がなく「今後の設計可用性を十分確保した情報構成上も論理的なシステム構成」と「IT技術部分でもより確実性の高いシステム設計」となっており、両者のバランスに優れたシステムです。
その優れた操作性、機材展開性まで含めた設計、ユーザインターフェースの独創性がさらに注目を集めており、利用が進んでいます。開発初期には、現役大学院生らによる65000 USDものキックスターター投資を得た、画期的なプロジェクトとして、世界各国で広く一般ニュースとして取り上げられていました。

創業者自身が医学専攻ということもあり「幅広い習熟度と世代の利用者」サイドに立った考え方が反映され、スムーズに理解と作業が行えます。

Genome Compilerのメリット

視認性と安定性があるチャート表示
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(出典:genome compiler公式ページ
使用料フリーの「Web版」と個別の機関や事業所ごとにカスタマイズされた「エンタープライズ版ソフトウェア」があり、前者はデータの分類などをはじめグループ内でのデータシェア、ゲノムデザインなどを含めたサービスで構成されています。また後者は、これら機能に加え、データの安全なバックアップと、細部のカスタマイズが可能です。

いずれもDNAビューでは、シーケンス、リニアマップ、サーキュラーマップ、アノテーションなどの各種チャート表示を1画面上で確認することができます。図表レイアウト自体も、教科書などでよく目にする姿に限りなく近い形式を採用しており、画面のスナップショットがそのままプレゼン資料やメールなどの添付用に利用できるほど明解。学生と研究者双方に使用しやすいばかりでなく、企業向けプレゼンなどでも、とくに詳細なデータが不要であれば、画面キャプチャのみで利用が可能です。

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(出典:genome compiler公式ページ
特筆すべきは1画面当たりの豊富な情報量にもかかわらず、色分けがされており確認が容易なこと。また画面をそれぞれ複数タブ切り替えでの最大2分割表示が可能で、互いの画面情報がリンクしています。片方の画面中の箇所からリンクを展開することで、細部の各種情報を確認することも可能です。
通常こうした設計では、表示に時間を要し、操作そのものがフリーズなどの原因となりがちですが、そうした重さを全く感じさせない、無駄のないソフトとなっています。

視覚的・直観的理解が可能な機能デザイン
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(出典:genome compiler公式ページ

「直観的なユーザインターフェース」をそのまま踏襲したような自然で無理のない操作性や、全体像から展開して詳細表示をさせるデータ構造でもあり、直接研究者や学生が操作・共有しやすい機能デザインを採用しています。

またデータファイルそのものの改定管理機能が充実しており、プロジェクト参加各者からのコメント、改変箇所などを逐次詳細に記録し共有できます。データ復帰、クローニング(複製を作成すること)等の作業連携、トレンド値などを直感的に見る際などにグラフ軸幅の変更作業でさえも、PCにほとんど負担をかけることなく実現できます。
とくにこうしたプロジェクトでは、遠隔地で時差も伴うスタッフで運営されていることも少なくなく、改変時間などの確認も含め、コメントや情報を逃さず、データとリンクさせて確認しやすい点は、思考と作業の動線改善からも魅力的です。

これらの機能の結果、人手によるチェックや、新しい発見につながりやすいビジュアルチャートを、元のデータを改変することなく利用できます。ハンドルやチェックボックス操作のみで、ズームや表示切替が可能です。
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(出典:genome compiler公式ページ

サービス連携のしやすさ
対応している外部連携データも、エンタープライズ版ではオーダーメイド的に幅広くあります。また、フリー版ですらGeneious、Clone Manager、FASTA format、SnapGene、PlasmaDNA、Text(.txt)、APE、Vector NTIをはじめ約20種類以上と、既存環境の機材を活かせる面でもメリットは大きくあります。

またこれらと連携して、DNA合成の外注サービス「Amyris」などがあり、Genome Compilerでの作成データに基づき信頼性の高い合成サービスを提供し始めています。また関連会社でもあり、ゲノム関連のデータや技術、オリゴプールなどのサービスを格安で行う「Twist Bioscience」のカリフォルニア州での事業にも力を入れ、現在は人的にも拡大フェーズにあります。

日本にも主要スタッフが2016年に来日し、本製品に関するレクチャーと今後の展望などを紹介。
本ツールによる操作以外にも、WEBで視覚的に描画するPlasmid Viewer add-onや、各種のツールへの組み込みや表示などを可能とさせており、さらなる応用先の拡大も期待されています。

本体自体の動作が低負荷ということもあり、現在はデフォルトでは組み込まれていませんが、アノテーションをはじめとしたその他メタデータによる予測解析や、副次的クラスタ分析、その修正傾向による予測などといった様々の応用に拡大できる可能性もあり、世界的にも注目されるところです。

会社概要

会社名 Genome Compiler Corporation(現在はTwist Bioscience Corporationの一部門)
CEO Omri Amirav-Drory
設立年 2011年
拠点 アメリカ合衆国、イスラエル
社員数 11-50人規模
事業内容 遺伝子工学、分子生物学などに対する、一元的CADデータ応用データベース、分析・設計支援、データ共有システムの開発提供
主な商品 Genome Compiler
会社URL http://www.genomecompiler.com/
沿革 2011年 創業
2013年 合成生物学(synthetic biology)分野のキックスターター出資で$65,000をあつめたスタンフォード大学若手グループとして、世界各国のテレビや新聞の主要メディアで大きく取り上げられる。
2015年12月 「Genome Compiler Cloud」のリリース開始
2016年4月 Twist Bioscience Corporation社による買収と、米国カリフォルニア州での活動継続。
2016年下半期 現在の「Genome Compiler」に電子商取引、遺伝子設計機能などを追加した製品の発売を予定。

メンバー紹介

Omri Amirav-Drory

Omri Amirav-Drory
創設者&最高経営責任者(CEO)(Twist Bioscience Corporationでは研究開発部門トップ)
テルアビブ大学での博士号取得後、フルブライト奨学金で渡米、スタンフォード大学医学部で学ぶ。
その後、設立者としてGenome Compiler CorporationのCEOに就任。
2016年4月のTwist Bioscience Corporationによる買収に伴い、研究開発部門トップに就任。
もともと本Genome Compilerのプロジェクトにおける、生化学分野、分析系といった開発の中心的な人物でもある。技術力の高さから、広く世界各国から支持をあつめている。

Yogev Debbi

Yogev Debbi
共同創設者&最高執行責任者(COO)
コンピュータデザインのBA、MBA取得の後、intelにてWireless Group WiMAX Division、WiGIG Division.にてプログラムマネージャーとして勤務。その後、共同創業者として2011年よりGenome Compiler Corporationにて研究開発部門のバイスプレジデント、COOとして勤務。Twist Bioscience  Corporationに買収後、イスラエル研究開発センターのゼネラルマネージャーとして勤務。

Roy Nevo

Roy Nevo
共同創設者&最高技術責任者(CTO)(Twist Bioscience Corporationではデジタル製品開発部門ディレクター)
GenomeCompiler社、イスラエルの開発拠点の最高技術責任者。
情報工学専攻の後、intelにてソフトウェアエンジニアとして勤務。WiMaxツールと組み込みSW開発とIntel Wifiのドライバ開発などを担当。2011年のGenomeCompiler社たちあげよりCTOとして勤務。

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SAKIGAKE編集部

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